2011年はドニー・イェンの年だ!
『イップ・マン 葉問』『孫文の義士団』ドニー・イェン映画2本の予告編!
2010年はブルース・リー生誕70周年であり、日本でも「奇蹟のブルース・リー展」が開催され、東京国際映画祭でも特集上映が組まれた。ブルース・リーは5本の映画に主演し、勇姿と「アチョーッ!」という怪鳥音をフィルムに残し、1973年にこの世界から旅立ってしまった。
しかし、香港には"第2のブルース・リー"と呼ばれる男がいる。
その男の名前はドニー・イェン。
2011年はドニー主演の映画が2本公開されるので、今回はドニー映画2本の予告編を紹介したい。
まずは『イップ・マン 葉問』。2010年の香港映画の興行収入で第1位を記録した映画の予告編から。
予告編は、ドニー扮するイップ・マンが木人椿(もくじんしょう:木製のトレーニング器具のこと)を相手にカン、カン...と練習するシーンから始まる。
全世界を席巻し、神話になった男ブルース・リー。その魂のルーツとなった1人の師。
イップ・マンは詠春拳(えいしゅんけん)の達人であり、ブルース・リーの師匠でもあった人物である。
1950年、イップ・マンは中国から香港に移り住んで自分の道場を開く。しかし、そこに「武術を教えるなら掟に従え」と、武術家のハンが立ちふさがる。ハンを演じるのはサモ・ハン・キンポー。サモ・ハンは『燃えよドラゴン』(1973年)の冒頭で、ブルース・リーと戦う男とし登場していた。
そしてハンとイップ・マンが激しく拳を交わすファイト・シーンが展開されるが、かつてリーと戦ったサモ・ハンと、リーの師匠であるイップ・マンが戦うなんて、観ていて熱くなりますね。ちなみにサモ・ハンとドニーが共演するのは『SPL/ 狼よ静かに死ね』(2005年)以来である。
イップ・マンは、力で相手を倒すのが強さではなく、武術を通して精神力の強さを教える平和主義者である。弟子も増えて、道場も軌道に乗ったと思っていたら...
イギリス人のボクサー、ツイスターが登場し、「中国武術はクソだ」と問題発言。さらに中国人を殴る蹴るの蛮行におよぶ。この時代の香港はイギリスの植民地だったので、この場面はかつて香港がイギリスに支配されていたという歴史の再現である。
このツイスターとハンが対決するのだが、ハンは叩きのめされてしまった!
「中国武術は我々の心だ」イップ・マンはツイスターとの戦いを決意する。
『男たちの挽歌Ⅱ』(1987年)で、アメリカ人に炒飯を投げつけられたチョウ・ユンファが「お前らにはコメの有り難さが分からないだろうが、俺たちにとってコメは親も同然なんだ。コメに謝れ!」と怒鳴るシーンがある。食べ物と武術を侮辱する者は許せない。武術に謝れ!
そして、ついにイップ・マンが詠春拳の真の強さを見せる時が来た!
ここから予告編は盛り上がっていきます。イップ・マンの連続パンチが炸裂!
重厚な音楽は『墨攻』(2006年)や『かちこみ!ドラゴン・タイガー・ゲート』(2006年)などアジア映画を多く担当している川井憲次である。
監督はウィルソン・イップ。実は数年前に、この監督の映画『香港ゾンビ』(1998年)の字幕を担当したのだが、その時はイップ監督がこんな大作を撮るとは予想もしていませんでした。
ブルース・リーを生み出した、奇跡の拳が降臨する!
日本の観客も、この映画でドニーに魅了されること間違いなしだ!
実は『イップ・マン 葉問』はイップ・マン映画の第2作目で、第1作目『イップ・マン 序章』という作品がある。日本軍が支配する中国で、イップ・マンが日本人と戦うストーリーだが、反日本の内容が原因なのか、日本ではパート2が先に公開されることになった。映画の公式サイトによると、『イップ・マン 葉問』の観客数が5000人を超えれば『序章』も公開されるという。
『君のためなら千回でも』(2007年)のように、イップ・マンのためなら5000回でも観に行きましょう!
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続いては、『孫文の義士団』
『レッド・クリフ』を超える大ヒットを記録したアクション超大作
孫文が香港に行くとの情報を得た西大后が、「孫文を殺せ」と命令を下す。
孫文が会合を持つ1時間、暗殺軍団の襲撃に備える革命軍。
暗殺団を率いるのは『レッド・クリフ』(2008年)で趙雲(ちょううん)を
演じたフー・ジュンだ。
暗殺を阻止すべく、集められた者たち
一方、孫文を守る革命軍が集めたのは...警官、少女、ホームレス、力車の車夫など。
なぜこんなメンバー構成になったのかは謎だが、もっと他に誰かいないの?というのが
正直なところである。この人選の理由は本編で確かめよう。
敵は500人の暗殺団
そして、ついに孫文が香港に到着する。
物語の舞台は1900年代の香港のセントラル地区。約6億円をかけて当時の街並みのセットを作ったそうだ。
映画史上、最も過酷な1時間
ボウガンから放たれた矢が雨のように降る。爆発、倒れる建物。
ドニーが障害物をよけて走るシーンは『アルティメイト』(2004年)のパルクールのようだ。パルクールとは、身体能力だけで障害物を飛び越える動作のこと。『TAXI2』(2000年)や『YAMAKASI ヤマカシ』(2001年)などのフランス映画で登場したパルクールだが、その後『007/カジノ・ロワイヤル』(2006年)や『インクレディブル・ハルク』(2008年)でもパルクールが登場し、現在のアクション映画のスタンダードになりつつある。
アジア・オールスター夢の共演
ドニー・イェン、レオン・ライ、レオン・カーフェイ、ニコラス・ツェー、ファン・ビンビン、エリック・ツアン。アジア映画ファンなら、豪華な出演者の名前だけでご飯を5杯食べられるぐらいのキャスティングだ。でもコメを残したらチョウ・ユンファに怒られます。
それは、中国10億人の未来を変える1時間
どんな1時間になるのか、早く劇場で確かめたい。
ドニー・イェンが出演する作品で、日本未公開の映画はまだ何本もある。この2本がヒットすれば、日本でもドニー・ブームが起こるかも。とりあえず、『イップ・マン 葉問』『孫文の義士団』を観て、心にドラゴン魂を注入せよ!アチョー!
今回注目した予告編
『イップ・マン 葉問』と『孫文の義士団』
★『イップ・マン 葉問』
監督:ウィルソン・イップ
主演:ドニー・イェン、サモ・ハン・キンポー、
製作国:香港・中国
1月22より公開
公式サイト
http://www.ip-man-movie.com/
★『孫文の義士団』
監督:テディ・チャン/特別協力:アンドリュー・ラウ
出演:ドニー・イェン、ニコラス・ツェー、フー・ジュン
製作国:香港・中国
4月公開予定
公式サイト
http://sonbun.gaga.ne.jp/
君も明日からヒーローだ!? ヒーロー映画2本の予告編
『キック・アス』『グリーン・ホーネット』
映画の世界には2種類のヒーローが存在する。スーパーマンやスパイダーマンのように、特殊能力を正義のために役立てようとするヒーロー。もうひとつのタイプは、特殊能力は持たないが、「正義」に目覚めてヒーローを始めてしまうタイプ。バットマンがこれにあたる。今回の2本は後の方のタイプだ。
まずは『キック・アス』の予告編から。
ヒーローに憧れる男が、自称ヒーローの"キックアス"になる。しかし悪を倒すつもりが...逆にボコボコにされる。当たり前だ。ヒーローの格好だけではヒーローにはなれない。仮面ライダーの衣装を着ても、仮面ライダーにはなれないのと同じだ。
そこに登場するのが"ヒット・ガール"。演じるのはクロエ・グレース・モレッツだ。モレッツは『(500)日のサマー』(2009年)で主人公に恋のアドバイスをする少女として脚光を浴びた。モレッツは1997年生まれでまだ13歳だが、すでに数多くの映画に出ている。僕が13歳の時に何をしていたかと思い返せば・・・350ml缶のコカ・コーラを一気飲みして、友達に自慢してました(笑)。
ヒット・ガールは必殺の二丁拳銃と格闘技で悪党を抹殺!・・・強すぎます。どうやらバイオレンス描写が多いようで、アメリカで成人指定されたのも納得。ところで以前から思っていたのだが、未成年の出演者たちは、成人指定された自分の出演作を観ることができるのだろうか?
彼女の父親を演じるのはニコラス・ケイジ。こちらもバットマンもどきのコスプレで登場する。『キック・アス』の原作はコミック。ケイジはコミック好きで有名なので、この役に指名されてきっと幸せなはずだ。
本作のプロデューサーはブラッド・ピットで、監督はマシュー・ヴォーン。さて、この2人のつながりは?
