日本映像翻訳アカデミー

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「ロサンゼルス校で、二つの回路をつなぐ天職に出会えました!」
サラ・ブルックスさんのインタビュー【前編】
映画の都ハリウッドを有するカリフォルニア州ロサンゼルス。映像翻訳教育のパイオニア「日本映像翻訳アカデミー(JVTA)」の海外拠点であるロサンゼルス校では、メディアの第一線で活躍する講師陣が、映像翻訳業界の即戦力となる人材を育成すべく、日々実践的な講義を行っています。

そんなロサンゼルス校の修了生、サラ・ブルックスさんは、2010年10月に基礎コースに入学。その後、日英の実践コースで学び、現在は俳優の仕事をしながらプロの映像翻訳者を目指しています。日本人とアメリカ人のハーフでバイリンガルであるサラさんが、ロサンゼルス校で学んだ映像翻訳の面白さや苦労などについて語ってくれました。


<映像翻訳は日本語と英語の2つの回路を活かせる天職!>


私は母の実家のある徳島県で生まれ、4歳から10歳までは父の仕事の都合でアメリカのデトロイト、中学・高校は東京、大学からは再びアメリカと、常に日米半々の生活をしてきました。ですから、私の頭の中には常に日本語と英語の2つの回路があるんです。

デトロイトに住んでいた子供の頃は、平日はアメリカの学校、土曜日は日本語学校という生活。日本語学校は宿題もたくさんあり、どちらも完璧にこなすのは難しく、本当にめげそうでした。母は私に「いつ日本に帰るか分からないので、日本語をしっかり勉強するように」と、いつも言っていました。

大学を卒業したあと、俳優をやりながら、他にもフリーランスでできることを探していました。そのころ偶然にJVTAロサンゼルス校の存在を知ったのです。「映像翻訳なら、私の経験やアイデンティティーを活かせるのでは」と思いましたね。

<実感したのは日本語の難しさ>


ロサンゼルス校で学んで良かったのは、基礎コースで「英日翻訳」と「日英翻訳」の両方を学べたことです。まさに、“2つの回路がうまくつながった”という感じでした。しかし、そこで改めて実感したのは日本語の難しさでした。

英日翻訳は「漢字」「ひらがな」「カタカナ」などの字面の見やすさや美しさまで考えなくてはならないし、ダブルミーニングも多い。アメリカの大学に通っていた私にとっては久しぶりの日本語の授業。さらに、パソコンを使う日常の中で漢字が本当に書けなくなっていて、「小学校の時、あんなに必死に勉強したのに」と悔しくなってしまいました(笑)。日本語は本当に奥が深いです。

でも、英語の字幕にはそういう感覚はほとんどないと思います。なので、個人的には日英翻訳の方がずっと楽でした。

<「亀山」の反対は「鶴川」?!>


課題で扱ったドラマの1シーンで、取り調べを受けている詐欺師が、「亀山」の名前をもじって「鶴川」と嘘をつく場面がありました。難しかったのは「“亀”の反対は“鶴”だろ、“山”の反対は“川”だよな」という刑事のセリフ。日本の文化を知っていれば簡単に理解できますが、そのまま英語にしても伝わりません。こうした日本独特の言葉遊びを英語で表現するのは難しく、本当に悩みました。

一方、「まるでトコロテンみたいな」というセリフの時は、「スパゲティみたいな」と言い換えたことがあります。もし、トコロテンそのものがキーワードなら、何としてもそれを英語で表現しなければなりません。しかし、ここで伝えるべきは、トコロテンが格子状の網目から押し出されてくる状態を表現することでした。そこで私は、英語圏でなじみのある「スパゲティ」に置き換えて表現してみました。クラスメイトや講師は違う言葉で訳してていたのですが、その理由や根拠を話し合ったおかげで、異なる視点や考え方が学べてとても勉強になりました。

映像翻訳者は、言葉だけを断片的にとらえて訳すだけではダメ。映像翻訳の授業でいつも聞かれるのは、「つまり、何が言いたいの?」ということ。俳優の仕事でも「つまり、この人は何がしたいの?」ということを常に考えて演じているので、私の仕事においてはいつも「つまり」を考えている気がします。

<High Context と Low Context>



講義内の話題で印象に残っているのは、「日本語はHigh Context、英語はLow Context」という話題です。

「High Context」、つまり知識や文化などを共有する度合いが高いということ。日本語では「いちいち細かいことを説明しなくても同じ日本人だから分かるだろ」ということや、「あれ」「これ」「それ」「どれ」でなんとなく話が分かってしまうことが多いという状況があります。

一方、英語は「Low Context」であるため、共有する文化的背景の度合いが低い。だから英語では背景などをきちんと説明して、言葉で補わなくてはならない。映像翻訳を勉強して、改めてそういう違いも実感しましたね。

インタビュー【後編】につづく↓


http://www.jvtacademy.com/news/index.php?id=553
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