特別上映会について
『シリア・ドリーム~サッカーにかけた未来』はヨルダンのザータリ難民キャンプで暮らすシリア出身の10代の少年、マフムドとファウジの姿を描いたドキュメンタリー映画です。母国で内戦が続く中、難民として異国での生活を余儀なくされる日々。将来の見通しが立たない中で、2人は大好きなサッカーのプロ選手になることを目指しています。いつか自由になれることを信じながら、生活のため、人生のために懸命に現実に立ち向かう、今を生きる少年たちのリアルな姿が映し出されています。
この作品の日本語字幕は、明星大学人文学科国際コミュニケーション学科の学生が「映像翻訳」という授業の中で、プロの映像翻訳者である講師陣の指導を受けながら力を合わせて作り上げたものです。夏休みの集中講義期間に24名の学生一人ひとりが担当することになった翻訳部分を完成させました。12月4日に開催するオンライン特別上映会の企画や運営も学生が担当しています。
上映作品 |
『シリア・ドリーム ~ サッカーにかけた未来』 |
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開催日時 |
2021年12月4日(土) |
上映時間 |
13時~15時30分 |
開催方法 |
オンライン(Zoom) |
参加料 |
無料(定員あり・要事前申し込み) |
ゲスト |
天沼耕平さん(国連UNHCR協会 広報啓発事業/難民高等教育プログラム担当) |
プログラム予定 |
1. 履修生発表 |
主催 |
明星大学 国際コミュニケーション学科「映像翻訳」 |
後援 |
国連UNHCR協会 |
参加申し込み方法 |
<申し込みフォームからの受付は終了しました> tetsuji.sakuraih.meisei-u.ac.jp ※スパムメール対策のため、上記メールアドレスをコピーしても「@」はコピーされません。該当箇所に手入力して補ってください。 |
「WILL2LIVE Cinema」パートナーズ上映会について
今回のオンライン特別上映会は、特定非営利活動法人 国連UNHCR協会が主催する映画祭「UNHCR WILL2LIVE Cinema」の「学校パートナーズ」という枠で開催するものです。
国連UNHCR協会は、国連の難民支援機関であるUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)の活動を支える日本の公式支援窓口です。UNHCRとは第二次世界大戦後の1950年、避難を余儀なくされたり、家を失ったりした何百万人ものヨーロッパ人を救うために設立された国連の機関です。2021年現在、紛争や迫害により故郷を追われ、UNHCRの支援を必要とする人々の数は8,000万人を超えています。このUNHCRの活動をもっと広く民間からも支えるために設立されたのが映画祭「UNHCR WILL2LIVE Cinema」を主催している国連UNHCR協会です。
「UNHCR WILL2LIVE Cinema」は日本において難民問題の教育・啓発活動に欠かせない教育機関と連携し、「学校パートナーズ」を展開してきました。これは学校での映画の上映を通じて世界中で紛争や、迫害によって家を追われた人々の問題について理解を深めることを目的とした取り組みです。今回私たちが実施する特別上映会も、この「学校パートナーズ」の枠で国連UNHCR協会の後援のもと実施するものとなります。
[文責:3年 島田莉奈]
作品について
『シリア・ドリーム ~ サッカーにかけた未来』
内戦が続く母国シリアを離れることを余儀なくされた10代の少年、マフムド とファウジは、ヨルダンのザータリ難民キャンプで暮らしている。将来の見通しが立たない中、2人は大好きなサッカーのプロ選手になることが自由への切符だと信じ、サッカーの練習に励む日々を送る。ある日、世界有数のスポーツアカデミーに才能を認められたマフムドはドーハで開催される国際大会アルカス・インターナショナル・カップの選手に選ばれた。親友のファウジもその後参加が決まり、2人は難民キャンプにいる家族がテレビで見守る中、人生を左右する大きな試合に臨むことになる―。