ガイ・リッチー監督作『スナッチ』(2000年)では、ヴォーンはプロデューサーを、ピットはご存知の通り主演を務めている。その時以来の仲ではないかと想像できる。
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もう1本は、『グリーン・ホーネット』。
こちらも"お目覚め系"のヒーローもの。新聞社の社長が勝手に"グリーン・ホーネット"となり、助手のカトーと共に悪と戦う映画である。
『グリーン・ホーネット』は1960年代に放送されて人気を博したテレビドラマだ。その時にグリーン・ホーネットの助手、カトーを演じたのは『燃えよドラゴン』(1973年)でブレイクする前のブルース・リーである。
今回の映画版でカトーを演じるのは誰か?と話題になっており、『少林サッカー』(2001年)のチャウ・シンチーなどが候補に挙がったが、最終的には『カンフー・ダンク!』(2008年)のジェイ・チョウに決まった。
主演のグリーン・ホーネットを演じるセス・ローゲンは『スーパーバッド 童貞ウォーズ』(2007年)などのコメディ映画での好演でアメリカでは人気の俳優だが、日本での知名度は低い。演技だけでなく脚本も書く才人で『グリーン・ホーネット』でも脚本を担当している。彼が出演している『俺たちニュースキャスター』(2004年)や『恋するポルノ・グラフィティ』(2009年)も面白いのでオススメ。セス・ローゲンが日本でも人気者になることを願う。
予告編には、主人公が改造車を乗り回してハイテンションになっていたり、銃を持って必要以上に嬉しそうにしているシーンがある。ふと、『アイアンマン』(2008年)を思い出した。ロバート・ダウニーJr.がアイアンマンのスーツ作りにひきこもって没頭しているのと同じ感じ。ヒーローというより、プラモデル作りで徹夜している高校生の感覚ですね。
最初から特殊能力を持っているヒーローより、普通の人がヒーローになるべく、必死になる姿の方が、僕は観ていて心が熱くなるが、皆さんはどうだろう。
両作品とも「いつかは自分もヒーローになれる」レベルは★★★★★(★五つが満点)。
でも夢中になりすぎて、実生活でコスプレ・ヒーローを目指さないように!(当たり前だって)
今回注目した予告編
『キック・アス』と『グリーン・ホーネット』
★『キック・アス』
監督・製作:マシュー・ヴォーン
出演:アーロン・ジョンソン、クロエ・グレース・モレッツ、ニコラス・ケイジ、
制作国:アメリカ
12月18日より公開
公式サイト:
http://www.kick-ass.jp/index.html
★『グリーン・ホーネット』
監督:ミシェル・ゴンドリー
脚本:エヴァン・ゴールドバーグ、セス・ローゲン
出演:セス・ローゲン、ジェイ・チョウ、キャメロン・ディアス
2011年1月22日より公開
公式サイト:
http://www.greenhornet.jp/
東京国際映画祭、東京フィルメックスを始め、秋は映画祭が多く開催される。
僕にとって思い出深い映画祭は、1985年から2005年まで渋谷で開催されていた東京国際ファンタスティック映画祭である。"東京ファンタ"の愛称で親しまれ、ホラーやSF、アクション分野にフォーカスして数々のユニーク作品を日本で初めて紹介してくれた映画祭だった。
なんと言ってもファンが集まって作品をリスペクトする、あの空気感が最高だった。オープニングのクレジットで監督や主演俳優の名前が出てきた時、映画が山場を迎えた時には歓声や拍手が巻き起こった。そんなお祭り騒ぎ的なノリが楽しいイベントであった。
今回紹介するのは、もし今もファンタスティック映画祭が開催されていたらきっと上映されたであろう映画の予告編だ。
まずは『クレイジーズ』。
ジョージ・A・ロメロ監督による『ザ・クレイジーズ/細菌兵器の恐怖』(1973年)のリメイク版だ。リメイク版では、ロメロは製作総指揮を務めている。
細菌兵器を載せた軍用機がある小さな町に流れる川に墜落し、その川の水を飲んだ人間が凶暴化(クレイジー)する。人間がウィルスに感染するという設定は、『バイオハザード』シリーズ(2001年~)や『28日後...』(2002年)に近いかも。子供たちが野球をしているグラウンドにバットを持った男が突然乱入!そんな日常が凶暴化する恐怖が滲み出たシーンが連続する。
予告編全体に漂うのは「悲壮感」。家族や親しい人が感染したら人はどうするのか?また、誰が感染したのか分からない状態で誰もが不信感にさいなまれる様子が描かれている。
終盤に流れる曲は、イギリスの2人組のバンド、ティアーズ・フォー・ティアーズの名曲『狂気の世界』。この歌は『ドニー・ダーコ』(2001年)でも使われていた。♪マッド・ワールド...♪という悲しい歌詞が、この救いなき世界を描いた映画にはピッタリだ。
本作には"東京ファンタ"的な視点でこんな評価を。カルトとも言っていいジャンルの往年の名作を掘り出してリメイクした製作者たちの心意気にまずは敬意を表したい。そしてホラー映画一筋の人生を歩み続ける巨匠ジョージ・A・ロメロにスタンディング・オベーションを捧げる!
次は『マチェーテ』の予告編。
なんとこの映画、ロバート・ロドリゲス監督による異色作、『プラネット・テラー in グラインドハウス』(2007年)の"オマケ"として作られた架空の映画の予告編『マチェーテ』が元ネタである。ニセ予告編をほんとうの作品にしたってことだ。
『マチェーテ』のニセ予告編を観た時に「面白いから本編作ってくれないかな」と思っていたのだが、まさかの映画化で夢が叶いました。
主人公のマチェーテはある組織の依頼で上院議員の暗殺を企てるが、実は組織のワナだった...という展開である。マチェーテを演じるのはダニー・トレホ。本作が初主役である。
トレホは"ハリウッドの悪役商会"と言っていいほど見た目が怖い俳優で、元ギャングという経歴を持つ筋金入りのヒールである。そして実は本作の監督、ロバート・ロドリゲスの親戚筋でもあるそうだ。親族愛なのか、ヒールばかりの配役を見かねたロドリゲス監督の温情か、ロドリゲス監督作品『スパイ・キッズ』(2001年)では子供に優しい"マチェーテおじさん"を好演した。でもマチェーテおじさんには、こんな恐ろしい素顔があるんですよ。
"東京ファンタ"的な視点で観ると「キャスティングの賑やかさ」に心が踊る。ジェシカ・アルバはロドリゲス監督の『シン・シティ』(2005年)に出演していたから、想像するにロドリゲスから「ちょっと出てくんない?」と頼まれたのかも。さらに、『キル・ビル』(2003年)のダリル・ハンナみたいな片目の戦士を演じるミシェル・ロドリゲスもいい味を出している。そして何といってもロバート・デ・ニーロ、スティーブン・セガール、ドン・ジョンソン、リンジー・ローハンなど、超豪華な出演者たちを無駄にキャスティングしているところに大きな拍手を送りたい!(ほめてるんですよ)
それにしてもハリウッドって『グラン・トリノ』(2008年)のような名作が制作される一方で、「よくこんなの本気で作るよな」としか思えない映画が作られているのがすごい(ほめてるんですよ)。
"東京ファンタ"は幕を下ろしたが、「ファンタな気分度」はいずれも★★★★★!(★五つが満点)
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今回注目した予告編
『クレイジーズ』と『マチェーテ』
★『クレイジーズ』
監督:ブレック・アイズナー
製作総指揮・オリジナル脚本:ジョージ・A・ロメロ
脚本:スコット・コーサー、レイ・ライト
出演:ティモシー・オリファント、ラダ・ミッチェル、ダニエル・バナベイカー
制作国:アメリカ
11月13日より公開
公式サイト
公式サイト:
http://crazies.jp/
★『マチェーテ』
監督:ロバート・ロドリゲス、イーサン・マニキス
脚本:ロバート・ロドリゲス、アルヴァロ・ロドリゲス
出演:ダニー・トレホ、ジェシカ・アルバ、ロバート・デニーロ、ミシェル・ロドリゲス
スティーブン・セガール
制作国:アメリカ
11月6日より公開
公式サイト
:
http://www.machete.jp/
NHK大河ドラマ『龍馬伝』にハマッている。幕末を生きる人間たちの、歴史に翻弄されながらも日本を変えようとする物語から目が離せない。
『龍馬伝』の影響なのかは分からないが、今年の秋以降は『桜田門外ノ変』『最後の忠臣蔵』『武士の家計簿』など、時代劇映画が次々と公開される。今回はサムライ映画の予告編を2本紹介しよう。
1本目は『十三人の刺客』。
"監督 三池崇史 『クローズZERO』シリーズ"とのテロップから始まった。
三池崇史はホラー『オーディション』(2000年)や日本製西部劇『スキヤキ・ウェスタン ジャンゴ』(2007年)、アニメを実写化した『ヤッターマン』(2008年)など、多岐に渡るジャンルの映画を撮っている。しかも多作で、2000年から2010年の間に監督した映画は40本近く(!!)もあり、まさに"ひとり映画工場"である。そんな三池監督は海外での人気も高い。あのクエンティン・タランティーノ監督も熱烈な三池ファンの1人だ。そういえば、タランティーノは『スキヤキ・ウェスタン ジャンゴ』に出演も果たしている。
役所広司が扮する主人公、島田が12人の男たちを引きつれて、暴君の明石藩主である松平を暗殺する計画を実行しようとする。ちなみに本作は、工藤栄一監督の『十三人の刺客』(1963年)のリメイク版だ。
オリジナル版での松平はかなりの悪党だったのだが、リメイク版でこの役を演じるのはSMAPの稲垣吾郎。この役にジャニーズの人気タレントとは意外なキャスティングで、これは面白い。
島田が12人のサムライたちに言う。
「預かった命、使い捨てにいたす」
"使い捨て軍団"っていえば、前回このコラムで紹介した『エクスペンダブルズ』(2010年)と同じ。ということは、これは"サムライ版エクスペンダブルズ"なのか!?
13人の刺客と300人の護衛を率いる藩主の対決が迫る。
オリジナル版では敵の数は53人だったのが...300人って。流行りのRPGゲームの影響なのか、敵の数が多すぎないか?
