大切な人を救おうとしたとき、自分を犠牲にしなければならないとしたらどうするだろう? そして、その犠牲を誰も知ることがないとしたら?
そんな状況におかれた青年を描いているのが、『バタフライ・エフェクト』だ。
日記を読むことで過去に戻れることに気づく主人公のエヴァン。自分のせいで幼なじみのケイリーの人生を狂わせたことを悔やんだ彼が、過去に戻って運命を変えようとするところから物語は展開していく。
この作品に描かれているような"自己犠牲"は、私の心を揺さぶる。今の自分には果たせないけれど、私の理想とするあり方だからだ。それを実現できる者が私にとってのヒーローなのだ。
それなら、ナウシカもヒーローでしょ?と聞かれたことがあるが、ちょっと違う。ナウシカが自分を犠牲にしようとすることを、周囲の人々は知っている。人々は彼女をリスペクトし、感謝する。ある意味、彼女の自己犠牲は、それによって報われていると思う。だから、彼女は皆にとってのヒーローではあるが、私にとってのヒーローではない。私にとってのヒーローは、エヴァンのような人だ。見方によれば悲劇的かもしれないが、人知れずとも誰かを心から大切に思い、自分を犠牲にすることさえ厭わない人間だ。
この作品のDVD版にはエンディングが異なるディレクターズカット版が入っている。個人的には、ディレクターズカット版のエンディングのほうが気に入っている。ぜひ、見比べてほしい。
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『バタフライ・エフェクト』
出演: アシュトン・カッチャー、エイミー・スマート
監督脚本: エリック・ブレス&J・マッキー・グラバー
製作年: 2004年
製作国: アメリカ
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こんにちは、もうすぐ夏ですね。暑がりの僕にとっては首にまとわりつくロン毛をいかにしようか悩む季節でもありますが、夏は最も好きな季節です。海、花火、ロックフェス、ビール。今から楽しみです。
『アウトサイダー』 by 藤田 庸司
みなさんにも忘れられない映画があると思う。人生の節目で見た映画、大切な人と見た映画、人それぞれだろう。僕にもいくつかあるが、今日は1983年の作品、フランシス・フォード・コッポラ監督の「アウトサイダー」を挙げたい。
舞台はアメリカの田舎町。裕福な家庭に育った不良たちのグループと、貧困家庭に育った不良たちのグループはお互いのプライドのために対立していた。そんな中、真の"ワル"にはなりきれない、ガラスのような心を持つ主人公ポニーボーイ(C・トーマス・ハウエル)は自分の運命や、変わることのない社会通念にもがき苦しむ...
僕が初めてこの映画を見たのは14歳の時だ。まず、タイトルにノックアウトされた。アウトサイダー=はみ出し者。当時、思春期だったせいもあり、学校や親に理由なく反発していた僕にはあまりにも美しい響きだった。そして髪にグリースを塗りたくり、やり場の無いエネルギーをケンカや恋にぶつける主人公たちに自分を投射し酔いしれたものだ(笑)。「タフに生きろ」というダラス(マット・ディロン)のセリフと「無垢でい続けろ」というジョニー(ラルフ・マッチオ)のセリフには、大人になる過程で何度か勇気づけられたことがある。
さらに僕の心をつかんだのが不良少年たちを演じた俳優陣だった。C・トーマス・ハウエルをはじめ、ラルフ・マッチオ、マット・ディロン、ダイアン・レイン、トム・クルーズ、パトリック・スウェイジ、エミリオ・エステヴェス、蒼々たる顔ぶれである。
今でこそベテラン、中堅クラスの俳優たちだが当時は10代~20代前半。爆発するようなエネルギーが見る僕を圧倒した。中には、"ただ若い俳優を集めて撮っただけの映画"という酷評も聞くが、僕はそうは思わない。確かに演技に荒削りな部分があったり、残念ながら今では姿を見なくなった役者もいる。しかし、逆にその初々しさ、ぎこちなさこそがこの映画には必要不可欠な要素であり、コッポラはそれを計算の上で監督し、若さが爆発する瞬間瞬間を見事作品に収めたのだ。
制作費に何億円もかけ、作品のほとんどをCGなどで作り上げる映画が主流となる昨今、"青春"という言葉、"青春映画"など流行らないかもしれない。
だが、ニュースなどを騒がせる青少年の犯罪などを見ると、今だからこそ「アウトサイダー」のような人間味溢れる青春映画が必要とされている気がしてならない。
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『アウトサイダー』
出演: C・トーマス・ハウエル、マット・ディロン、トム・クルーズ
監督: フランシス・フォード・コッポラ
製作年: 1983年
製作国: アメリカ