2021年9月 オンライン先行上映会でプレミア公開/主催:ユナイテッドピープル株式会社
2021年10月1日~11月14日 「WILL2LIVE Cinema 2021」募金付きオンラインシアターで公開
2021年/エジプト/アラビア語・英語/73分
監督・製作 |
アリ・エル・アラビ |
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出演者 |
マフムド・ダーギル 、ファウジ・カトリッシュ |
主人公2人が暮らすシリアとは
『シリア・ドリーム~サッカーにかけた未来』に登場する2人の少年、マフムドとファウジ。2人はヨルダンのザータリ難民キャンプで暮らしていますが、もともとはシリア出身です。
シリアはトルコ、イラク、ヨルダン、レバノン、イスラエルに囲まれ、地中海東岸に位置する国です。首都はダマスカス、公用語はアラビア語、人口は2020年時点で約1940万人。全体の約8割をアラブ人が占めており、そのうちの9割がイスラム教を信仰しています。
シリアでは2011年に内戦が勃発して以来、数千万人の命が奪われ約660万人以上が国外に流出し、今世紀最悪の人道危機と言われる状況が継続しています。現在も約670万人が国内避難民となっており、約1160万人のシリア難民が人道支援を必要としています。
マフムドとファウジが暮らすヨルダンは、シリアなどの国々から難民を受け入れてきました。シリア難民の子供たちは児童労働や早期結婚、性的搾取、武装勢力への関与等にさらされており、学校に通わせることによって子供たちを物理的に保護する必要があります。そんな過酷な状況の中、2人は自由を手にするため、サッカー選手になりたいという夢を実現するため練習に励みます。
[文責:3年 小松拓海]
マフムドからのメッセージ
『シリア・ドリーム~サッカーにかけた未来』に登場する2人の少年、マフムドとファウジ。2人はヨルダンのザータリ難民キャンプで暮らしていますが、もともとはシリア出身です。
作品の撮影時はとても寒い時期で、監督のアリさんたちがキャンプの中に入って撮影をするにあたり様々な苦労がありました。映画が完成した時は、世界中の人たちが作品を通して、難民キャンプという閉ざされた環境にいる自分たちのことを知ってくれることを嬉しく感じました。とても誇りに思います。
世界に向けて伝えたいことがあります。それは僕たち難民が必要としているのは同情ではなく、チャンスだということです。僕やファウジ、難民キャンプにいる人々は皆、世界の一部になりたいと願っています。
日本の皆さん、映画を観てくださってありがとうございます。
[翻訳:3年 菅原風音]
アルカス・インターナショナル・カップとは
アルカス・インターナショナル・カップとは2012年の第1回大会開催以降、カタールのドーハで毎年冬に開催されているサッカートーナメントのこと。若者のサッカーへの情熱を育むだけでなく、スポーツのクオリティ面とリーダーシップ面でカタールを最前線に押し上げることを目標とした国際大会です。世界中から各国の17歳以下であるトップ選手が集まり、この世代の実力ある選手たちが世界レベルで競い合います。本作で主人公のマフムドとファウジが参加する2017年度のアルカス・インターナショナル・カップでは、日本の柏レイソル、スペインのレアル・マドリード、イタリアのローマなど、トップチームが参加しました。
世界有数のスポーツアカデミーとして知られているアスパイア・アカデミーは、マフムドとファウジの才能を高く評価し、2人をチーム「シリア・ドリーム」の代表メンバーとして選抜しました。スパイクを履くこともサッカーコートの芝生を踏むことも初めてだったシリア・ドリームにとって、この国際大会に招かれたことはまさに夢がかなった瞬間とも言えます。
[文責:1年 酒井杏梨]
インタビュー
履修生インタビュー
「映像翻訳」履修生4名に、講義の感想や特別先行上映会についてインタビューしました。
[文責:3年 島田莉奈、3年 小松拓海、1年 酒井杏梨]
―なぜ「映像翻訳」を履修したのですか?