「斬って、斬って、斬りまくれ!」
激しい戦いが始まるのだが、このシーンで流れる曲がなぜか1970年代を代表するバンド、イーグルスの名曲『デスペラード』...。
邦画で流れる英語の歌というと、思い出す作品がある。横溝正史の原作を映画化した『悪霊島』(1981年)では、あのビートルズの『レット・イット・ビー』が使われていたが、当時小学生だった僕はビートルズを知らなかったために、しばらくの間、「レット・イット・ビー」を"『悪霊島』の歌"と勝手に名前をつけて覚えていた。
キャスティングは『クローズ ZERO』(2007年)の山田孝之と高岡蒼輔、『スキヤキ・ウェスタン ジャンゴ』の伊勢谷友介、『神様のパズル』(2008年)の谷村美月、それに脚本は『オーディション』の天願大介と、三池組のスタッフと俳優が大集結している。
三池監督が初めて手がける本格的時代劇。どんな映画に仕上がっているかという期待を込めて、劇場に向かって走れレベルは★★★★★!
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次は『サムライアベンジャーズ 復讐剣 盲狼』。
「世界中の映画祭が騒然!脅威のハイ・インパクト・ムービー、ついに日本上陸」のナレーションから始まる。
監督・主演は日本人。現在ハリウッドで活躍している光武蔵人(みつたけ くらんど)である。家族を殺されて盲目となった男が、剣を手に復讐を遂げようとするという内容だ。
盲目の主人公が登場する時代劇といえば『座頭市物語』(1962年)を始めとする『座頭市』シリーズを思い出さないわけにはいかない。『座頭市』はアメリカでも評価を得ており、ハリウッドではリメイク版『ブラインド・フューリー』(1989年)が製作された。他にも『盲目ガンマン』(1971年)という西部劇もある。
『サムライアベンジャー』も斬りまくっているが、刀で斬られて血が噴水のように出るスプラッター・ムービー系の描写に加え、ゾンビまで登場。ごった煮の感覚が満載の映画だが、予告編を観るかぎりかなりのインパクトがある。
この予告編を観て頭に浮かんだのがクエンティン・タランティーノ監督の『キル・ビル Vol.1』(2003年)である。『キル・ビル Vol.1』のクライマックスでも激しいチャンバラが繰り広げられていたが、これは若山富三郎主演の映画版『子連れ狼』シリーズ(1972~1974年)にタランティーノ自身が強い影響を受けていたからだといわれている。アメリカでは、シリーズ1作目『子連れ狼 子を貸し腕貸しつかまつる』(1972年)と2作目『子連れ狼 三途の川の乳母車』(1972年)を1本にまとめて公開された『Shogun Assassin』(1980年)の影響だが、タランティーノは自作で『子連れ狼』の人斬りシーンを再現したかったのだろう。
タランティーノは自分の好きな作品のシーンをあからさまに引用する特徴がある。監督デビュー作『レザボアドッグス』(1991年)だって元ネタは香港映画『友は風の彼方に』(1986年)だし。光武監督は「自分が大好きな作品の影響を受けた作品を作るタランティーノの作品に影響を受けた監督」なのかもしれない。『サムライアベンジャー』も時代劇や西部劇、ホラーなど、監督の好きなものをありったけ詰め込んだ作品になっているようだ。
こういう映画、好きですよ。もし自分が映画を監督していいと言われたら、こんな映画になりそうだし。それに『サムライアベンジャー』には『パルプ・フィクション』(1994年)の渋い脇役、アマンダ・プラマーも出演している。そんなところにもタランティーノの足跡を見つけることができる。
『サムライアベンジャー』はすでに公開済みでDVDがリリースされている。新しい才能を見つけるためにレンタル屋に向かって走れレベルは★★★★★!
今回注目した予告編
『十三人の刺客』と『サムライアベンジャー 復讐剣 盲狼』
★『十三人の刺客』
監督:三池崇史
脚本:天願大介
出演:役所広司、山田孝之、伊勢谷友介、高岡蒼輔
制作国:日本
9月25日より公開中
公式サイト:
http://13assassins.jp/main.html
★『サムライアベンジャー 復讐剣 盲狼』
監督・脚本・主演:光武蔵人
出演:ジェフリー・ジェームズ・リボルド、ドミチアーノ・アーカンジェリ、
アマンダ・プラマー
制作国:アメリカ
公開済み。8/27よりDVDリリース
公式サイト:
http://www.samurai-avenger.jp/index.html
熱き男たちが活躍する映画2本の予告編
『ヤギと男と男と壁と』『エクスペンダブルズ』超能力と腕力で世界を救え!
猛暑日が続く今年の夏、エアコンの効いた映画館はまさに最良の避難場所だ。高校時代に冷房の強い映画館で3本立を観て風邪をひいた思い出もあるが、映画館は涼と娯楽を同時に得られる素晴らしい場所なのである。
今回は、猛暑の最中、涼しい映画館に"熱い男たち"を見に行こうという提案だ。
まずは『ヤギと男と男と壁と』の予告編から。
いきなり千原ジュニアが登場する。
「僕がこの映画のタイトルをつけました」
タレントが字幕監修をすることはあるが、タイトルを考えたというのは珍しい。
兵士リン(ジョージ・クルーニー)がヤギをにらむ場面。ジーッとにらむと...
ヤギが倒れる。
それを見た他の兵士は言う。「何てやつだ」
「これは実在したアメリカ軍超能力部隊の物語」とのテロップ。
超能力というと、ユリ・ゲラーという人を思い出す(知ってる人、手を挙げて!)。1970年代に日本を席捲した超能力ブームの主役だ。ユリ・ゲラーは多数のテレビ番組に登場して、止まった時計を動かしたり、スプーンを曲げたりしていた。当時小学生だった僕もスプーンを曲げようとしたが、決して曲がることはなかった。(実はさっきも挑戦してみたが、やっぱりスプーンは曲がりませんでした・泣)
超能力者を描き話題となった作品には、ブライアン・デ・パルマ監督の『キャリー』(1976年)や『フューリー』(1978年)がある。映画史に残る『キャリー』のラストシーンに度肝を抜かれた人は多いだろう。
ユアン・マクレガー演じる記者、ボブが、リンに「あなたが平和(ジェダイ)の戦士ですか?」と尋ねる。ジェダイとは『スター・ウォーズ』(1977年~)シリーズに登場する戦士のこと。『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』(1999年)から始まった『スター・ウォーズ』新3部作に、ジェダイ戦士のオビ・ワン=ケノービ役で出演しているマクレガーにそう言わせるのだから、シャレがきいている。
『クレイジー・ハート』(2009年)でアカデミー主演男優賞を受賞したジェフ・ブリッジスも出演している。オスカー男優であるのに、アクション『アイアンマン』(2008年)とか、これから公開されるSF大作『トロン:レガシー』(2010年)など、どんな作品の出演依頼も断らないエラい俳優である。ちなみに『トロン:レガシー』は『トロン』(1982年)のリメイク。ブリッジスはオリジナル版に出演していた。
また、『セブン』(1995年)でアカデミー賞の助演男優賞、『アメリカン・ビューティー』(1999年)で同賞の主演男優賞を受賞したケヴィン・スペイシーが、ダークサイドに堕ちた超能力者を演じている。随分骨太の俳優陣に脇を固めさせたものだ。ダークサイドに堕ちた人って、ダース・ベイダーのことですね。ベイダーを思わせる場面も出てくるし。
予告編を見る限り、そんな豪華なキャストのわりには、"熱い"というよりヌル~い雰囲気が漂っているところが映画ファンの興味をさらにそそる。超能力部隊の訓練シーンもなんだかヨガ教室みたいだし・・・。
そもそも、ヤギを倒すことで平和を守れるのか?ってことですよ。
主演のジョージ・クルーニーは、本作でプロデューサーも兼任している。『グッドナイト&グッドラック』(2005年)では、監督、脚本、主演をこなし、コメディ『インフォーマント!』(2009年)では自身は出演せず、製作総指揮を担当。興味が湧いたら何でも挑戦する男である。そんな訳で、「俺とスペイシー、マクレガー、ブリッジスの豪華メンバーでコメディ作ってみたよ。面白そうだろ?」と言いながら、子どものような笑みを浮かべるクルーニーを想像してしまうのである。
予告編の最後に登場して、壁に激突する男は『アバター』(2009年)で悪い大佐を演じたスティーヴン・ラングだ。『アバター』ではヒール役のシリアスな演技に徹していたラングだが、こっちでは何だか楽しそうだ。
クルーニー隊長が率いる超能力部隊の(ヌルくて)笑える活躍に期待して、"劇場に行こうレベル"は★★★★★(★五つが満点)。
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次の紹介するのは、『エクスペンダブルズ』。
『ヤギと男と男と壁と』から一変して、『エクスペンダブルズ』の予告編は熱いです。
まず、ライオンズゲートとミレニアムフィルムのロゴが表示される。ライオンズゲートは『ソウ』(2004年~)シリーズを作った会社だし、ミレニアムフイルムは『ランボー 最後の戦場』(2008年)を製作した会社である。すでにこの段階でホラー・サスペンス・アクション映画好きならワクワクしてしまう。
次いで、
「全世界興奮、エクスペンダブルズ(消耗品軍団)降臨!」
と威勢のいいナレーション。登場するのはシルベスター・スタローン、ジェイソン・ステイサム、ジェット・リー、ミッキー・ローク、ドルフ・ラングレン、ブルース・ウィリス、そしてアーノルド・シュワルツネッガー!!!!!もはや説明不要の超一級アクション野郎たちだ。
他にもジュリア・ロバーツの兄で『暴走機関車』(1985年)など多数のサスペンス・アクション映画に出演しているエリック・ロバーツ、そしてアメリカ版『北斗の拳』(1995年)でケンシロウ役を演じたゲイリー・ダニエルズも参戦!