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こんにちは。藤田彩乃です。突然ですが私、何を隠そうディズニー作品が大好き。英語はディズニーアニメで覚えたようなものです。特に東京ディズニーランドへの思い入れは強く、メインストリートを歩いているだけで、スキップしたい衝動に駆られます(実際にはスキップしませんが)。
たとえディズニー社が蒸気船ウィリーの著作権を死守するために、金にものを言わせて、著作権の有効期限を延長させようが、関西の純粋無垢な子供たちが力を合わせて学校のプールの底に書いたミッキーマウスを、著作権侵害だとして塗り潰そうが、密かに兵器製造会社とグルになっていようが、"ウォルトが生み出した作品とそのすばらしい世界に罪はない!"と都合のいい理論を支えに、子供の頃からずっとディズニーを愛し続けています。
そんな私がオススメするのは「美女と野獣」。ディズニーの最高傑作です。事実、アカデミー賞作品賞にノミネートされています。残念ながら受賞には至りませんでしたが、これはアカデミー賞史上最多32回の受賞を誇るあのウォルトでもなし得なかった、アメリカのアニメ史上初の快挙です。
ストーリーはいたってシンプルです。魔女によって恐ろしい野獣に変えられてしまった傲慢な王子。その魔法を解くには、魔法のバラの花びらの最後の1枚が散るまでに、王子が心から人を愛し、愛されなければなりません。そこへ町一番の美人であるベルがやってきて...。果たして魔法は解けるのか?というディズニーらしいお話です。
見どころはCGをうまく融合させたスケールの大きな映像。
主人公ベルと野獣が、城の大広間でダンスするシーンは何度観てもウットリします。ターンした時に揺れるドレスの動きはまるで本物。カメラワークもアニメとは思えません。映画館で見ると感動は倍増。現実逃避にピッタリです。それ以上に私の心をとらえて離さないのが音楽。有名な主題歌「美女と野獣」をはじめ、美しいナンバーが満載です。私のお気に入りは「Something There」と「Be Our Guest」。文句ナシに素晴らしい。
音楽を手掛けたのはアラン・メンケンとハワード・アシュマンの黄金コンビ。不調が続いたディズニー映画を窮地から救ったのは彼らだと言っても過言ではありません。彼らが始めてタッグを組んだのは、ご存知「リトルマーメイド」です。映画は世界中で大ヒットを記録し、彼らはアカデミー主題歌賞とオリジナル作曲賞を受賞。ディズニー第二次黄金期の幕明けと称されました。そしてディズニー第二次黄金期を決定付けたのが本作「美女と野獣」です。ちなみに第一次はウォルトが実際に製作に携わった時代。「白雪姫」や「眠れる森の美女」、「バンビ」や「ピノキオ」など数々の名作を世に送り出しています。
しかし、本作と次回作「アラジン」を制作している最中に、アシュマンがエイズで帰らぬ人となりました。そのため本作はアシュマンに捧げられていて、エンドクレジットにはこんな言葉が添えられています。
"To our friend Howard, who gave a mermaid her voice
and a beast his soul, we will be forever grateful."
人と違うというだけで疎まれる野獣の心境は、エイズというだけで白い目で見られるアシュマンと重なるという分析もあるようです。真相は分かりませんが、死を目の前にしていたアシュマンが、持てる力のすべてを捧げた渾身の作であることは確か。制作チームの気持ちを考えただけで涙が出てきます。ちなみに彼の死後「アラジン」で作詞を引き継いだティム・ライスは彼のスタイルを継承し、見事に作品に反映させました。そして生まれたのが結婚式の定番ソング「A Whole New World 」です。長くなるので「アラジン」の話はまた今度にして、話を本作に戻しましょう。
さらに注目していただきたいのは、脇を固めるキャラクターたち。野獣に戦いを挑む傲慢なガストンと腰ぎんちゃくのル・フウ。ろうそくに姿を変えられた陽気な給仕のルミエール、時計の姿になっている几帳面な執事のコグスワース、やさしいポット夫人とかわいいチップ転・・・どれも愛すべきキャラクターばかり。チップ役の子役があまりにもかわいくて、制作陣が急遽チップの出番を増やしたとか。アフレコではなく、台詞や音楽を先に収録して、それに合わせて絵を描くアメリカならではのエピソードです。
ちなみにブロードウェイ版も圧巻です。映画にはないシーンや曲もあり、登場人物の感情がより豊かに描写されています。衣装もセットも豪華。サントラを聞くだけで鳥肌が立ちます。現在日本では上演されていませんが、機会があったらぜひご覧になってください。
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『美女と野獣』
制作: ドン・ハーン
製作総指揮: ハワード・アシュマン
脚本: リンダ・ウルバートン
作詞: ハワード・アシュマン、アラン・メンケン
製作年: 1991年
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