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vol.71 『ブルークラッシュ』 by 潮地愛子


11月のテーマ:スポーツ

サーフィンをすることなんて一生ないと思っていたのに、2009年夏、私はサーフィンデビューを果たした。と言っても、初めてスクールに参加した日、まったく自覚がないのに「あの溺れそうになっていた子」と称されたくらいなので、華々しいデビューとはいいがたいのだけれど。サーフィンほど事前に思い描くイメージと実態がかけ離れているスポーツもないかもしれない。とにかく難しいし、上達するのに時間がかかる。それを実感したので、今や海と闘いながら腕を磨いたのであろうサーファーをリスペクトしている。そして、彼らのカルチャーに、ちょっと憧れている今日この頃である。

『ブルークラッシュ』は、ハワイのオアフ島に住むサーファーガールの生活を描いた青春映画だ。ライフスタイルもリアルに描かれていて、お金はないけど一生懸命働いてサーフィンに打ち込むガールズたちには共感が持てる。そして彼女たちがオアフ島のローカルで、ノースショアでサーフィンしちゃったりするところが、サーフィンをちょっぴりかじった私にはぐっとくる。ガールズムービーには欠かせないでしょう恋愛ももちろんからんでくる。主人公はNFLの選手と恋に落ちちゃうのだが、当然、彼のポジションはクウォーターバック。こういうベタさ、私は嫌いじゃない。
そして何より、この作品で特筆すべきは水中撮影のすごさだ。超危険なガールズサーファーの大会パイプ・ライン・マスターズのシーンでのライディング映像は必見だ。臨場感があって、まるで自分が乗っているような気分になる。海に入ったあとのような爽快感を味わいたい人にもおススメだ。

20年ぶりに海に入って、海の水ってしょっぱいんだ、と思い出した。そして、波にもまれて初めて、サーフィンを、そして海をなめていたことを思い知らされた。それでも海に魅了されたようだ。時々、海に入りたいなあと思うようになった。でも秋も深まり、季節は冬へと移り変わりつつある。この間も海が恋しくなったが、寒いのは苦手なので、とりあえず暖房が効いた部屋で『ブルークラッシュ』を見た。そして、ぬくぬくした部屋で一流サーファー気分を味わった。2009年冬、私は乙な寒い日の過ごし方を見つけてしまったようだ。

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『ブルークラッシュ』
出演:ケイト・ボスワース、ミシェル・ロドリゲス、サノー・レイク
監督・脚本:ジョン・ストックウェル
製作:ブライアン・グライザー
製作年:2002年
製作国:アメリカ
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