ある日、出社して、いつものようにメールをたちあげた。しかし、何かが違う。字がぼやけてしまって読めない。私は恐怖に襲われた。というのも、仕事柄、眼を酷使しすぎて視神経が炎症を起こしたとかで、しばらく通院していたことがあったからだ。眼が痛かったり、見えにくいという状態は非常につらい。気分までウツウツしてくる。
「見えない!」と大騒ぎする私に、代表をはじめ同僚たちも、ものすごく心配そうな顔で今すぐ病院へ行ってこいと言ってくれた。字が読めなければ、仕事にもならない。そんなわけで、同僚が探してくれた日本橋の眼科へ急いだ。
道すがら、いろんな恐怖が襲ってくる。「見えなくなってしまったら、どうしよう」と本気で思った。最近、はやりのスピリチュアル的にいえば、すべてのことに意味があるという。だとしたら、私が見えなくなってしまうことの意味は何なのか?
駆け込んだ病院は、意外にすいていて、すぐ診察してもらえることになった。診察のために、コンタクトをはずした。そうしたら、その下からまたコンタクトが現れた。そう、私はコンタクトを二重につけていた。見えるはずがない。
恐る恐る会社に戻ると、皆が心配そうな顔で待っていた。「なんか、大丈夫でした」というラチのあかない説明に、そう簡単に治るのか?といぶかしげな顔をしながらも、よかったねと言ってくれた皆ありがとう。
何でもネタにする私だが、この時ばかりはあまりに心配させたので、「コンタクト2枚つけてました!エヘヘ」とは言えず、今にいたる。
恐らく、この事件に意味があるとするなら、まわりの優しさに気づけよ、ってことだったのかもしれない。
後日、解禁ということで、ある人にこのネタを披露したところ、大笑いしてくれた。あまりに笑いすぎてその人の目じりには、涙がキラリ☆