5月のテーマ:休日
私の家には車がありませんでした。そんな我が家の主な移動ツールは自転車。休日に出かける時は、家族全員で自転車にまたがり、田舎道を思い切り占領しました。そんな休日は大抵、行き先を告げられることなくスタートします。私は補助輪のついた自転車をこぎながら、知らない道をグングン進んでいく父親の後ろ姿を眺めていました。"家に帰れなかったら、どうしよう。お父さんは、ちゃんと道を覚えているのだろうか..."とドキドキしながら。父親は、不安な表情を浮かべる私を気遣ってか、"だーいじょーぶだー"と、志村けんのモノマネをしてくれたりしましたが、私はいつも泣きそうになりながら自転車をこいでいました。
しかし、大人になった今、お気に入りの休日の過ごし方は"知らない場所を歩き回ること"。子どもの頃、散々怖がっていた"知らない道"や"行ったことがない場所"に興奮を覚えるようになりました。両親が私の潜在意識に刷り込んでくれた"ウキウキ感"を楽しませていただいております。
先日、通勤電車から見えた"森"に行ってみました。上京する前は、"東京には緑がないんだろうな..."と思っていたのですが、これが結構あるんですね。私が先日訪れたその森は、ある住宅地にあります。その森は、どうしてそこにあるのかよく分からないというか何というか、ある種、異様な存在感を放っています。何年も前からそこにあったはずなのに、ある日突然フワッと生まれたような、そんな不思議な雰囲気に包まれた森。東京の風景からは少し浮いていて、今にも「風の又三郎」が出てきそうな感じ。少しビクビクしながら、私は森に足を踏み入れました。"誰かの所有地だったら、どうしよう..."と不安に思いながら。(心配性なのは、子どもの頃から変わっていないようです・キラリ☆)しかし、森に入った途端、そんな心配は吹き飛びました。湿った空気を胸いっぱい吸い込みリフレッシュ。木の間でキラキラ光る空を仰いでウットリ。そしてその森は、実は私がいつも使っている駅から2駅の場所にあるってことに、何だかびっくり。
休日、何もすることがないとお思いの方、嘆くことなかれです。最寄り駅から2駅先で下車してみてください。そこから見える景色が思わぬ発見をもたらしてくれるかもしれません(私が森で発見したこと、それは木の間から見える空は、いつもより青いということ!)。そして、その発見や驚きが、何よりの癒しになること、間違いなしです。