井口さん: 映画が好きだったことに加えて、授業に参加することで英語も一緒に学べるという点に興味が湧きました。
須山さん: 私がこの授業を履修した理由は、普通の生活では絶対に学ぶことの出来ない貴重な体験ができると思ったからです。また普段から日本語字幕のついた映画を見る機会が多いので、字幕を学べるというところにも惹かれました。
―今年はコロナ禍で講義がオンラインだった期間もありましたが、オンラインと対面、両方受けてみてどうでしたか?
須山さん: 翻訳をするペースや理解力が人それぞれなので、オンラインだと全体的にスムーズに作業するのが難しいと感じました。対面の場合は、周りの意見をその場で聞くことができたのでやりやすく、個人的には対面のほうが楽しく作業できました。
高橋さん: 私もオンラインだと、字幕を作るうえで相談事や共有がしづらいなと感じました。また対面の方がグループのメンバーと話しやすく、楽しかったです。ただオンラインだと大学への移動時間がないので、その分時間の余裕ができる点ではよかったなと思っています。
―講義で楽しかったこと・大変だったことは?
井口さん: あるCMを見ながら構成の理解を深めるという講義があったのですが、今までにない視点だったので面白かったです。大変だったのは、周りの友人たちが夏休みで楽しんでいる間、一日中英語を翻訳したことです。とても忍耐力が必要でしたが、映画を丸々一本翻訳できたのは、とてもいい体験になりました。
須山さん: グループのメンバーと、このセリフにはどの訳し方が一番合うだろうかと相談しながら考える時間が楽しかったです。また夏休みの作業では、考えた字幕を字幕制作ソフトに打ち込む作業をしたのですが、オンラインでZoom越しに説明を受けて作業したので、慣れるまでに苦労しました。
―講義で学んだことや得たことは?
高橋さん: 1つの表現を表すのに、いろいろな表現の仕方があることに気づきました。字幕では字数が限られているため、簡潔に情報を伝えるためにはどうすればいいか考え、様々なパターンを学びました。
祢津さん: 映画の登場人物の表情や動きを見て、そして心情を汲み取って、翻訳の仕方を変えるがとても難しかったのですが、メンバーと協力し合って完成させることができました。また普段の生活においても、相手の表情などを見て気持ちを想像したりと、コミュニケーションについて深く考えることが多くなりました。
―「シリア・ドリーム~サッカーにかけた未来」の中で印象に残っている場面は?
祢津さん: 主人公の少年たちが、女の子の連絡先をゲットしたり、妹に英語を教えたりする場面など、日常的な会話をどう訳すのかに頭を悩ませたことが印象に残っています。特に、英語を母国語としていない人たちのセリフの訳し方が難しかったです。
高橋さん: 全国大会の選手に選抜されたマフムドがカタールに先に渡った時に、キャンプに残されたファウジに電話をかけたシーンが印象的でした。
井口さん: 私も同じシーンが記憶に残っています。その後、ファウジも大会に参加できることになり、カタールのホテルで再会したのですが、そこでの2人の嬉しそうな様子も印象的です。
―上映会に向けて意気込みは?
祢津さん:3年生ということもあり、この講義で学んだことを就職活動やその後の仕事に活かしていきたいと思っています。上映会についてはたくさんの人に参加していただいて、自分たちの成し遂げたことが「頑張ったね」と評価につながると嬉しいです。
須山さん: 私はPR・マーケティングのグループに所属していますが、多くのお客さんに参加していただきたいので、SNSで目を引けるような文や画像を作成して、楽しい上映会を開催できればと思っています。
コンタクト
参加お申し込み
申し込みフォームからの受付は終了しました。
追加での参加申し込みを希望される場合は、下記までメールをお送りください。
tetsuji.sakuraih.meisei-u.ac.jp
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該当箇所に手入力して補ってください。
※日本国内在住者のみお申し込み・ご参加いただけます。
お問い合わせ
明星大学国際コミュニケーション学科「映像翻訳」講師/
日本映像翻訳アカデミー 学校教育部門
桜井徹二(さくらい てつじ)
tetsuji.sakuraih.meisei-u.ac.jp
※スパムメール対策のため、上記メールアドレスをコピーしても「@」はコピーされません。
該当箇所に手入力して補ってください。