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日本翻訳者協会主催イベント『映像翻訳:映画、テレビとその後』
デビット・ニスト講師が登壇、イアン・マクドゥーガル氏と語り合いました!!
3月17日(土)、日本翻訳者協会(JAT :Japan Association of Translators)主催のイベント、『映像翻訳:映画、テレビとその後』にJVTAのデビット・ニスト講師(写真右)が登壇し、日英映像翻訳の第1人者、イアン・マクドゥ―ガル氏(写真中央)とトークを繰り広げました。会場となった渋谷のフォーラムエイトに集まった出席者は55名。英語で行われるセミナーということで、外国人の方も多く、国際色豊かなセミナーとなりました。

進行役を務めたのは日英映像翻訳コースの受講生、ジュリアン・ロングさん(写真左)。日本翻訳者協会東京活動委員会の委員であり、フリーランスの翻訳者としても活躍しています。会場にはJVTAの講師、受講生、修了生などの姿もありました。


カナダ人のイアン・マクドゥーガル氏は、80年代半ばより日本映画の英語字幕を手がけており、『たそがれ清兵衛』や『おくりびと』などその数は300本以上に及びます。また、コピーライターやナレーター、声優など多方面で活躍されています。一方、デビット・ニスト講師は、8歳の時に観た日本映画『ぼくらの七日間戦争』(1988年、菅原比呂志(現・浩志)監督)に感銘を受け、1998年にアメリカから来日。菅原監督に師事し、『ほたるの星』、『ラスト サムライ』『天使の牙B.T.A.』などの制作に携わったほか、様々なメディアコンテンツの映画企画、字幕作成、宣伝物の翻訳、ライティングを担当。また、ハードウェアから電磁界解析ソフトまでいろいろな技術的分野の文書翻訳を手がけるなど幅広く活躍しています。

日英映像翻訳に重要なのはリズム


マクドゥ―ガル氏「日英映像翻訳に重要なのはリズムです。10秒あるナレーションを14秒かけて文字通りの意味を説明するのではなく、オリジナルと同じ尺に合わせて作品のリズムを伝えるのが大切なのです」

ニスト氏「確かにオリジナルと同じタイミングで楽しめるのは大切な要素。ですから、私はスポッティングにも重点を置いています。翻訳者はただ翻訳マニュアルに合わせてコピーするマシンではありません。視聴者が場面を観て泣いたり、笑ったりできるよう適切に伝える使命があります。字幕制作ソフトを使うと映像に字幕を重ねて観ながら言葉を考えることができるので、スポッティングも何度となく調整します」

マクドゥ―ガル氏「例えば『よろしく』を『I hope our relationship will get better and better.』では、会話の意味は伝わってもリズムが全く変わってしまいます。字幕はあくまでもinvisibleな存在であるべきだと考えているので、より自然な“リズム”を心がける必要があります」

ニスト氏「私も同感です。フレンチレストランでは“サービスされている”と意識されないような自然な流れでサーブするのが最高のもてなしだと思います。字幕の場合も同様で読むことを意識させないものが良いですね。映像翻訳者はよりストーリーテラーであることを求められると思います」

その後のトークは、「ちゃん」「君」「さん」の違いや方言、先輩、後輩など日本語独特の表現を英語にする難しさについて展開していきます。ニスト氏は語尾や言葉遣いのニュアンスを活かすために、話者の関係性などについて考えながらワードチョイスを吟味すると説明します。またマクドゥーガル氏は、時代劇や任侠ものなどジャンルの特性を如何に表現するのかなどについて具体的に解説。個々の表現はもちろん、作品全体のバランスを考えたトーンにするよう心掛けていると語りました。

ニスト講師が『ぼくらの七日間戦争』を熱く解説!


後半では、『ぼくらの七日間戦争』の1シーンを例にとり、ニスト講師が英語字幕の意図と役割について解説しました。ニスト氏は子どもの頃にこの作品を観た時、英語字幕がなかったにも関わらず、その内容は驚くほどストレートに伝わってきたといいます。英語字幕を作る工夫について身振り手振りを加えて熱く語るニスト氏の解説に会場のムードも和らぎ、笑い声やため息が聞こえてきました。

日英映像翻訳の難しさは世界の市場に届けることにある


日英映像翻訳ならではの難しさは、世界の市場に届けなければならないことにあります。ニスト講師は「Who are you talking to?」と常に自問すべきだと話しました。視聴者に誰を想定するかによってワードチョイスは変わってきますが、英語字幕を観るのはネイティブばかりではありません。アジアの映画祭にも出品される可能性もあるので、アメリカのスラングばかりを使うのは好ましくないこともあるといいます。これは英語から日本語に訳すローカライズにはない難しさと言えます。一方、マクドゥ―ガル氏は、辞書的には同じ意味を持つ単語でも英語と日本語それぞれの文脈の中で表現するニュアンスが違うことがあると指摘。言葉通りに訳すだけでなく、文化背景を意識した字幕作りが大切なのだと実感しました。

最後に設けられたQ&Aではマクドゥ―ガル氏が手がけた『おくりびと』の英語字幕に関する感想や時代劇を訳す工夫などについてなど多くの質問が寄せられていました。日英映像翻訳の需要が急増するなか、映像翻訳者の新たな可能性を感じたセミナーとなりました。


※当日の様子がJATのサイトにも紹介されました。

英語によるレポートはこちら
日本語によるレポートはこちら

さらに、Metropolisという英字フリー雑誌のMetro Media ブログにも掲載されました!
http://metropolis.co.jp/media/2012/03/29/japan-association-of-translators-subtitling-seminar/
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