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アクション映画2本の予告編『冷たい雨に撃て、約束の銃弾を』『シャーロック・ホームズ』男たちの競演を堪能せよ!
2011年01月26日

アクション映画2本の予告編
『冷たい雨に撃て、約束の銃弾を』『シャーロック・ホームズ』
男たちの競演を堪能せよ!

3月8日、米国アカデミー賞授賞式が行われ、『ハート・ロッカー』と『アバター』の賞争いに決着がついた。前回このコラムで取り上げた『ハート・ロッカー』は、作品賞を含めて6部門を受賞! というわけで、本編を観てきた。予告編の印象以上に、始まりから最後まで、爆弾処理の緊張感と戦争の恐ろしさが伝わってきた。
アカデミー賞では無冠に終わった『第9地区』は、4月に日本で公開される。『アバター』と似たようなテーマ、つまり"宇宙人と人間の共存"を描いており、米国での評価はとても高いので、必ず劇場で観ようと思う。

それでは、予告編評を始めよう。
まずは『冷たい雨に撃て、約束の銃弾を』から。"男の絆"にこだわった作品を撮り続けているジョニー・トー監督の最新作だ。
『冷たい雨に撃て、約束の銃弾を』はフランスと香港の共同制作で、「フレンチ・ノワールと香港ノワールの融合」と宣伝されている。フィルム・ノワールというのは犯罪映画を意味しており、フレンチ・ノワールはフランスの犯罪映画の名称だ。ジャン=ピエール・メルヴィル監督の『いぬ』(1963年)、『ギャング』(1966年)などがフレンチ・ノワールとして分類される。香港ノワールという言葉はジョン・ウー監督作『男たちの挽歌』(1986年)が日本で公開された時に考えられたものであり、『インファナル・アフェア』(2002年)も香港ノワールといえるだろう。『冷たい雨に撃て、~』はフランス映画の香りを強く感じさせる、独特な邦題だ。最近のフレンチ・ノワールの代表作、『あるいは裏切りという名の犬』(2004年)や『やがて復讐という名の雨』(2007年)に似てますよね。

本作はジャン=ピエール・メルヴィル監督作『仁義』(1970年)のリメイク版としてアラン・ドロンの主演を念頭に企画されていた。その後、「オーランド・ブルームを主演に」という話も持ち上がったが、最終的には『列車に乗った男』(2002年)のジョニー・アリデイが主人公のコステロを演じることになった。アラン・ドロン自身によるリメイクという楽しみはなくなったものの、コステロという名前はアラン・ドロンが『サムライ』(1967年)で演じた「コステロ」と同じである。偶然なのか、粋な計らいか?

予告編は、マカオでコステロの家族が銃に撃たれるシーンから始まる。フランスでレストランを経営するコステロは、家族の悲劇を知り復讐を誓う。原題『Vengeance(復讐)』の通り、これはコステロの復讐の物語だ。マカオに着いたコステロは、そこで知り合った3人の殺し屋、クワイ、フェイロク、チュウに復讐の手助けを頼んだ。

3人の殺し屋を演じるのは、トー監督の作品『エグザイル/絆』(2006年)に出演したアンソニー・ウォンとラム・カートン、ラム・シュである。クワイを演じるアンソニー・ウォンは『インファナル・アフェア』で知っている人も多いだろう。

コステロは3人に頼む。「俺にも銃をくれ」
実は、コステロはかつて凄腕の殺し屋だったのだ。

コステロが無人の自転車を撃った。自転車は銃弾の反動ではね上がる。さらに殺し屋3人が交代で銃を撃つと、なんと、その勢いで自転車が走り出した。4人の間に言葉はないが、これは友情の証を表現したシーンである。
思い出すのはジョニー・トー監督が1999年に撮った『ザ・ミッション 非情の掟』だ。殺し屋チームの4人が紙くずをサッカーボールのように蹴ってお互いにパスし合うシーンが印象的だった。彼は、ハードボイルドな世界に生きる男の心情を表すのが上手い。

コステロは殺し屋たちに言う。「私は"レ・フレール"という名前のレストランを持っている。"兄弟"という意味だ。あんたらにやる」と。こうして、男達は"兄弟"となった。
そして銃撃戦...。

新聞紙の巨大な塊を転がしながらの銃撃戦だ。「?」と思うかもしれないが、そうとしか表現のしようがない。まるで運動会の大玉転がし、不思議な映像だ。私流に解釈すれば、これぞまさに"トー節"。黒社会(中国マフィア)を描きながら銃弾が一発も撃つことのない『エレクション』(2005年)や、登場する人物全員が柔道家である『柔道龍虎房』(2004年)と同じように独特の世界を作り出している。

「昔、頭に銃弾を食らったことがある。やがて私は記憶を失う」とコステロは言う。
しかしクワイは言う。「心配するな。(それでも復讐の)約束は守る」。

ほんとうに約束が守られるかどうかは、本編を観てのお楽しみである。

予告編の2本目は、テレビのスポットCMでも大宣伝中の『シャーロック・ホームズ』だ。名探偵シャーロック・ホームズを主人公にしたドラマや映画は今まで数多く作られてきた。

