戦え!シネマッハ!!!!!

Chewing over TOP » 戦え!シネマッハ!!!!! » 腹を抱えて笑えるか!? 最新コメディ映画2本の予告編『ゾンビランド』&『ハングオーバー! 消えたハナムコと史上最悪の二日酔い』

腹を抱えて笑えるか!? 最新コメディ映画2本の予告編『ゾンビランド』&『ハングオーバー! 消えたハナムコと史上最悪の二日酔い』
2011年01月26日

腹を抱えて笑えるか!? 最新コメディ映画2本の予告編
『ゾンビランド』&
『ハングオーバー! 消えたハナムコと史上最悪の二日酔い』
コメディ映画を観に劇場へ走れ!でもゾンビはゆっくり歩け!

現在、日本の映画館では邦画と洋画を併せて1年間に800本近い映画が公開されている。劇場公開以外にもDVDストレート(日本で劇場公開を経ずにDVD化される作品)の映画もあるから、1年間にリリースされる映画の本数はもっとすごい数になる。とはいえ、海外では大ヒットしたにもかかわらず、日本ではなかなか劇場公開されない洋画がある。それはコメディ映画だ。ヒュー・グラントやサンドラ・ブロックが主演しているメジャーな映画を除けば、コメディの多くはDVDストレート。そうした中、今回選んだのは劇場公開に漕ぎ着けることができた貴重な作品である。

まずは、アメリカでは大ヒットした『ゾンビランド』の予告編から。
その前に「ゾンビ」について簡単におさらいしておこう。ゾンビとは、死から蘇った生ける屍のこと。人間を襲い、噛まれた人間もまたゾンビになる。それにしてもなぜ死んだ人間がゾンビになるのか?
ゾンビ映画の古典といわれる『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』(1968年)では、放射能が原因で死体が蘇ったのでは?という説明があった記憶がある。とはいえ(まぁ、細かいことはさておき、とりあえず死体が生き返ったんだな~)と大らかな気持ちで見るのがゾンビ映画の作法だ。そんなざっくりとした設定から生まれたジャンルだからなのか、最近はホラーというよりコメディに位置付けられるゾンビ映画が多い。例えば30代のダメ男が主人公の『ショーン・オブ・ザ・デッド』(2004年)。ゾンビをペット代わりにするというおバカな設定の『ゾンビーノ』(2006年)。これらはホラー嫌いの人にもオススメできる。邦画でも哀川翔と浅野忠信が主演の『東京ゾンビ』(2005年)がありましたね。

では『ゾンビランド』の予告編を見てみよう。
「ここはもはやアメリカ合衆国ではない。ゾンビ合衆国(ランド)である」とナレーション。いきなりゾンビが人間を襲い、ゾンビたちに追われる人間たち......。

ここでストップ!!!(Webの予告編は本当に止められて便利である)

あぁ、ゾンビが走っているなあ。

ご存知だろうか。ゾンビ映画マニアは、"ゾンビはゆっくり歩いてほしい派"と、"腐った肉体に鞭打って元気に走り回るゾンビがいてもいいじゃないか派"に二分され、激しい議論が繰り広げられていることを。(どこで?)

『ゾンビ』(1978年)などの初期の作品では、ゾンビはゆっくりノロノロと歩いていたものだ。『バタリアン』(1985年)では走るゾンビが出ていたが、『28日後...』(2002年)や『ドーン・オブ・ザ・デッド』(2004年)など比較的最近の作品から全力疾走するゾンビが多く出現するようになった。

ゆっくり歩くゾンビを描き続ける巨匠、ジョージ・A・ロメロ監督の『ダイアリー・オブ・ザ・デッド』(2007年)にはこんなセリフがある。

「死体が走ったら脚の関節がちぎれるだろ!」

その通りである。ゆっくり歩く派の僕にとっては、(裏)映画史に残る名ゼリフである。だって死体が走ったら、パニック映画の暴動シーンと変わらないでしょう?「ゾンビなんてノロマだから大丈夫だ」と油断しているやつらが、いつのまにか無数のゾンビに囲まれてガブリ!が、ゾンビ映画の不条理であり、恐ろしさだと信じているからである。 
 
予告編には、

「ゾンビ映画 全米歴代興行収入史上NO.1!」

のテロップ。
ちなみにこれまでのゾンビ映画全米NO.1ヒット作品は先述の『ドーン・オブ・ザ・デッド』である。

生き残ったのは、胃弱の引きこもり童貞少年。童貞少年を演じるのは、家庭崩壊コメディ『イカとクジラ』(2005年)のジェシー・アイゼンバーグだ。もう一人のタフなガンマンを演じているのは『2012』(2009年)のウディ・ハレルソン。
ウディ・ハレルソンって、『ナチュラル・ボーン・キラーズ』(1994年)とかもそうだけど、カタギの役ってあまりないような気がする。そして詐欺師の姉妹を演じるのは、青春コメディの傑作と言われる『スーパーバッド 童貞ウォーズ』(2007年)のエマ・ストーンと『私の中のあなた』(2009年)のアビゲイル・ブレスリンだ。

彼らが目指すのは、ロサンゼルスにある「パシフィックランド」。そこにはゾンビはいないらしい。パシフィックランドってディズニーランドのことか?