まるでアクション映画版「K-1グランプリ」である。このキャスティング、熱いどころかスクリーンから炎が噴き出しそうな勢いだ。
「ハリウッド映画史上最強の軍団が仕掛ける、アクション核弾頭!」
"アクション核弾頭"ときましたか。確か、『ロッキー4/炎の友情』(1985年)でスクリーン・デビューしたドルフ・ラングレンが『レッド・スコルピオン』(1988年)の公開時に与えられたキャッチフレーズが"人間核弾頭"だった。これはその"応用"ですね。
続いては、男たちの肉弾戦に次ぐ肉弾戦。窓をぶち破る車、マシンガン、爆発!
「命知らずの傭兵軍団、エクスペンダブルズ!」
締めは、スタローン隊長が銃を撃つ!撃つ!撃つ!
これでおしまい。わずか30秒の予告編である。
予告編として短いですか?
短くないよ。アクション映画ファンならこれで十分だ。歴代のアクション番長たちが大暴れする映画であることが分かるから、もう補足することはない。
観たいやつは観ればいい、興味がないやつは観るな。
そんな潔い姿勢、僕は好きだから観ますけど何か?ちなみに8月の公開週には、興行成績第1位を記録した。やっぱり「こんな映画を待ってたぜ!」という人はたくさんいるのだ。
『ターミネーター4』(2009年)では、CGのみで出演しているシュワルツネッガーの姿にガッカリしたものだ。でも『エクスペンダブルズ』ではCGなし、生身での出演が実現した。政界に行ったまま、もう映画界には帰ってこないだろうと思っていたシュワちゃん。彼の映画によく登場する得意のキメ台詞「I'll be back」がこんな形で実現しました。おかえりなさい!
スタローン隊長率いるドリームチームの活躍に期待して、『エクスペンダブルズ』の"アクション映画が好きなら絶対に前売り券を買えレベル"は当然★★★★★!
今回注目した予告編
『ヤギと男と男と壁と』と『エクスペンダブルズ』
★『ヤギと男と男と壁と』
監督:グラント・ヘスログ
脚本:ピーター・ストローハン
出演:ジョージ・クルーニー、ジェフ・ブリッジス、ユアン・マクレガー、
ケヴィン・スペイシー、ヤギ
制作国:アメリカ
8月14日より公開中
公式サイト:
http://www.yagi-otoko.jp/
★『エクスペンダブルズ』
監督・出演:シルベスター・スタローン
脚本:シルベスター・スタローン、デヴィッド・キャラハム
出演:ジェイソン・ステイサム、ジェット・リー、ミッキー・ローク、ドルフラングレン、
ブルース・ウィリス、アーノルド・シュワルツネッガー、その他男たち大勢
制作国:アメリカ
10月16日より公開
公式サイト:
http://www.expendables.jp/
腹を抱えて笑えるか!? 最新コメディ映画2本の予告編
『ゾンビランド』&
『ハングオーバー! 消えたハナムコと史上最悪の二日酔い』
コメディ映画を観に劇場へ走れ!でもゾンビはゆっくり歩け!
現在、日本の映画館では邦画と洋画を併せて1年間に800本近い映画が公開されている。劇場公開以外にもDVDストレート(日本で劇場公開を経ずにDVD化される作品)の映画もあるから、1年間にリリースされる映画の本数はもっとすごい数になる。とはいえ、海外では大ヒットしたにもかかわらず、日本ではなかなか劇場公開されない洋画がある。それはコメディ映画だ。ヒュー・グラントやサンドラ・ブロックが主演しているメジャーな映画を除けば、コメディの多くはDVDストレート。そうした中、今回選んだのは劇場公開に漕ぎ着けることができた貴重な作品である。
まずは、アメリカでは大ヒットした『ゾンビランド』の予告編から。
その前に「ゾンビ」について簡単におさらいしておこう。ゾンビとは、死から蘇った生ける屍のこと。人間を襲い、噛まれた人間もまたゾンビになる。それにしてもなぜ死んだ人間がゾンビになるのか?
ゾンビ映画の古典といわれる『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』(1968年)では、放射能が原因で死体が蘇ったのでは?という説明があった記憶がある。とはいえ(まぁ、細かいことはさておき、とりあえず死体が生き返ったんだな~)と大らかな気持ちで見るのがゾンビ映画の作法だ。そんなざっくりとした設定から生まれたジャンルだからなのか、最近はホラーというよりコメディに位置付けられるゾンビ映画が多い。例えば30代のダメ男が主人公の『ショーン・オブ・ザ・デッド』(2004年)。ゾンビをペット代わりにするというおバカな設定の『ゾンビーノ』(2006年)。これらはホラー嫌いの人にもオススメできる。邦画でも哀川翔と浅野忠信が主演の『東京ゾンビ』(2005年)がありましたね。
では『ゾンビランド』の予告編を見てみよう。
「ここはもはやアメリカ合衆国ではない。ゾンビ合衆国(ランド)である」とナレーション。いきなりゾンビが人間を襲い、ゾンビたちに追われる人間たち......。
ここでストップ!!!(Webの予告編は本当に止められて便利である)
あぁ、ゾンビが走っているなあ。
ご存知だろうか。ゾンビ映画マニアは、"ゾンビはゆっくり歩いてほしい派"と、"腐った肉体に鞭打って元気に走り回るゾンビがいてもいいじゃないか派"に二分され、激しい議論が繰り広げられていることを。(どこで?)
『ゾンビ』(1978年)などの初期の作品では、ゾンビはゆっくりノロノロと歩いていたものだ。『バタリアン』(1985年)では走るゾンビが出ていたが、『28日後...』(2002年)や『ドーン・オブ・ザ・デッド』(2004年)など比較的最近の作品から全力疾走するゾンビが多く出現するようになった。
ゆっくり歩くゾンビを描き続ける巨匠、ジョージ・A・ロメロ監督の『ダイアリー・オブ・ザ・デッド』(2007年)にはこんなセリフがある。
「死体が走ったら脚の関節がちぎれるだろ!」
その通りである。ゆっくり歩く派の僕にとっては、(裏)映画史に残る名ゼリフである。だって死体が走ったら、パニック映画の暴動シーンと変わらないでしょう?「ゾンビなんてノロマだから大丈夫だ」と油断しているやつらが、いつのまにか無数のゾンビに囲まれてガブリ!が、ゾンビ映画の不条理であり、恐ろしさだと信じているからである。
予告編には、
「ゾンビ映画 全米歴代興行収入史上NO.1!」
のテロップ。
ちなみにこれまでのゾンビ映画全米NO.1ヒット作品は先述の『ドーン・オブ・ザ・デッド』である。
生き残ったのは、胃弱の引きこもり童貞少年。童貞少年を演じるのは、家庭崩壊コメディ『イカとクジラ』(2005年)のジェシー・アイゼンバーグだ。もう一人のタフなガンマンを演じているのは『2012』(2009年)のウディ・ハレルソン。
ウディ・ハレルソンって、『ナチュラル・ボーン・キラーズ』(1994年)とかもそうだけど、カタギの役ってあまりないような気がする。そして詐欺師の姉妹を演じるのは、青春コメディの傑作と言われる『スーパーバッド 童貞ウォーズ』(2007年)のエマ・ストーンと『私の中のあなた』(2009年)のアビゲイル・ブレスリンだ。
彼らが目指すのは、ロサンゼルスにある「パシフィックランド」。そこにはゾンビはいないらしい。パシフィックランドってディズニーランドのことか?
面白いのが"ゾンビの世界で生き残る32のルール"。「トイレにご用心!」とか、「二度撃ちでトドメをさせ!」とか。「二度撃ち」は、ゾンビは脳を破壊されると動かなくなるから、頭を二度撃っておけという意味だろう。32って他にどんなルールがあるのか知りたくなった。
そこはゾンビに囲まれた救いなき世界のはずなのに、予告編はコメディ的な描写で最後まで明るく突っ走っている。ホラー映画が苦手な人でも楽しめる映画になっているはずだ。
よって「ゾンビとコメディ映画好き」にとって、前売り券を買っておきたいレベルは★★★★★である(★五つが満点)。
* * * * * * * * *
次は『ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い』の予告編だ。
やたら長い邦題であるが、この映画が劇場公開に至った経緯にふれておこう。ゴールデングローブ賞では作品賞(コメディ・ミュージカル部門)を受賞し、アメリカではコメディ映画史上最大のヒットを記録したものの、日本では劇場公開されず、2010年3月にDVDリリースされる予定だった。ところが、「劇場で公開されるべきだ!」というファンの声が高まり、劇場公開を求める会の発足に至った。ネット上での署名運動の結果、ついに劇場公開が実現したという珍しい作品である。
因みに、同じように映画ファンの署名運動で劇場公開された作品では『ホットファズ 俺たちスーパーポリスメン!』(2007年)がある。
かく言う僕自身も『ハングオーバー!』の署名に参加した1人なので、劇場公開は嬉しいかぎりである。だってコメディ映画は大勢で観た方が盛り上がって面白いに決まってるから。
まずは「結婚式を2日後に控えた新郎ダグは、悪友3人とドンチャン騒ぎの旅へ」とのナレーション。
悪友の3人を演じるのは、『特攻野郎Aチーム THE MOVIE』(2010年)に出演しているブラッドリー・クーパー、『ナイトミュージアム2』(2009年)のエド・ヘルムズ、そして『マイレージ、マイライフ』(2009年)のザッカリー・ガリフィナーキスである。そしてダグと悪友たちが向かったのはラスベガスだ。
結婚式前に新郎と男友達が大騒ぎすることを"バチェラー・パーティ"という。バチェラー・パーティを描いた映画ではトム・ハンクスの『独身SaYoNaRa! バチェラー・パーティ』(1984年)や、クリスチャン・スレイターとキャメロン・ディアスが共演でブラックジョーク連発の『ベリー・バッド・ウェディング』(1989年)などがある。
男たちだけのパーティは楽しい夜になるはずだったが・・・待っていたのは史上最悪の二日酔い(ハングオーバー)だった。朝、ホテルで目覚めると、そこにはなぜかニワトリがいる。焼け焦げたソファ。そして本物のトラが部屋を歩き回っている!
