6月のテーマ:コツコツ続けていること
いつぞやのピンクじゃないが、コツコツというのはおよそ私と縁のない言葉だ。
小さな頃から短期集中型。独立した小さなゴールを切っては次のゴールへ突き進
む日々。とりわけ大学に入ってからは、電車を片っ端から乗り継ぐように、刹那
的な生活を送ってしまった。おかげで後ろを振り向いてみても、通ってきた道が
分からない。
そもそもコツコツってどういうこと?コツコツ稼ぐ、貯金する、運動する勉強す
る、何かを集める...。誰に言われるでもなく、義務でもないけど、ためになる何
かを地道に続けること。とにかく、この"地道"というところが私の最も苦手と
するところだ。続けてることはあっても、コツコツというのとは違う気がする。
そんな私がここ数年、少なくとも毎日チェックし続けてきたものといえば、フィ
デル・カストロの健康状態と"ブログ"くらいだ。中でも、私はかなりのグルメ
ブログ好きで、いくつもお気に入りに登録している。
一度はグルメリポーターを夢見た私の見る目は、かなり厳しい(つもり)。やが
て選考の基準にも一貫性が出てきた。オンライン辞書の登録数を凌ぐライバルブ
ログたちを退け、お気に入りの座にとどまり続けるための第一条件...。それが、
"毎日更新している"、ということなのだ。クリックするたびに新しい記事がト
ップに現れるのだから、こちらとしても気合いが入る。ちなみに第二が写真の充
実度。第三が情報の充実度と視点である。
ブロガーたちは、その道にかなりのこだわりを持つ独学専門家だ。基本的に他者
の圧力を受けず、自由で正直な感想をつづるが、もちろんマナーも心得ている。
やがて同系統のブロガー間で尊敬を集め、その道のカリスマとなっていく者が現
れる。コメント欄や引用部にも、ブロガー間のパワーバランスが見て取れるほど
だ。この空気が、ますますその人のプロ意識や責任感をあおる。時にはそれが本
職となる者さえいる。もはや完全に自己プロデュースの世界である。
半職業くらいの勢いで毎日店に通い、箸を取る前にカメラを構え、地理情報やメ
ニュー、価格帯をリサーチし、所感や他店との比較研究を世に発信し続けるブロ
ガーたち。決して個人の感想に終始せず、読者の知りたい情報プラスαを網羅し
ている。彼らの日常的な研究の成果が記録されたブログは、人生の論文と言って
も過言ではない。
自分で吸収して満足するのではなく、世の中にそれを発信していくこと。自分の
持てる知識を共有すること。そのためにコツコツと経験を積むこと。振り向けば、
くっきりと道がある。これぞ憧れの大人像である。
そんなわけで、今のところ他人のコツコツに乗っかって、コツコツとブログを読
み漁る日々が続いている。