面白いのが"ゾンビの世界で生き残る32のルール"。「トイレにご用心!」とか、「二度撃ちでトドメをさせ!」とか。「二度撃ち」は、ゾンビは脳を破壊されると動かなくなるから、頭を二度撃っておけという意味だろう。32って他にどんなルールがあるのか知りたくなった。

そこはゾンビに囲まれた救いなき世界のはずなのに、予告編はコメディ的な描写で最後まで明るく突っ走っている。ホラー映画が苦手な人でも楽しめる映画になっているはずだ。

よって「ゾンビとコメディ映画好き」にとって、前売り券を買っておきたいレベルは★★★★★である(★五つが満点)。


    *   *   *   *   *   *   *   *   *


次は『ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い』の予告編だ。

やたら長い邦題であるが、この映画が劇場公開に至った経緯にふれておこう。ゴールデングローブ賞では作品賞(コメディ・ミュージカル部門)を受賞し、アメリカではコメディ映画史上最大のヒットを記録したものの、日本では劇場公開されず、2010年3月にDVDリリースされる予定だった。ところが、「劇場で公開されるべきだ!」というファンの声が高まり、劇場公開を求める会の発足に至った。ネット上での署名運動の結果、ついに劇場公開が実現したという珍しい作品である。
因みに、同じように映画ファンの署名運動で劇場公開された作品では『ホットファズ 俺たちスーパーポリスメン!』(2007年)がある。

かく言う僕自身も『ハングオーバー!』の署名に参加した1人なので、劇場公開は嬉しいかぎりである。だってコメディ映画は大勢で観た方が盛り上がって面白いに決まってるから。
 
まずは「結婚式を2日後に控えた新郎ダグは、悪友3人とドンチャン騒ぎの旅へ」とのナレーション。
悪友の3人を演じるのは、『特攻野郎Aチーム THE MOVIE』(2010年)に出演しているブラッドリー・クーパー、『ナイトミュージアム2』(2009年)のエド・ヘルムズ、そして『マイレージ、マイライフ』(2009年)のザッカリー・ガリフィナーキスである。そしてダグと悪友たちが向かったのはラスベガスだ。

結婚式前に新郎と男友達が大騒ぎすることを"バチェラー・パーティ"という。バチェラー・パーティを描いた映画ではトム・ハンクスの『独身SaYoNaRa! バチェラー・パーティ』(1984年)や、クリスチャン・スレイターとキャメロン・ディアスが共演でブラックジョーク連発の『ベリー・バッド・ウェディング』(1989年)などがある。

男たちだけのパーティは楽しい夜になるはずだったが・・・待っていたのは史上最悪の二日酔い(ハングオーバー)だった。朝、ホテルで目覚めると、そこにはなぜかニワトリがいる。焼け焦げたソファ。そして本物のトラが部屋を歩き回っている!

さらに...なぜか赤ん坊が!誰の赤ん坊なんだ?

なのに新郎のダグがいない。結婚式は明日なのに......。悪友のズッコケ3人組は、新郎を探そうとするが、酒の飲みすぎで何も覚えていない。

僕もお酒は好きですが、ここまで記憶を失ったことはございません。酒飲みの映画といえば、ルトガー・ハウアー主演の『聖なる酔っ払いの伝説』(1988年)や、ニコラス・ケイジがアルコール依存症の男を演じてアカデミー主演男優賞を受賞した『リービング・ラスベガス』(1995年)を思い出すが、そんな2人にも「お前ら飲み過ぎだろ!」とさじを投げられそうだ。

一向に見つからない花婿。そして結婚式は5時間後......。 

予告編の最後にはマイク・タイソンが登場する。もちろん、タイソン本人役で。なぜ「もちろん」なのか? だって彼、『ロッキー・ザ・ファイナル』(2006年)でも本人役だったし。きっとハリウッドには「マイク・タイソンへの出演オファーは本人役に限る」というルールが存在しているんだと思う。

とにかくすごく面白そうでしょ?7月3日から公開...って、もう公開中だ!
というわけで、「(署名運動に参加した人もしなかった人も)映画館に向かって走れ!」レベルは★★★★★!




今回注目した予告編
『ゾンビランド』と『ハングオーバー 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い』



★『ゾンビランド』
監督:ルーベン・フライシャー
出演:ウディ・ハレルソン、ジェシー・アイゼンバーグ、
アビゲイル・ブレスリン、エマ・ストーン
制作国:アメリカ
2010年7月24日より公開
公式サイト:http://www.zombieland.jp/



★『ハングオーバー 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い』
監督:トッド・フィリップス
出演:ブラドッリー・クーパー、ヘザー・グラハム
制作国:アメリカ
7月3日より公開中
公式サイト:http://wwws.warnerbros.co.jp/thehangover/