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vol.39 『ワイルドバンチ』 by 桜井徹二


8月のテーマ:太陽

西部劇というのは、開拓時代を描いた物語だ。もちろん今では開拓時代は終わりを告げ、銃ですべてが解決される時代は過ぎ去っている。開拓すべき西部はなく、その時代を生きた人々は誰一人残っていない。

言い換えれば、西部劇はすでに消滅した時代の物語であり、そこに登場する人々には、初めから終わりが約束されている。そしてその避けがたい終末の響きこそが、西部劇の魅力でもある。

『ワイルドバンチ』で強盗団を率いる主人公パイクも、もはや銃と暴力に頼って生きる時代が過ぎ去りつつあることを悟っている。だが彼らは生き方を変えることなく、破滅を予期しながらも自らの生き方が貫ける場所を求め、西部を駆け抜ける。

その生き方は、あたかも西へと沈みゆく太陽を追い越そうとしているかのようにも見える。彼らは太陽がいずれ沈むことを知りながらも、かつて頭上から自分たちを明るく照らしていた太陽を追いかけ、追い越そうともがく。

映画は、パイクたち強盗団が馬に乗って砂ぼこりの舞う町へ現れるシーンから始まる。狙いは鉄道会社のオフィスだ。彼らは無言で馬を進め、やがて一軒の建物の前で馬を止める。その建物の看板には大きく THE SUN と書かれている。その場所から、彼らの勝ち目のない戦いが始まるのだ。

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『ワイルドバンチ』
監督:サム・ペキンパー
出演:ウィリアム・ホールデン、ロバート・ライアン他
製作年:1969年
製作国:アメリカ
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