さらに...なぜか赤ん坊が!誰の赤ん坊なんだ?
なのに新郎のダグがいない。結婚式は明日なのに......。悪友のズッコケ3人組は、新郎を探そうとするが、酒の飲みすぎで何も覚えていない。
僕もお酒は好きですが、ここまで記憶を失ったことはございません。酒飲みの映画といえば、ルトガー・ハウアー主演の『聖なる酔っ払いの伝説』(1988年)や、ニコラス・ケイジがアルコール依存症の男を演じてアカデミー主演男優賞を受賞した『リービング・ラスベガス』(1995年)を思い出すが、そんな2人にも「お前ら飲み過ぎだろ!」とさじを投げられそうだ。
一向に見つからない花婿。そして結婚式は5時間後......。
予告編の最後にはマイク・タイソンが登場する。もちろん、タイソン本人役で。なぜ「もちろん」なのか? だって彼、『ロッキー・ザ・ファイナル』(2006年)でも本人役だったし。きっとハリウッドには「マイク・タイソンへの出演オファーは本人役に限る」というルールが存在しているんだと思う。
とにかくすごく面白そうでしょ?7月3日から公開...って、もう公開中だ!
というわけで、「(署名運動に参加した人もしなかった人も)映画館に向かって走れ!」レベルは★★★★★!
今回注目した予告編
『ゾンビランド』と『ハングオーバー 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い』
★『ゾンビランド』
監督:ルーベン・フライシャー
出演:ウディ・ハレルソン、ジェシー・アイゼンバーグ、
アビゲイル・ブレスリン、エマ・ストーン
制作国:アメリカ
2010年7月24日より公開
公式サイト:
http://www.zombieland.jp/
★『ハングオーバー 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い』
監督:トッド・フィリップス
出演:ブラドッリー・クーパー、ヘザー・グラハム
制作国:アメリカ
7月3日より公開中
公式サイト:
http://wwws.warnerbros.co.jp/thehangover/
リメイク映画2本の予告編
『ベスト・キッド』&『特攻野郎Aチーム THE MOVIE』
バック・トゥ・80年代な気分になれる予告編!
最近ハリウッドではリメイク映画が多い。新しいアイディアがないなら昔の映画をリメイクしようという考えからか、テレビドラマや往年の映画のリメイクした作品が目立つ。『オリジナル版を好きなファンとしては複雑な心境だが、どうやってリメイクされているのかと気になって、今日も映画館に足を運ぶ。今回紹介するのは、80年代のテレビドラマと映画をリメイクした作品の予告編である。
まずは、『ベスト・キッド』である。
予告編を観る前に、この映画について説明します。オリジナルの『ベスト・キッド』(1984年)は、東海岸からカリフォルニアに転校してきた高校生ダニエル(ラルフ・マッチオ)が、不良にからまれたところを日系人のミヤギ(ノリユキ・パット・モリタ)に助けられる。自分の身を守るためにミヤギから空手を習い、空手大会に出場するという物語である。
監督は『ロッキー』(1976年)のジョン・G・アヴィルドセンで、青春とスポーツを組み合わせた構成は『ロッキー』に似ている。『ベスト・キッド』は大ヒットし、のちに続編が3本製作された。ちなみに『ベスト・キッド4』(1994年)には当時無名だった『ミリオンダラー・ベイビー』(2004年)のヒラリー・スワンクが主演していた。『ベスト・キッド4』の出来は決していいとは思えないが、空手を通したミヤギとスワンクの関係は『ミリオンダラー・ベイビー』におけるクリント・イーストウッドとスワンクの関係に似ている...かもしれない。
では予告編を観てみよう。
主人公ドレ(演じるのはウィル・スミスの息子、ジェイデン・スミスである)が中国での新しい生活を始めるために、母親と北京へ行く。
母親と北京での暮らしを始めたドレだが、「少年を待ち受けていたのは...」というナレーションと共に、いかにも乱暴そうでガキ大将みたいな男子が登場する。予想通り、ドレはガキ大将にボコボコにされる。
「もう家に帰りたいよ!」とせがむドレに、母親は「ここが家なのよ」と答える。そう、逃げる場所はないのだ。
ふたたび、ガキ大将のイジメにあうドレ。そこで登場するのは...
ジャッキー・チェン!
ジャッキーは言う。「いじめを止めたいのなら、立ち向かえ。私が教えよう」
そしてトレーニングが始まる。
「上着を脱いでかけろ」とジャッキーに言われて、木に上着をかけるドレ。しかしジャッキーは「それを取れ」、「それを着ろ」と言う。言われるままにするドレ。上着をかけて、取り、着る。この動作を繰り返させるジャッキー師匠。
オリジナルの『ベスト・キッド』を観た人には、ピンとくる場面である。自動車のワックスをかけろと言うミヤギが、ダニエルに「右手でワックスをかけ、左手でワックスを拭くのじゃ」と命ずるシーンがある。この訓練が何のためなのか分からないまま、ダニエルはワックスをかけて拭く動作を繰り返す。だが、それが空手の防御になる訓練だとダニエルは気づく。ドレが特訓を受けるシーンは、ジャッキー・チェンの出世作『スネーキーモンキー/蛇拳』(1976年)や『ドランクモンキー/酔拳』(1978年)でジャッキーが修行する場面を思い出す。ドレをいじめるガキ大将がいる空手道場の師範が登場するが、この師範を演じるのはユー・ロン・グアンである。ユー・ロン・グアンは『香港国際警察 NEW POLICE STORY』(2004年)でジャッキー・チェンと敵対する刑事を演じていた。
最後にジャッキーがハシでハエを捕らえようとするシーンで予告編は終わる。これもオリジナル版でミヤギが「ハエをつかむ者はすべてを制する」と言ってハエを捕まえようとするシーンを思わせる。リメイク版でも、ジャッキーがハエを捕まえるかと思ったら...。
予告編を観て、今から前売り券を買っておきたいレベルは★★★★である。
(★五つが満点)。
星ひとつ減点の理由は、主人公が中国で空手の訓練をするという設定に疑問だからである。それにジャッキー・チェンは空手ではなくカンフー映画スターですから。せっかくジャッキーが師匠の役を演じるのなら『カンフー・キッド』にすればいいのに。
でも、中学生の時からジャッキーの映画を観ていたファンにとっては"ジャッキーに指導されて武術の特訓をする"という憧れの設定だから、この映画は期待してもいい。
* * * * * * * * *
続いては、『特攻野郎Aチーム MOVIE』の予告編である。
『特攻野郎Aチーム』は、1985年から1988年に日本でも放送されたドラマである。土曜日の午後3時に放送されていたので、当時高校生だった私は3時前に家に帰るようにして観ていた。この時代は"ゆとり教育"という優雅なものはなかったので、土曜も授業は普通にあったのである。
予告編を観る前に、80年代に日本でも放送されたこのドラマについて説明します。
ベトナム戦争でならした特攻部隊の兵士であるハンニバル、フェイスマン、マードック、B・A・バラカスの4人は、濡れ衣を着せられアメリカ当局に逮捕された。だが刑務所を脱出した彼らは、弱き者を助けて悪を倒す正義の味方、Aチームとなる。
さっそく予告編を観てみよう。まずは裁判所で「当法廷はアルファ部隊、別名Aチームを10年間の刑にする」と判決を受けるシーンから始まる。オリジナル版が放送された80年代ではベトナム戦争に出撃したAチームだったが、リメイクではイラク戦争に変更されている。
Aチームのリーダー、ハンニバル大佐を演じるリーアム・ニーソンは『96時間』(2008年)でもアクション映画の俳優として活躍している。他のメンバーもフェイスマン(ブラッドリー・クーパー)をはじめ、マードック(傑作『第9地区』のシャールト・コプリー!)、B・A・バラカス(格闘家のクイントン・"ランペイジ"・ジャクソン)に扮する俳優はドラマ版のキャストに近い雰囲気を持っている。そしてAチームを追うのは『ブレイド3』(2004年)に出ていたジェシカ・ビールと『ウォッチメン』(2009年)のパトリック・ウィルソンである。
そして、モヒカンヘアの屈強な男、BAバラカスは飛行機を見て言う。
「飛行機だけはカンベンな」。
このセリフを聞いてピンときた人は、ドラマ版『Aチーム』が好きな人ですね。
実はバラカスは飛行機に乗るのが大嫌いなのである。もし飛行機で移動する必要がある時は、睡眠薬を飲まされたりして飛行機に乗せられるという"お約束の展開"がドラマには出てくる。このセリフを聞くだけでドラマのファンは嬉しくなるのだ。
予告編ではAチームが派手なアクションを展開し、ジェシカ・ビールが「連中はバカをやらせたら天才」と言う。ハイ、その通りです。Aチームは無敵ですから。そしてドラマ版『Aチーム』の特色として、激しい銃撃戦や爆発、カーチェイスはあるが死人が出ない点である。悪党は罰するが命までは奪わないという健全なアクションドラマだったが、このポイントもリメイク版では守られていると信じている。
今回のリメイク版「Aチーム」の監督はジョー・カーナハンである。カーナハンは麻薬捜査官の実態をリアルに描いた『NARC/ナーク』(2002年)で監督デビューし、注目を浴びる。『NARC』を観たトム・クルーズがカーナハンを『ミッション:インポッシブル3』の監督に抜擢するが、クリエイティブ面での意見の相違で降板。その後『スモーキン・エース/暗殺者がいっぱい』(2007年)を撮る。『スモーキン・エース』は殺し屋、マフィア、FBIが入り乱れたアクション・クライム・コメディだったが、カーナハン監督が「三池崇史監督が作るような映画を目指した」というとおり、ハジけた映画になっていて、個人的には好きな作品である。そして今回のリメイク版『Aチーム』の予告編を見るかぎり、カーナハンが得意とするアクションとコメディがうまく作用していると思うのだ。
予告編にはドラマでも使われていた音楽が流れて、ファンにはたまらないですね。
正直言って、このドラマの映画版を映画館のスクリーンで観る日が来ようとは夢にも思わなかった。この予告編を見た瞬間、自分が"土曜日の高校生"に戻りました。いくつになっても、心に学ランを着る人間にとっては至福の予告編である。
よって、今から前売り券を買っておきたいレベルは文句なしの★★★★★!