(なぜまたホームズが映画に?)と意外に感じたのだが、さらに驚いたのは、監督をガイ・リッチーが務めていることだ。ガイ・リッチーですよ、あの。

デビュー作『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』(1998年)で鮮烈なデビューを果たし、『スナッチ』(2000年)でその地位を確かなものにする。その後、マドンナと結婚。『流されて...』(1974年)のリメイク版である『スウェプト・アウェイ』(2000年)をマドンナ主演で撮ったあたりから、ファンの間で(どうしちゃったの?)という声が上がり、続く『リボルバー』(2005年)も賛否両論を呼んだ。
このままリッチーの評価もキャリアも流されて...となるかと思われたが、2008年、ロンドンの裏街道で生きる男たちを描いた『ロックンローラ』では、復活の兆しを見せた。

ここでクイズ。
ガイ・リッチーと結婚する前に、マドンナが結婚していたハリウッド俳優は?
(※答えは最下段にあります)

では予告編を見てみよう。

シャーロック・ホームズを演じるロバート・ダウニーJr.が登場。ホームズの相方のワトソンはジュード・ロウだ。
ホームズ最強の敵、ブラックウッド卿は死んでも生き返るらしい。このSF的というか、ファンタジー色が強い設定は、若きホームズの青春物語と『インディ・ジョーンズ』を足して2で割ったような映画、『ヤング・シャーロック ピラミッドの謎』(1985年)を思わせる。

コナン・ドイルによる原作では、ホームズは格闘技が得意。予告編にも敵の「耳、ノド、腹部」を連打するシーンがある。さらに、上半身裸で格闘技に挑む場面も。これはそうそう、『スナッチ』のブラッド・ピットが演じたファイターと同じだ。

爆発、そして格闘技に派手なアクション。(ハリウッド映画そのものだなあ)と思った人は大正解です。だって、プロデューサーを務めているのがジョエル・シルヴァーなのだから。

シルヴァーは80年代に『コマンドー』(1985年)、『リーサル・ウェポン』(1987年)、『ダイ・ハード』(1988年)を製作、90年代には『マトリックス』(1999年)を世に送り出した名プロデューサーだ。当コラムの第1回で取り上げた『ニンジャ・アサシン』(2009年)も彼のプロデュース作だ。

映画業界では、撮影に備えて俳優に肉体改造を課すプロデューサーとしても知られている。『リーサル・ウェポン』ではメル・ギブソンを減量させ、『マトリックス』ではキアヌ・リーヴスをダイエットさせてクンフーの特訓を積ませた。『ニンジャ・アサシン』でも主演のRain(ピ)は肉体を鍛え上げ、激しいアクションを見せていた。

本作でもダウニーJr.が見せたことのない引き締まった筋肉を披露している。こりゃ、シルヴァーにかなり絞られたな(笑)。

アクションに加えて主演2人の掛け合いも楽しめそうだ。破天荒なダウニーJr.に振り回されるジュード・ロウ。2人の掛け合いは『リーサル・ウェポン』のメル・ギブソンとダニー・グローヴァーのやりとりのように楽しめそうだ。

どうやら、推理小説の古典+ハリウッド式ド派手な爆発&アクションという数式の答えは「全米大ヒット」となったようだ。おそらく続編も作られるに違いない。

コステロと3人の殺し屋たち。そしてシャーロック・ホームズとワトソン。ひとくせもふたくせもある男たちの競演を、ぜひ劇場で堪能したい。

クイズの答え:ショーン・ペン。
2人は1985年に結婚し1989年に離婚。その後ショーン・ペンは実力派の俳優として注目され、『ミスティック・リバー』(2003年)でオスカーを受賞。ガイ・リッチーは2008年に離婚後、本作『シャーロック・ホームズ』のヒットで復活を遂げた。というわけで、マドンナに関わった男は(離れてからだが)出世している。マドンナは"あげまん"なのかもしれない。"あげまん"とは、男にツキをもたらす女性のことで映画にもなっている。(名監督、伊丹十三の『あげまん』(1990年)がそれ)マドンナ="あげまん"説については、MTCのディレクターである石井清猛さんとも議論し、合意に至っていることをここに記しておく。



今回注目した予告編
『冷たい雨に撃て、約束の銃弾を』と『シャーロック・ホームズ』



★『冷たい雨に撃て、約束の銃弾を』
監督:ジョニー・トー
脚本:ワイ・カーファイ
出演:ジョニー・アリディ、アンソニー・ウォン、ラム・カートン、ラム・シュ
製作国:香港、フランス
2010年5月ロードショー
公式サイト:http://judan-movie.com/


★『シャーロック・ホームズ』
監督:ガイ・リッチー
脚本:マイケル・ロバート・ジョンソン、アンソニー・ベッカム、
   サイモン・キンバーグ
出演:ロバート・ダウニー・Jr. ジュード・ロウ、
   レイチェル・マクアダムス、マーク・ストロング
製作国:アメリカ
2010年3月12日より公開
公式サイト:http://wwws.warnerbros.co.jp/sherlock/#home