最近、ジャズが心地よい。元々ロックやブルース、フォーク、ラップといった、メッセージ性の強い音楽が好きな僕には、ちょっとした革命である。もちろん、以前から好きなジャズアーティストはいるし、CDも何枚か持っているが、最近ほど"心地よい"と思ったことは正直なかった。
僕が今ジャズに感じるもの、それは"自由"だ。4ビートだの、即興演奏だの、音楽的うんちくを述べるつもりはないが、それらが織り成すスリルと開放感にハマっている。
音楽とは面白いもので、その時々の生活環境や精神状態、また季節や時間帯などによって聴こえ方や感じ方が異なる。思うに最近ジャズが心地よいのは、それが映像翻訳と正反対の位置にあるからだ。
片や1秒4文字というストイックな世界において、映像と言葉を駆使して一つの世界を作り上げる映像翻訳。片やあふれ出る感情をリズムや音によって思うがままに表現するジャズ。
映像翻訳者である僕は、心のどこかでジャズの"自由"に憧れ、聴くことで作業により発生するストレスを発散し、精神のバランスを保っているような気がする。実際、仕事で煮詰まった時など、手を休めてジャズを聴く。すると思いがけず良い表現が浮かんだりすることがある。ストイックな世界だけでは疲れるし、"自由"ばかりでも飽きてしまう。それぞれをバランスよく楽しむことができれば、個々の世界はより一層キラリ☆と光るのだ。