真摯なCostume Playを堪能
悪名高きヘンリー8世に愛された姉妹の対象的な生き方が、時代考証の安定した舞台装置の中で、それぞれの人物が生き生きと躍動し、大変満足度の高い観賞となりました。
ヘンリー8世でさえもそれなりに人間として理解できるのは、チャドウィック監督の脚本選びと撮影が素晴らしい為でしょうか。また、どの俳優も持ち場を生かし、人物描写に無理がなく、権力欲の権化のようなテューダー王朝の現実が今の時代でもありえないことではないと思わせられました。
個人的にはスカーレット・ヨハンセンのメアリーがより画面にしっくりくる印象を受けました。ナタリー・ポートマンはどうしてもアメリカの現代っ子という感じが拭えず、最後まで違和感が消えませんでした。
ただどの場面をとっても絵になっていて、衣装も豪華絢爛、イギリスの古城、自然がただただ美しく目を楽しませてくれたことはいくら強調しても足りないほど。
アンの処刑後、メアリーがアンの女の子エリザベスを育て、田舎で彼女を愛した若者と暮らした結末にはほっとしました。そしてその若者が私が『美しすぎる母』で惚れ込んだ若手舞台俳優出のエディ・レッドメインとは嬉しい配役でした。
以前に『エリザベス:ゴールデンエイジ』を観ていたので、で、エリザベス1世が一生独身だったのも納得という感じです。歴史がとても身近に、人間の今も変わらぬ「性(さが)」がぐっと胸にこたえる映画でした。
また、こういう映画で世界の歴史を身近に学びたいです。