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2008年11月 アーカイブ

vol.44 「みんな"変身"ってしたい?」 by 浅川奈美


11月のテーマ:変身

どうも初登場の浅川奈美です。
さ。今月のキラリ。テーマは「変身」ねって言われても...。(;・∀・)

「"キャビンアテンダントから映画業界へ転身"="変身"、うってつけのテーマじゃないですか」

励まされてはみたものの、私にとって「変身」ってかなり非現実的な出来事。
国際線CAから映画業界、書籍企画編集、そして再び映画・映像関連の現職。所属するところや社会的関わり方が多少変わっただけど、自分は何も変わってない。

う、う"...。書くとなると。
「変身」ってなんだ。

この言葉を聞いて一番に思いだしたのが、カフカの『変身』。
ご存知、朝起きたら、毒虫になっちゃった男の話。
ど頭からガッツリ攻撃指数高い設定。
自分だったら、なんてとてもじゃないけど想像できない。絶対、ムリ。
だって、虫だよムシ。しかも毒入り。

主人公ザムザは、ぐーたらのぼんくらオヤジに代わり家族を支えるいいやつ。なのに、毒虫って...。この不条理。なんだそりゃ。家族は、息子と認知はすれど、扱いは畜生以下。疎まれて、虐げられて、ザムザまったく救われずのエンディング。いくらなんでもそりゃないよ。
そういえば、研究中のケアレスミス(紛れこんだ虫にケアもレスもないけど)で主人公がだんだんハエに変身しちゃう映画。異変に気づいた彼の恋人は、よりによって元カレにすりすり。最後にはドキューーと殺しちゃうしな...。

『エクソシスト』なんかだと、たとえ娘が悪魔になったとしても、緑色のなんかへんなのを口から吐き出しても、首があらぬ方向にまがっちゃっても、彼女の家族は最後まで見捨てなかったじゃないか。やっぱり容姿は愛情に直結するものなのか。

原形(原種)に近い形での変身は、どうやらいい生き方ができるのかもしれない。
クモ男になって内面葛藤するアイツや、50年間、変わらず原色タイツファッションでおなじみの着替え名人やら、やったね、映画にもなったよ只野仁とか、変身を自分の意のままにできる場合は、生来持つモラルにのっとって現実社会での活躍の場を見出せるのかもしれない。お年寄りに席を譲れないシャイボーイが、別人に変身することにより堂々と善意を振舞えるみたいな?ただし、リアル世界での自分の周囲はとりあえず保全したいから、変身能力は極秘事項。

映画ネタ出したせいで、ほんとに離れすぎた。

目の前の出来事がにっちもさっちも行かなくなっちゃったり、もう、自分じゃどうにもならないよ、などと解決の糸口さえも見つからなくなったときに、あったらいいな、できたらイイナのひとつが「変身」。そんなイメージもある。


「異性にもてない」→(理由)外見に問題あり。

上述のように、問題点に対する明確な理由が自分の中にある場合、「外見の変身」が問題解決につながる...そんな見方もあるだろう。
「xxちゃん、変身したよねー。」これって軽いほめ言葉だったりも聞こえる。でも、(前はやばかったよね)が聞こえそうで、ヒーーーー。ちょっとコワイ。

ただ。
「ほらね。見た目ぐっといじって美しくなったから、やっぱり幸せになりましたとさ。」
っていうのは、大半から拒絶されがち。そういうものだ。

『カンナさん大成功です』や、『ハンサム★スーツ』とか切り口は外見だけど、描くのは世界観まで変えちゃう内面の覚醒。最後には、やっぱり内面が一番大事なんだ。心やで、心。そうだそうだ。で、見る人は納得する。


外見の変身とはある意味、本当にだいじなモノを見極めるための、己に対する研磨剤のようなものなのか。

変身<変心

俳優が歳を重ねていくって言うのもある意味、変身だと思う。
山崎努氏の歳の重ね方はまさに変身だなと、最近つくづく思った。
黒澤明の『天国と地獄』('63)のあと、『おくりびと』('08)をみたときにゃー、ほんとに心臓がぐらぐらきた。
自分を商品としている役者という職業。45年をかけた、男の変身。この人が銀幕で刻んできた顔のしわ。
ヤバす。o(T◇T)o

vol.45 「That's 映像翻訳!~私たちのコスチュームプレイ」  by杉田洋子


11月のテーマ:変身

さあ始めよう
  私たちのコスチュームプレイ

色取りどりの文字をまとって
   画面の上を駆け抜けてゆく


私たちの頭の中には、小さな扉がある。扉の向こうはウォークイン・クロゼット。
パソコンに向かい、扉を開ける。目の前に広がる、四次元ポケットみたいな異空
間。宙にはたくさんの引き出しが漂っている。

"さあ、今日は何に変身する?"

引き出しの中では、ひらがなやカタカナや漢字たちが、今か今かと出番を待ってる。
奥の方に浮いてる重い引き出しに手を伸ばす。ズラっと並ぶ、ゴツゴツとした熟
語たち。逮捕、容疑者、犯行時刻、動機...。そう、今から私は刑事になるのだ...!

映像翻訳者って、こんなふうに日々変身を繰り返していると思う。それも数秒ご
とに。国籍を問わず、性別を問わず、年齢を問わず、善人悪人を問わず。ある時
はドラマの刑事に、次の瞬間には囚人に。明日はニュースキャスターに。はたま
た翌週は取材に応じるハリウッドセレブに。文字という、私たちのコスチューム
をまとって。

アイテム(語彙)の豊富さとファッションセンス(メディアセンス)はコーディ
ネイトの決め手。私たちが語彙を増やせば増やすほど、頭の引き出しは増えてゆ
き、センスを磨けば磨くほど、バランスや流れにも磨きがかかる。セリフのTP
Oを適切に判断し、カラーやフォルムに気を遣いながら、1枚1枚をコーディネー
トしてゆく。

たかが文字、されど文字。膨大な日本語の文字の配列パターンは、正に天文学的
数値になる。それを私たちは、毎日毎日、規則の中で着こなしているのだ。だか
ら私たちは変身のプロ。文字に包まれた透明な体で、画面という名の舞台の上を、
今日もまた駆け抜けてゆく。