でも、つまらないリメイクだけはカンベンな!
今回注目した予告編
『ベスト・キッド』と『特攻野郎Aチーム THE MOVIE』
★『ベスト・キッド』
監督:ハラルド・ズワルト
脚本:クリストファー・マーフィー
出演:ジャッキー・チェン、ジェイデン・スミス
製作国:アメリカ
2010年8月14日より公開
公式サイト:
http://www.bestkid.jp/#
★『特攻野郎Aチーム THE MOVIE』
監督:ジョー・カーナハン
脚本:ジョー・カーナハン、ブライアン・ブルーム、スキップ・ウッズ
出演:リーアム・ニーソン、ブラッドリー・クーパー
2010年8月20日より公開
公式サイト:
http://movies.foxjapan.com/ateam/#
最新SF映画2本を斬る!
『第9地区』&『月に囚われた男』
製作費よりもアイデアが大事だと実感!
2010年4月、日本人宇宙飛行士を含む7人を乗せたスペースシャトル・ディスカバリーが宇宙に向けて飛び立った――。
「宇宙」を題材とした小説や漫画、映画は枚挙にいとまがない。未知の世界である宇宙への想像力をかきたてられるからであろう。僕が最初に映画館で観た洋画は『スター・ウォーズ』(1977年)である。『スター・ウォーズ』を観て宇宙に明るい夢を抱いたのだが、その後『エイリアン』(1979年)に出会うと宇宙の闇とそこに潜む恐怖に背筋が凍った。今回の2本はどうだろう。
まずは『第9地区』。宇宙から飛来したエイリアンが、地球のあるエリアで難民として暮らしているという物語だ。製作総指揮は『ロード・オブ・ザ・リング』(2001年)を監督したピーター・ジャクソン。そして監督は本作がデビュー作となるニール・ブロムカンプである。
予告編は、『インディペンデンス・デイ』(1996年)に登場したような巨大な宇宙船にヘリコプターが近づいていく場面から始まる。この宇宙船は南アフリカのヨハネスブルグ上空から動かない。エイリアンたちは難民として地球で暮らしているのだ。
ドキュメンタリー風のカメラワークが「宇宙船を直して早く出て行け!」「やつらの武器はすごいんだ!」と訴える地元の少年たちを映し出す一方、尋問室のような部屋に連れ込まれたらしきあるエイリアンは、こう告げる。
「家に帰りたい」
「第9地区」とは、ヨハネスブルグに作られたエイリアン居住地区の名前である。やがて、政府はエイリアンを第9地区から別の場所に強制的に移住させようとする。その計画の担当者に選ばれたのがヴィカスという男だ。ところが、ある出来事をきっかけにヴィカスはエイリアンたちとの絆を深めることになる。エイリアンが地球に来た真の目的を知ったのだ。エイリアンにヴィカスがこう叫ぶ。
「生き抜くんだ!」
テーマはエイリアンと人間の共存だ。同様のテーマの作品には『エイリアン・ネイション』(1988年)がある。エイリアンたちがロスアンゼルスで暮らす近未来、人間とエイリアンの刑事がコンビを組んで捜査に挑む。『エイリアン・ネイション』の脚本をノンクレジットでリライトしたのは『アバター』(2009年)のジェームズ・キャメロン監督である。プロデューサーを務めたのが当時のキャメロンの妻、ゲイル・アン・ハードだったため、おそらく一肌脱いだのだろう。
また、『ヒドゥン』(1987年)もエイリアンと人間の絆を描いた作品だ。地球に逃げてきた凶悪なエイリアンを追う正義のエイリアンが、ロス市警の刑事と友情を深め、悪のエイリアンと戦う。
『第9地区』は、監督は新人だし出演しているのは馴染みのない俳優ばかり。しかも、製作費は高騰が続くハリウッドにおいては比較的低予算の3000万ドル(約30億円)。にもかかわらずアメリカで公開されるやいなや大ヒットを記録し、アカデミー賞作品賞にもノミネートされた。なぜか?
南アフリカ出身のブロムカンプ監督は、自身が目にした人種隔離政策(アパルトヘイト)の醜さと愚かさをこの映画で描こうとしたのだ。人種差別問題をSFで描く――映画は金をつぎ込めばいいというわけではないという、象徴のような作品である。
やっぱり、アイデアだなぁ。
2本目は『月に囚われた男』。こちらは逆に、地球から宇宙に飛び立った男の物語だ。
予告編は「近未来の地球ではエネルギーが底をつき、新たな燃料源を月で採掘している。その作業を行うため、1人の男が派遣された」というテロップで始まる。
月に派遣された男、サム・ベルを演じるのはサム・ロックウェルである。サム・ロックウェルは以前にも『ギャラクシー・クエスト』(1999年/僕のお気に入りの1本です!)や、『銀河ヒッチハイクガイド』(2005年)などのSF映画に出演している。
サムが月に派遣される3年間、話し相手はコンピューターのガーティだけ。ガーティは『2001年宇宙の旅』(1968年)に登場し、当時世界の度肝を抜いたコンピューター、HALを想像させる。ガーティの声は『ユージュアル・サスペクツ』(1995年)でアカデミー助演男優賞を受賞した名優、ケヴィン・スペイシーが担当している。
月での派遣期間が残り2週間となった日、サムは月で他にいるはずのない人間を発見する。
その男はサムにそっくりだった。このミッションは、何かおかしい・・・
サムはガーディに「この男は誰だ!」と問うが、答えは「あなたの妄想です」。
予告編はサムのこのセリフで終わった。
「家に帰りたい」
『月に囚われた男』の監督ダンカン・ジョーンズは、あの伝説のアーティスト、デヴィッド・ボウイの息子だ。ここでクイズ。ダンカン・ジョーンズ監督の父、デヴィッド・ボウイが坂本龍一、ビートたけしと共演した映画は何でしょう?(答えは下段に)
初監督作品ながら各国で数々の賞を獲得している。製作費は500万ドル(約4億6000万円)と超低予算。なのに、なぜサム・ロックウェルやケヴィン・スペイシーをキャスティングできたのか?
宇宙で独り暮らす男のサムに自分そっくりの男が出現したら?
なぜそんなことが起きるのか?
2人の俳優はこの作品の着眼点と脚本の完成度にほれ込んで出演を受けたそうだ。
この映画でもやっぱりアイデアがものをいったわけだ。
今回紹介した2本の予告編には、どちらも新人監督の作品、どちらもお金ではなくアイデアで観客を唸らせているという共通点がある。加えて、予告編からもわかるように、鍵となるセリフはどちらも「家に帰りたい」だ。かたや地球に取り残されたエイリアンのセリフであり、もう一方は宇宙でひとりぼっちにされた人間のセリフである点も面白い。
ド派手なCGや豪華な(だけの?)キャスティングに膨大な予算をつぎこんだ映画にはない、独創性に富んだ世界。この2本の映画を観て、宇宙への思いを馳せよ!
答え:『戦場のメリークリスマス』(1983年)。この作品で坂本龍一は音楽も担当している。プロデューサーのジェレミー・トーマスは『ラストエンペラー』(1987年)でも坂本に音楽を依頼。坂本はデヴィッド・バーン、スー・ソンと共にアカデミー賞の作曲賞を受賞した。
今回注目した予告編
『第9地区』と『月に囚われた男』
★『第9地区』
監督:ニール・ブロムカンプ
脚本:ニール・ブロムカンプ、テリー・タッチェル
出演:シャールト・コプリー、デヴィッド・ジェームズ
製作国:アメリカ/ニュージーランド
4月10日より公開中
公式サイト:
http://d-9.gaga.ne.jp/#
★『月に囚われた男』
監督・原案:ダンカン・ジョーンズ
脚本:ネイサン・パーカー
出演:サム・ロックウェル、ケヴィン・スペイシー
製作国:イギリス
4月10日より公開中
公式サイト:
http://www.moon-otoko.jp/site/
アクション映画2本の予告編
『冷たい雨に撃て、約束の銃弾を』『シャーロック・ホームズ』
男たちの競演を堪能せよ!
