10月のテーマ:先生
いかなる場所にいようとも、周囲のものこれ皆、師なり。
周りから常に学ぶことができると私は思っている。だからといって私が、生きている環境が恵まれていて、尊敬に値する人たちにいつもいつも囲まれているというわけではない。好ましくない事柄や、思いもかけない不運に遭遇することだって多々ある。そりゃショックだし、落ち込みもする。
でもそんなときは、むしろ学ぶチャンス。起きてしまった事からいかに学ぶか。
要は心のあり方いかんなのだ。
「はいはい、反面教師」とか、「どうしてこんなこと言っちゃうんだろう、この人は」と、相手の思考や根拠を推測したり、「むしろ軽く済んだほう。感謝、感謝。いい勉強ができた」と楽観的に考えるようにしている。
これらの原動力は、そう、好奇心。
メディアに関わっているものとして、好奇心がなければ死んだも同然だと思うのだ。大事なのは脳内をとめないこと。人間は刺激なくては生きていけないのだから。
『いまを生きる』。ご存知ロビン・ウィリアムズ主演の人間ドラマである。
1959年、アメリカの名門全寮制高校。伝統と規律や親の期待に縛られながら、退屈に過ごしていた生徒たちの前に現れたのは、同校OBの教師キーティング(ロビン・ウィリアムズ)。教科書を破り捨てさせ、彼は言う。
「何かを読んだら、作者の考えでなく自分の考えもまとめてみろ。
そして自分だけの答えを見つけるんだ。」
先人たちが残していった詩。文字だけでは決して知りえないその情熱に触れ、込められた思いを読み解き、自分が感じたものと対峙する。なんと素晴らしいことか。規律や、体裁に縛られた彼らにとってそれは刺激的であり、時に危険でさえもある。
Carpe diem!
Seize the day
映像の業界においても、様々な先人がいる。翻訳をしていく上でも、いろんな境遇に遭遇したり、いろんな先生に出会っていくだろう。思うように自分の力が発揮できない、とか、周囲と比べて劣等感を感じたり、身の丈を思い知らされるような苦しい状況に直面することなんてこと、多々ある。そんな折、『いまを生きる』のキーティング先生に会いに行くのはどうだろう。彼のメッセージがきっとあなたに届く。
新しい物事や思想に触れたい、学びたいという心さえあればよいのである。
この作品とともに、記憶に留めていただきたい言葉がある。
師の跡を求めず、
師の求めたるところを求めよ。
(孔子)
大切なのは、「師が残していったもの」ではなく、「師が求めている姿勢」なのではないだろうか。
師の業績を踏襲しているのみでは、己の目指すところはそれ以下になってしまうと思う。
10月期がスタートした。
今一度、己にも言い聞かせたい言葉である。
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『いまを生きる』
監督:ピーター・ウィアー
出演:ロビン・ウィリアムズ、イーサン・ホーク ほか
制作年:1989
製作国:アメリカ
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