Text by 鈴木 純一
中国では"宇宙最強"と呼ばれるほどの人気を博しているアクション俳優ドニー・イェン。しかし日本では2007年の『かちこみ! ドラゴン・タイガー・ゲート』以降、ドニーの映画が劇場で上映されていない。このままでは日本はドニー後進国になってしまう!と思っていたら、今年になって『イップ・マン 序章』『イップ・マン 葉問』『孫文の義士団』『処刑剣』とドニー映画が立て続けに日本で公開される。そしてDVD『導火線 FLASH PONT』が6月にリリースされる。この『導火線』をスクリーンで観たいというファンの声と、映画を上映したいという映画館の思いが実を結び、奇跡の上映が実現した。スクリーンで観る機会を逃してはならぬと、シネマート六本木に行ってきました!
映画はドニー演じるマー刑事が「悪党を捕まえるのが警官の任務」と言うシーンから始まる。マーは毎月40人の犯罪者に重傷を負わせるという、正義のためなら暴力もためらわない男だ。
このマー刑事が追っているのはベトナム人のアーチャー、トニー、タイガーの凶悪3兄弟。前半は、3兄弟の組織に潜入した刑事ウィルソン(ルイス・クー)のおとり捜査が描かれるが、ウィルソンが兄弟に瀕死の重傷を負わされ、ついにドニーの怒りの導火線に火がついた!中盤以降はドニーの怒りの鉄拳が炸裂して、一気に熱い展開になっていく。
3兄弟とのバトルは、食堂でのタイガーとの戦いで始まる。『導火線』では総合格闘技を取り入れたアクションが登場するが、柔道、関節技、寝技などを取り入れた映画は珍しいのではないだろうか。しかもマーとタイガーはビシバシと本気でパンチとキックの応酬、さらにマーが素早い動きでタイガーのバックを取って、アスファルトの上でバック・ドロップ!危険すぎてあり得ないですよ。タイガー役のシン・ユーは、この映画の撮影中に耳の鼓膜が破れたというが、それも納得できる激しさである。
そして、クライマックスはドニー対トニー(コリン・チョウ)のバトルである。これは本当にすごいです。コリン・チョウは『マトリックス』シリーズなどに出演し、現在ハリウッドで活躍しているが、『導火線』で7年ぶりに香港映画に帰ってきた。ハリウッド映画と比べて『導火線』の撮影はかなり厳しかったので、コリンは「もう香港映画には出演したくない」と言ったほどだ。ドニーとコリンが力の限りを尽くして戦うシーンは、映画で表現できる肉体アクションの限界に到達したと言っても過言ではない。観ている自分も熱くなって、心の導火線に火がつきました。
シネマート六本木での上映は7月16日~22日(好評のため24日まで延長した)の期間限定だったが、でも大丈夫!『導火線』はDVDで観ることができる。ちなみに、このDVDは日本映像翻訳アカデミー(JVTA)の修了生が制作に携わっているので、その点も注目だ。そして『イップ・マン 序章』『イップ・マン 葉問』もDVDで観られます。ドニーの新作『レジェンド・オブ・フィスト -怒りの鉄拳-』も9月公開が決まったので、この機会にぜひドニーの最強アクションを堪能していただきたい。