発見!今週のキラリ☆

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vol.46 「オヤジロック万歳!」 by 藤田庸司


12月のテーマ:節目

僕は長年のロックファンだが、先日、ロック人生の節目とでも言うべく一大イベントがあった。ブリティシュ・ロックバンドの大御所、ザ・フーの来日公演である。ビートルズやローリング・ストーンズと並び、3大ブリティシュ・バンドの一つと言われるザ・フー。日本での知名度はビートルズ、ストーンズに比べると低いが、単なるロック・バンドやポップス・バンドの殻を打ち破り、パンクロックやヘヴィロックの先駆者、ひいてはロック・オペラの創始者として多くのアーティストや現代音楽に影響を与えたカリスマである。

コンサート会場は日本武道館。ウッドストックをはじめ、ロック黄金期といわれる60~70年代を生き抜いたモンスター・バンドには少々小さめのハコかもしれないが、見るほうは東京ドームのようなスタジアムなどより音響も良くうれしい。

現在のフーのメンバーだが、ドラマーのキース・ムーンとベーシストのジョン・エントウィスルはすでに他界しているため、オリジナルメンバーはギターのピート・タウンゼントとボーカルのロジャー・ダルトリーのみとなるが、二人のロック・レジェンドの雄姿は今も健在だった。

一時は難聴に苦しみ、「二度とエレキギターは弾かない」とまで言っていたピートだが、ギターを破壊すらしなかったものの(初期の彼らは毎ステージごとに、機材を粉々に破壊していた)、トレードマークの"腕ブンブン振り回し奏法"で観客を大いに沸かす。またそれに応えるかのようにロジャーが、マイクをカウボーイのようにグルグルと振り回すパフォーマンスを加えながら叫ぶ。還暦を越えているにも関わらず、ほぼ2時間ぶっ通しで、昔と変わらぬ高音を歌いきるロジャーには驚いた。時折シャツから覗く厚い胸板からもうかがえるが、相当体を鍛えているに違いない。またサポートメンバーではあるがドラマーは、かのビートルズのドラマーであるリンゴ・スターの息子、ザック・スターキー。一時はオアシスのツアードラマーだったこともあり、かなり強力なグルーヴを叩き出していた。そしてセットリストは往年の名曲のオンパレードだ。永遠のロック・アンセム「マイ・ジェネレーション」や「ピンボールの魔術師」を生で聞いたときには、曲のリフやメロディが持つ衰えることのないエナジーに鳥肌が立った。

ピート・タウンゼント63歳、ロジャー・ダルトリー64歳。「ロックは若者の文化」、「いい年してロックなんて...」という時代は過去の話。二人のロックオヤジは少年のようにキラリ☆と輝いていた。終演後、近くの居酒屋にて、友人とロック談義を交わしながら美酒に酔いしれた。