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シャラップ クライム!
変なおじさんヒーローが大活躍する『スーパー!』の予告編

2011年07月22日

【written by 鈴木純一(すずき・じゅんいち)】映画を心の糧にして生きている男。『バタリアン』や『ターミネーター』などホラーやアクションが好きだが、『ローマの休日』も好き。
【最近の私】「ぴあ」が休刊になりました。自分が映画を観るようになった80年代はインターネットもなく、 雑誌が貴重な情報源でした。「ぴあ」で育った映画ファンとしては寂しいかぎりです。
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志村けんのネタで、"変なおじさん"というキャラクターがいる。志村が変なメイクと衣装で演じる"変なおじさん"が、場違いなシーンに登場するコントを覚えている人も多いだろう。 今回紹介するのは、ある普通のおじさんが自発的に"変なヒーロー"になってしまう映画『スーパー!』の予告編である。

予告編は、ある夫婦のシーンから始まる。主人公のフランクは、妻サラとの夫婦生活がうまくいっていないようだ。そして、サラはドラッグ・ディーラーの男(ケヴィン・ベーコン)と駆け落ちしてしまう...。
主人公のフランクを演じるのは『ギャラクシー・クエスト』(1999年)や『ROCKER 40歳のロック☆デビュー』(2008年)のレイン・ウィルソン。フランクはかなり普通な人ですが、彼の妻・サラとして登場するのが、なんとリヴ・タイラー。2人の馴れ初めが気になるところです。ケヴィン・ベーコンは最近では『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』(2011年)で悪党を楽しそうに演じていたが、この作品でも人妻を誘惑する女たらしを楽しそうに演じているようだ。

さて、妻に去られたフランクは、悲しみからか突如「ヒーローになる」宣言をする。それを聞いた少女リビー(エレン・ペイジ)は「やるね」と言う。ええっ!?普通は止めるように説得するでしょう。

「悪に立ち向かう心が人をヒーローにする」
フランクはお手製の赤いスーツを着てヒーローに変身する。この場面は『スパイダーマン』(2002年)で主人公がスパイダーマン・スーツを作る場面に似ているのだが、フランクの作った衣装はかなりカッコ悪い。むしろ悪役っぽいぐらい。ただの変なおじさんです。でもフランクは、クリムゾンボルト(赤い稲妻という意味)として、めでたくヒーロー☆デビュー!
しかしクリムゾンボルトはレンチで殴りながら「盗むな、ドラッグを売るな」と叫ぶ、かなり暴力的でアブないヒーロー。そしてリビーが、よせばいいのに「私と組めば?相棒が必要でしょ」と想定外の発言。そして誕生した相棒、リビーのヒーローネームが「ボルティーです!」。このボルティーの衣装も、かなり微妙ですが。

ここから予告編はボルテージを上げていく。
ボルトは銃やダイナマイトまで用意して、どっちがヒーローか悪党なのか、もう分からない状況で悪と戦っていくのだ。

本作の監督ジェームズ・ガンは『ゾンビ』(1978年)のリメイク『ドーン・オブ・ザ・デッド』(2004年)の脚本を書いて注目を浴びる。そして初監督作として撮ったSFホラー『スリザー』(2006年)は80年代ホラーへのオマージュがあふれた映画だった。今回の『スーパー!』も、昨今のCG映像だらけのヒーロー映画とは一味違う、アナログの"ご近所のヒーロー物語"のような映画になっていて親しみを感じる。

しかし、出演陣がレイン・ウィルソンやケヴィン・ベーコン、リヴ・タイラー、エレン・ペイジとやたら豪華なのはなぜだろう。この作品にどうしても出たい!と思わせる魅力的な作品だからなのか?それは本編を観て確認します。さらに予告編では、クリムゾンボルトと戦う悪党の1人として、『スリザー』でエイリアンに体を乗っ取られるおじさんを演じたマイケル・ルーカーも登場している。

予告編を観ると、最近流行りの"ダメ男が奮闘する映画"に位置づけられるかもしれない。でもレイン・ウィルソンの必死な姿に思わず感情移入してしまうのは、自分もおじさんだからか。僕は変なおじさんにはなりたくないが、ヒーローなおじさんにはなりたいと思っているので、映画館まで観に行ってきます!

今回注目した予告編


★『スーパー!』
監督・脚本:ジェームズ・ガン
出演:レイン・ウィルソン、エレン・ペイジ、リヴ・タイラー、ケヴィン・ベーコン
2011年7月30日より公開
公式サイト:http://www.finefilms.co.jp/super/