2011年はドニー・イェンの年だ! ドニー・イェン映画2本の予告編!『イップ・マン 葉問』『孫文の義士団』
2011年01月26日
【written by 鈴木純一(すずき・じゅんいち)】映画を心の糧にして生きている男。『バタリアン』や『ターミネーター』などホラーやアクションが好きだが、『ローマの休日』も好き。
【最近の私】3月のフルマラソン出場に向けて走っています。最近の関心事は、2月末から開催される「東京国際ゾンビ映画祭2011」。新旧のゾンビ映画が上映されるので楽しみ。ゾンビはゆっくり歩け、でもお前は走れ!の心境です。
--------------------------------------------------------------------------------------
2011年はドニー・イェンの年だ!
『イップ・マン 葉問』『孫文の義士団』ドニー・イェン映画2本の予告編!
2010年はブルース・リー生誕70周年であり、日本でも「奇蹟のブルース・リー展」が開催され、東京国際映画祭でも特集上映が組まれた。ブルース・リーは5本の映画に主演し、勇姿と「アチョーッ!」という怪鳥音をフィルムに残し、1973年にこの世界から旅立ってしまった。
しかし、香港には"第2のブルース・リー"と呼ばれる男がいる。
その男の名前はドニー・イェン。
2011年はドニー主演の映画が2本公開されるので、今回はドニー映画2本の予告編を紹介したい。
まずは『イップ・マン 葉問』。2010年の香港映画の興行収入で第1位を記録した映画の予告編から。
予告編は、ドニー扮するイップ・マンが木人椿(もくじんしょう:木製のトレーニング器具のこと)を相手にカン、カン...と練習するシーンから始まる。
全世界を席巻し、神話になった男ブルース・リー。その魂のルーツとなった1人の師。
イップ・マンは詠春拳(えいしゅんけん)の達人であり、ブルース・リーの師匠でもあった人物である。
1950年、イップ・マンは中国から香港に移り住んで自分の道場を開く。しかし、そこに「武術を教えるなら掟に従え」と、武術家のハンが立ちふさがる。ハンを演じるのはサモ・ハン・キンポー。サモ・ハンは『燃えよドラゴン』(1973年)の冒頭で、ブルース・リーと戦う男とし登場していた。
そしてハンとイップ・マンが激しく拳を交わすファイト・シーンが展開されるが、かつてリーと戦ったサモ・ハンと、リーの師匠であるイップ・マンが戦うなんて、観ていて熱くなりますね。ちなみにサモ・ハンとドニーが共演するのは『SPL/ 狼よ静かに死ね』(2005年)以来である。
イップ・マンは、力で相手を倒すのが強さではなく、武術を通して精神力の強さを教える平和主義者である。弟子も増えて、道場も軌道に乗ったと思っていたら...
イギリス人のボクサー、ツイスターが登場し、「中国武術はクソだ」と問題発言。さらに中国人を殴る蹴るの蛮行におよぶ。この時代の香港はイギリスの植民地だったので、この場面はかつて香港がイギリスに支配されていたという歴史の再現である。
このツイスターとハンが対決するのだが、ハンは叩きのめされてしまった!
「中国武術は我々の心だ」イップ・マンはツイスターとの戦いを決意する。
『男たちの挽歌Ⅱ』(1987年)で、アメリカ人に炒飯を投げつけられたチョウ・ユンファが「お前らにはコメの有り難さが分からないだろうが、俺たちにとってコメは親も同然なんだ。コメに謝れ!」と怒鳴るシーンがある。食べ物と武術を侮辱する者は許せない。武術に謝れ!
そして、ついにイップ・マンが詠春拳の真の強さを見せる時が来た!
ここから予告編は盛り上がっていきます。イップ・マンの連続パンチが炸裂!
重厚な音楽は『墨攻』(2006年)や『かちこみ!ドラゴン・タイガー・ゲート』(2006年)などアジア映画を多く担当している川井憲次である。
監督はウィルソン・イップ。実は数年前に、この監督の映画『香港ゾンビ』(1998年)の字幕を担当したのだが、その時はイップ監督がこんな大作を撮るとは予想もしていませんでした。
ブルース・リーを生み出した、奇跡の拳が降臨する!
日本の観客も、この映画でドニーに魅了されること間違いなしだ!
実は『イップ・マン 葉問』はイップ・マン映画の第2作目で、第1作目『イップ・マン 序章』という作品がある。日本軍が支配する中国で、イップ・マンが日本人と戦うストーリーだが、反日本の内容が原因なのか、日本ではパート2が先に公開されることになった。映画の公式サイトによると、『イップ・マン 葉問』の観客数が5000人を超えれば『序章』も公開されるという。
『君のためなら千回でも』(2007年)のように、イップ・マンのためなら5000回でも観に行きましょう!
* * * * * * * * * *
続いては、『孫文の義士団』
『レッド・クリフ』を超える大ヒットを記録したアクション超大作
孫文が香港に行くとの情報を得た西大后が、「孫文を殺せ」と命令を下す。
孫文が会合を持つ1時間、暗殺軍団の襲撃に備える革命軍。
暗殺団を率いるのは『レッド・クリフ』(2008年)で趙雲(ちょううん)を
演じたフー・ジュンだ。
暗殺を阻止すべく、集められた者たち
一方、孫文を守る革命軍が集めたのは...警官、少女、ホームレス、力車の車夫など。
なぜこんなメンバー構成になったのかは謎だが、もっと他に誰かいないの?というのが
正直なところである。この人選の理由は本編で確かめよう。
敵は500人の暗殺団
そして、ついに孫文が香港に到着する。
物語の舞台は1900年代の香港のセントラル地区。約6億円をかけて当時の街並みのセットを作ったそうだ。
映画史上、最も過酷な1時間
ボウガンから放たれた矢が雨のように降る。爆発、倒れる建物。
ドニーが障害物をよけて走るシーンは『アルティメイト』(2004年)のパルクールのようだ。パルクールとは、身体能力だけで障害物を飛び越える動作のこと。『TAXI2』(2000年)や『YAMAKASI ヤマカシ』(2001年)などのフランス映画で登場したパルクールだが、その後『007/カジノ・ロワイヤル』(2006年)や『インクレディブル・ハルク』(2008年)でもパルクールが登場し、現在のアクション映画のスタンダードになりつつある。
アジア・オールスター夢の共演
ドニー・イェン、レオン・ライ、レオン・カーフェイ、ニコラス・ツェー、ファン・ビンビン、エリック・ツアン。アジア映画ファンなら、豪華な出演者の名前だけでご飯を5杯食べられるぐらいのキャスティングだ。でもコメを残したらチョウ・ユンファに怒られます。
それは、中国10億人の未来を変える1時間
どんな1時間になるのか、早く劇場で確かめたい。
ドニー・イェンが出演する作品で、日本未公開の映画はまだ何本もある。この2本がヒットすれば、日本でもドニー・ブームが起こるかも。とりあえず、『イップ・マン 葉問』『孫文の義士団』を観て、心にドラゴン魂を注入せよ!アチョー!
今回注目した予告編
『イップ・マン 葉問』と『孫文の義士団』
★『イップ・マン 葉問』
監督:ウィルソン・イップ
主演:ドニー・イェン、サモ・ハン・キンポー、
製作国:香港・中国
1月22より公開
公式サイトhttp://www.ip-man-movie.com/
★『孫文の義士団』
監督:テディ・チャン/特別協力:アンドリュー・ラウ
出演:ドニー・イェン、ニコラス・ツェー、フー・ジュン
製作国:香港・中国
4月公開予定
公式サイトhttp://sonbun.gaga.ne.jp/