5月のテーマ:休日
今年もゴールデンウィークがやってきた。休みをどう過ごしたかなんて、時間が過ぎると忘れてしまうものだけれど、去年のこの時期のことはよく覚えている。ダブリンとロンドンへ旅行したのだった。ダブリンは、1年ほど過ごした街だ。たった1年だけれど、私の人生において、何年分にも匹敵するほどの濃い時間だった。
留学を決める前、数週間、ある家庭にホームスティをさせてもらった。留学中はアパートでひとり暮らしをしていたが、週末になるとその家族を訪ねた。キッチンで食事の支度をする夫妻に日頃のぐちをよく聞いてもらったものだ。ロクに手伝いもせず食事をごちそうになり、テレビを見ながら一家団らんに参加するというのが、当時の私の休日の過ごし方だった。
数年ぶりに訪れても、私が彼らと過ごす休日に変わりはなかった。特に観光するでもなく、子供たちとDVDを見たり、おしゃべりをしたりで5日間は過ぎていった。時折、ルアスと呼ばれる路面電車でシティセンターへ出かけては、退屈し、「ああ、あの頃もこんな風に退屈してたな」と思い出したりしていた。ダブリンは私にとってアイリッシュの家族がいる街で、安心して退屈できる街。それを実感したのが去年の休日だった。
旅行の残り3日を過ごしたロンドンでも、観光はちっともせずに過ごした。9年ぶりに会ったアイリッシュの友人とひたすらギネスを飲み続けた、その思い出しかない。ギネスはやっぱりうまかった。アイルランドやイギリスで飲むギネスは格別だ。
ここまで書いてきたらギネスが飲みたくなった。今年のゴールデンウィークは、東京でギネスを飲もう。遠くに住む大切な人たちを思い出しながら。