こんにちは、もうすぐ夏ですね。暑がりの僕にとっては首にまとわりつくロン毛をいかにしようか悩む季節でもありますが、夏は最も好きな季節です。海、花火、ロックフェス、ビール。今から楽しみです。
『アウトサイダー』 by 藤田 庸司
みなさんにも忘れられない映画があると思う。人生の節目で見た映画、大切な人と見た映画、人それぞれだろう。僕にもいくつかあるが、今日は1983年の作品、フランシス・フォード・コッポラ監督の「アウトサイダー」を挙げたい。
舞台はアメリカの田舎町。裕福な家庭に育った不良たちのグループと、貧困家庭に育った不良たちのグループはお互いのプライドのために対立していた。そんな中、真の"ワル"にはなりきれない、ガラスのような心を持つ主人公ポニーボーイ(C・トーマス・ハウエル)は自分の運命や、変わることのない社会通念にもがき苦しむ...
僕が初めてこの映画を見たのは14歳の時だ。まず、タイトルにノックアウトされた。アウトサイダー=はみ出し者。当時、思春期だったせいもあり、学校や親に理由なく反発していた僕にはあまりにも美しい響きだった。そして髪にグリースを塗りたくり、やり場の無いエネルギーをケンカや恋にぶつける主人公たちに自分を投射し酔いしれたものだ(笑)。「タフに生きろ」というダラス(マット・ディロン)のセリフと「無垢でい続けろ」というジョニー(ラルフ・マッチオ)のセリフには、大人になる過程で何度か勇気づけられたことがある。
さらに僕の心をつかんだのが不良少年たちを演じた俳優陣だった。C・トーマス・ハウエルをはじめ、ラルフ・マッチオ、マット・ディロン、ダイアン・レイン、トム・クルーズ、パトリック・スウェイジ、エミリオ・エステヴェス、蒼々たる顔ぶれである。
今でこそベテラン、中堅クラスの俳優たちだが当時は10代~20代前半。爆発するようなエネルギーが見る僕を圧倒した。中には、"ただ若い俳優を集めて撮っただけの映画"という酷評も聞くが、僕はそうは思わない。確かに演技に荒削りな部分があったり、残念ながら今では姿を見なくなった役者もいる。しかし、逆にその初々しさ、ぎこちなさこそがこの映画には必要不可欠な要素であり、コッポラはそれを計算の上で監督し、若さが爆発する瞬間瞬間を見事作品に収めたのだ。
制作費に何億円もかけ、作品のほとんどをCGなどで作り上げる映画が主流となる昨今、"青春"という言葉、"青春映画"など流行らないかもしれない。
だが、ニュースなどを騒がせる青少年の犯罪などを見ると、今だからこそ「アウトサイダー」のような人間味溢れる青春映画が必要とされている気がしてならない。
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『アウトサイダー』
出演: C・トーマス・ハウエル、マット・ディロン、トム・クルーズ
監督: フランシス・フォード・コッポラ
製作年: 1983年
製作国: アメリカ
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