3月8日、米国アカデミー賞授賞式が行われ、『ハート・ロッカー』と『アバター』の賞争いに決着がついた。前回このコラムで取り上げた『ハート・ロッカー』は、作品賞を含めて6部門を受賞! というわけで、本編を観てきた。予告編の印象以上に、始まりから最後まで、爆弾処理の緊張感と戦争の恐ろしさが伝わってきた。
アカデミー賞では無冠に終わった『第9地区』は、4月に日本で公開される。『アバター』と似たようなテーマ、つまり"宇宙人と人間の共存"を描いており、米国での評価はとても高いので、必ず劇場で観ようと思う。
それでは、予告編評を始めよう。
まずは『冷たい雨に撃て、約束の銃弾を』から。"男の絆"にこだわった作品を撮り続けているジョニー・トー監督の最新作だ。
『冷たい雨に撃て、約束の銃弾を』はフランスと香港の共同制作で、「フレンチ・ノワールと香港ノワールの融合」と宣伝されている。フィルム・ノワールというのは犯罪映画を意味しており、フレンチ・ノワールはフランスの犯罪映画の名称だ。ジャン=ピエール・メルヴィル監督の『いぬ』(1963年)、『ギャング』(1966年)などがフレンチ・ノワールとして分類される。香港ノワールという言葉はジョン・ウー監督作『男たちの挽歌』(1986年)が日本で公開された時に考えられたものであり、『インファナル・アフェア』(2002年)も香港ノワールといえるだろう。『冷たい雨に撃て、~』はフランス映画の香りを強く感じさせる、独特な邦題だ。最近のフレンチ・ノワールの代表作、『あるいは裏切りという名の犬』(2004年)や『やがて復讐という名の雨』(2007年)に似てますよね。
本作はジャン=ピエール・メルヴィル監督作『仁義』(1970年)のリメイク版としてアラン・ドロンの主演を念頭に企画されていた。その後、「オーランド・ブルームを主演に」という話も持ち上がったが、最終的には『列車に乗った男』(2002年)のジョニー・アリデイが主人公のコステロを演じることになった。アラン・ドロン自身によるリメイクという楽しみはなくなったものの、コステロという名前はアラン・ドロンが『サムライ』(1967年)で演じた「コステロ」と同じである。偶然なのか、粋な計らいか?
予告編は、マカオでコステロの家族が銃に撃たれるシーンから始まる。フランスでレストランを経営するコステロは、家族の悲劇を知り復讐を誓う。原題『Vengeance(復讐)』の通り、これはコステロの復讐の物語だ。マカオに着いたコステロは、そこで知り合った3人の殺し屋、クワイ、フェイロク、チュウに復讐の手助けを頼んだ。
3人の殺し屋を演じるのは、トー監督の作品『エグザイル/絆』(2006年)に出演したアンソニー・ウォンとラム・カートン、ラム・シュである。クワイを演じるアンソニー・ウォンは『インファナル・アフェア』で知っている人も多いだろう。
コステロは3人に頼む。「俺にも銃をくれ」
実は、コステロはかつて凄腕の殺し屋だったのだ。
コステロが無人の自転車を撃った。自転車は銃弾の反動ではね上がる。さらに殺し屋3人が交代で銃を撃つと、なんと、その勢いで自転車が走り出した。4人の間に言葉はないが、これは友情の証を表現したシーンである。
思い出すのはジョニー・トー監督が1999年に撮った『ザ・ミッション 非情の掟』だ。殺し屋チームの4人が紙くずをサッカーボールのように蹴ってお互いにパスし合うシーンが印象的だった。彼は、ハードボイルドな世界に生きる男の心情を表すのが上手い。
コステロは殺し屋たちに言う。「私は"レ・フレール"という名前のレストランを持っている。"兄弟"という意味だ。あんたらにやる」と。こうして、男達は"兄弟"となった。
そして銃撃戦...。
新聞紙の巨大な塊を転がしながらの銃撃戦だ。「?」と思うかもしれないが、そうとしか表現のしようがない。まるで運動会の大玉転がし、不思議な映像だ。私流に解釈すれば、これぞまさに"トー節"。黒社会(中国マフィア)を描きながら銃弾が一発も撃つことのない『エレクション』(2005年)や、登場する人物全員が柔道家である『柔道龍虎房』(2004年)と同じように独特の世界を作り出している。
「昔、頭に銃弾を食らったことがある。やがて私は記憶を失う」とコステロは言う。
しかしクワイは言う。「心配するな。(それでも復讐の)約束は守る」。
ほんとうに約束が守られるかどうかは、本編を観てのお楽しみである。
予告編の2本目は、テレビのスポットCMでも大宣伝中の『シャーロック・ホームズ』だ。名探偵シャーロック・ホームズを主人公にしたドラマや映画は今まで数多く作られてきた。
(なぜまたホームズが映画に?)と意外に感じたのだが、さらに驚いたのは、監督をガイ・リッチーが務めていることだ。ガイ・リッチーですよ、あの。
デビュー作『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』(1998年)で鮮烈なデビューを果たし、『スナッチ』(2000年)でその地位を確かなものにする。その後、マドンナと結婚。『流されて...』(1974年)のリメイク版である『スウェプト・アウェイ』(2000年)をマドンナ主演で撮ったあたりから、ファンの間で(どうしちゃったの?)という声が上がり、続く『リボルバー』(2005年)も賛否両論を呼んだ。
このままリッチーの評価もキャリアも流されて...となるかと思われたが、2008年、ロンドンの裏街道で生きる男たちを描いた『ロックンローラ』では、復活の兆しを見せた。
ここでクイズ。
ガイ・リッチーと結婚する前に、マドンナが結婚していたハリウッド俳優は?
(※答えは最下段にあります)
では予告編を見てみよう。
シャーロック・ホームズを演じるロバート・ダウニーJr.が登場。ホームズの相方のワトソンはジュード・ロウだ。
ホームズ最強の敵、ブラックウッド卿は死んでも生き返るらしい。このSF的というか、ファンタジー色が強い設定は、若きホームズの青春物語と『インディ・ジョーンズ』を足して2で割ったような映画、『ヤング・シャーロック ピラミッドの謎』(1985年)を思わせる。
コナン・ドイルによる原作では、ホームズは格闘技が得意。予告編にも敵の「耳、ノド、腹部」を連打するシーンがある。さらに、上半身裸で格闘技に挑む場面も。これはそうそう、『スナッチ』のブラッド・ピットが演じたファイターと同じだ。
爆発、そして格闘技に派手なアクション。(ハリウッド映画そのものだなあ)と思った人は大正解です。だって、プロデューサーを務めているのがジョエル・シルヴァーなのだから。
シルヴァーは80年代に『コマンドー』(1985年)、『リーサル・ウェポン』(1987年)、『ダイ・ハード』(1988年)を製作、90年代には『マトリックス』(1999年)を世に送り出した名プロデューサーだ。当コラムの第1回で取り上げた『ニンジャ・アサシン』(2009年)も彼のプロデュース作だ。
映画業界では、撮影に備えて俳優に肉体改造を課すプロデューサーとしても知られている。『リーサル・ウェポン』ではメル・ギブソンを減量させ、『マトリックス』ではキアヌ・リーヴスをダイエットさせてクンフーの特訓を積ませた。『ニンジャ・アサシン』でも主演のRain(ピ)は肉体を鍛え上げ、激しいアクションを見せていた。
本作でもダウニーJr.が見せたことのない引き締まった筋肉を披露している。こりゃ、シルヴァーにかなり絞られたな(笑)。
アクションに加えて主演2人の掛け合いも楽しめそうだ。破天荒なダウニーJr.に振り回されるジュード・ロウ。2人の掛け合いは『リーサル・ウェポン』のメル・ギブソンとダニー・グローヴァーのやりとりのように楽しめそうだ。
どうやら、推理小説の古典+ハリウッド式ド派手な爆発&アクションという数式の答えは「全米大ヒット」となったようだ。おそらく続編も作られるに違いない。
コステロと3人の殺し屋たち。そしてシャーロック・ホームズとワトソン。ひとくせもふたくせもある男たちの競演を、ぜひ劇場で堪能したい。
クイズの答え:ショーン・ペン。
2人は1985年に結婚し1989年に離婚。その後ショーン・ペンは実力派の俳優として注目され、『ミスティック・リバー』(2003年)でオスカーを受賞。ガイ・リッチーは2008年に離婚後、本作『シャーロック・ホームズ』のヒットで復活を遂げた。というわけで、マドンナに関わった男は(離れてからだが)出世している。マドンナは"あげまん"なのかもしれない。"あげまん"とは、男にツキをもたらす女性のことで映画にもなっている。(名監督、伊丹十三の『あげまん』(1990年)がそれ)マドンナ="あげまん"説については、MTCのディレクターである石井清猛さんとも議論し、合意に至っていることをここに記しておく。
今回注目した予告編
『冷たい雨に撃て、約束の銃弾を』と『シャーロック・ホームズ』
★『冷たい雨に撃て、約束の銃弾を』
監督:ジョニー・トー
脚本:ワイ・カーファイ
出演:ジョニー・アリディ、アンソニー・ウォン、ラム・カートン、ラム・シュ
製作国:香港、フランス
2010年5月ロードショー
公式サイト:
http://judan-movie.com/
★『シャーロック・ホームズ』
監督:ガイ・リッチー
脚本:マイケル・ロバート・ジョンソン、アンソニー・ベッカム、
サイモン・キンバーグ
出演:ロバート・ダウニー・Jr. ジュード・ロウ、
レイチェル・マクアダムス、マーク・ストロング
製作国:アメリカ
2010年3月12日より公開
公式サイト:
http://wwws.warnerbros.co.jp/sherlock/#home
アカデミー賞ノミネート作品2本の予告編!
『ハート・ロッカー』&『マイレージ、マイライフ』
サスペンスとヒューマンドラマ、はたして受賞のゆくえは?
秋から年明けにかけて日本で公開されるハリウッド映画の中には"アカデミー賞 有力候補"と宣伝されるものがある。受賞すれば興行面において大きなプラスになるからだろう。2月2日、アカデミー賞のノミネート作品が発表された。今年最大の話題は、『タイタニック』(1997年)がもつ全世界興行収入記録を抜いたジェームズ・キャメロン監督作品『アバター』(2009年)が、9部門でノミネートされたことだ。
『タイタニック』もキャメロン監督の作品で、1998年のアカデミー賞では11部門に輝いた。授賞式でキャメロンが『タイタニック』のセリフを引用して「アイアム・ザ・キング・オブ・ザ・ワールド(僕は世界の王様だ)!」と叫んだのは有名な話。今回は、2月以降日本公開作品で、アカデミー賞にノミネートされている2本の予告編を紹介したい。
まず1本目は、女性監督キャスリン・ビグローの『ハート・ロッカー』だ。『ホリデイ』(2006年)のナンシー・マイヤーズや『ジュリー&ジュリア』(2009年)のノーラ・エフロンなど、今では女流監督はそう珍しくはない。しかしキャスリン・ビグローはバンパイアホラー『ニア・ダーク/月夜の出来事』(1987年)や日本でも話題となった『ブルー・スチール』(1990年)、ハリソン・フォードとリーアム・ニーソン出演の潜水艦パニック『K-19』(2002年)など、ハリウッドでもかなりタフなアクションやサスペンス映画を撮り続けているつわものだ。他の女性監督と比べると異質の存在だと言えるだろう。
ちなみにキャスリン・ビグローは先に述べたジェームズ・キャメロン監督と結婚していた(89年に結婚、91年に離婚)。ビグローが監督したヒット作『ハートブルー』(1991年)ではキャメロンが製作総指揮を務め、『ストレンジ・デイズ/1999年12月31日』(1995年)でも彼が製作、原案、脚本を担当していた。今年のアカデミー賞ではキャメロンとビグローの"元夫婦の賞争い"にも注目したい。
『ハート・ロッカー』はある日本の配給会社が購入し、既に公開されているべき作品だったが、その会社が倒産したために日本では公開未定のままになっていた。一時はお蔵入りかと思われていたので嬉しいかぎりである。
予告編は「主要映画賞75冠達成。本年度アカデミー賞最有力候補」というナレーションで始まった。今年のアカデミー賞で『ハート・ロッカー』は『アバター』と並ぶ最多の9部門でノミネートされているから大げさではない。
防護服を着たアメリカ兵士が爆弾に近づいていく・・・。そして起こる爆発。
この場面で防護服を着ている兵士は『L.A.コンフィデンシャル』(1997年)のガイ・ピアースである。他にもレイフ・ファインズやデヴィッド・モースといったお気に入りの役者も出演しているが、残念ながら予告編には登場しない。
2004年のバクダッド。アメリカ軍の爆弾処理班に、873個の爆弾を処理した経験を持つジェームズ二等兵(ジェレミー・レナー)が赴任してくる。さっそく爆弾処理の任務を開始するジェームズ。複数の爆弾に囲まれて思わずつぶやく。
「すげえ」
大型ライフルやスローモーションで落ちる薬きょう。『ブルー・スチール』のオープニングは38口径リボルバーのアップから始まり、クールで重厚な世界観を表現していたが、本作でも銃器に対するビグロー監督のこだわりがうかがえる。
爆弾処理兵たちの過酷な現場と緊迫感が伝わってくる。「いつか死ぬ。俺だって」と怯える兵士に向かってジェームズが言う。
「皆、何かが怖い。そうだろ?」
ビグロー監督の作品は、どれも危険と紙一重の男たちの物語だ。『ハートブルー』はキアヌ・リーブス扮する刑事が銀行強盗グループを逮捕するために潜入捜査を試みるというストーリーだった。『K-19』はロシアの潜水艦内で起こった放射能漏れを防ごうとする兵士たちの、命をかけた勇姿を描ききっていた。
タイトルの『ハート・ロッカー』の原題は『Hurt Locker』。「ハート」は「心」(Heart)ではない。「痛み(Hurt)に閉じ込められた(Locker)状態」という意味だろう。最近は原題のままのタイトルで公開される作品が多い。しかし、本来の意味がそのままカタカナで伝わるかというとそうでもない。まずは原題の意味についてじっくり考えることをお薦めしたい。作品の世界観をより深く、正確に知ることができるからだ。
『アバター』では"3D映像革命"による臨場感が話題になっているが、『ハート・ロッカー』はリアルな戦闘、つまり肉体的、心理的な"痛み"を描ききることで、観客に3Dとは異なる臨場感を与える作品だ。予告編だけを観ても、それが伝わってくる。
2本目は作品賞、監督賞をはじめ6部門にノミネートされている『マイレージ、マイライフ』。監督は『サンキュー・スモーキング』(2006年)で注目され、『JUNO/ジュノ』(2007年)で2007年アカデミー賞監督賞部門にノミネートされたジェイソン・ライトマンである。ちなみに彼の父親は『ゴーストバスターズ』(1984年)などを監督したあのアイヴァン・ライトマンであり、本作では製作を務めている。
元夫婦やら親子やら、ハリウッドは意外に狭い世界である。
予告編はこちらも「本年度アカデミー賞作品賞 有力候補だ」と煽るテロップで始まった。
「主人公のライアン(ジョージ・クルーニー)は1年のうち322日を出張し、その飛行距離は月よりも遠い35万マイル」とナレーションが流れる。ライアンの仕事はリストラ宣告人。容赦なくリストラを実行していく。予告編には『JUNO/ジュノ』に出演していたJ・K・シモンズ、それから偶然だろうが監督と名前が似ているジェイソン・ベイトマンが登場する。
新人女性スタッフ、ナタリーの実地研修としてライアンは彼女と一緒に旅に出ることになった。
ライアン:「空港の税関ではシニアの後ろには並ぶな。時間がかかる。
並ぶならアジア系の後ろに並べ。荷物が少なくムダがない」
ナタリー:「それって人種差別ですよ」
欧米の映画にはつきもののシーンだが、ちょっと複雑な心境になる。
「何のためにマイルを?」と聞かれたライアンは「ポイントを貯めるためだ」と答える。さて、マイレージといえば、『パンチドランク・ラブ』(2002年)でアダム・サンドラー扮する主人公がプリンを大量に買ってマイルを貯め、愛する女性に会いにハワイに行こうとするシーンが頭から離れない。
『マイレージ、マイライフ』は作家ウォルター・カーンの小説が元になっている。したがってノミネートの1つは脚本ではなく脚色賞だ。ウォルター・カーン作品では、他にも『サムサッカー』(2005年)が映画化されている。『マイレージ、マイライフ』の予告編を見ると、人を会社から切り捨てる職業のライアンが、やがて人間同士の繋がりが大切だと思うようになるまでのヒューマンドラマと想像できる。何だかありがちなストーリーだと思えなくもないが、ライトマンは女子高生の妊娠から始まる、今までにありそうでなかった青春ラブストーリー『JUNO/ジュノ』を撮った監督だ。本作もいい意味で予想を裏切る展開になることを期待しよう。
『マイレージ、マイライフ』のタイトルについても触れておきたい。原題は『Up in the Air』である。おかしな邦題をつけて公開される映画もあるが、もし原題のまま「アップ・イン・ザ・エアー」だったら、皆さんはどんな映画を想像するだろう?何十万マイルも旅をしてきた男が自分の人生を振り返る物語という内容を考えれば、これは上手い邦題だと思う。
さて、ここで問題。『カールじいさんの空飛ぶ家』の原題は? ヒントは、なんと単語1つ、しかもアルファベット2文字です。 ※答えは最下段に記載
NY批評家協会賞とLA批評家協会賞では、『ハート・ロッカー』がすでに作品賞、監督賞を受賞しているが、アカデミー賞の前哨戦となるゴールデン・グローブ賞では『アバター』が同賞を獲得している。
3月7日のアカデミー賞授賞式ではキャメロンが再び「キング・オブ・ザ・ワールド!」と叫ぶのだろうか? それとも元妻のビグローが女性初の監督賞に輝くか? はたまた大穴のジェイソン・ライトマンか? どうしても劇場に足を運べない人は、予告編だけで予想を立てるのも楽しいかもしれない。
今回注目した予告編
『ハート・ロッカー』と『マイレージ、マイライフ』
★『ハート・ロッカー』
監督:キャスリン・ビグロー
脚本:マーク・ボール
出演:ジェレミー・レナー、アンソニー・マッキー、レイフ・ファインズ、
デヴィッド・モース、ガイ・ピアース
制作国:アメリカ
2010年3月6日より公開
公式サイト:
http://hurtlocker.jp/#home
★『マイレージ、マイライフ』
監督・製作:ジェイソン・ライトマン
脚本:ジェイソン・ライトマン、シェルダン・ターナー
出演:ジョージ・クルーニー、ジェイソン・ベイトマン、
ヴェラ・ファーミガ、アナ・ケンドリック
制作国:アメリカ
2010年3月10日より公開
公式サイト:http://www.mile-life.jp/#home
『カールじいさんの空飛ぶ家』の原題は『Up』。
原題のままの「アップ」より『カールじいさんの空飛ぶ家』の方が内容が伝わりますよね。