3月のテーマ:出会い
ロサンゼルスの公共交通機関は、本当にお粗末だ。バスや電車があることはあるが、限りなく無いに等しい。そのくせ、夜はもちろん昼だって、歩けるほど安全な街でもない。石油会社や自動車会社が政府に働きかけて、車がないと生活できないようにしたという話だが、いずれにせよ、このだだっ広いロサンゼルスで、車は必要不可欠な存在だ。
ロサンゼルスに来たばかりの時は、車も運転免許もなく、本当にどこにも行けなかった。行動範囲は常に会社や自宅周辺。どこか遠くに行く時は必ず誰かに送り迎えを頼まなければいけない。非常に窮屈な思いをした。
そんな状況に嫌気がさし、自動車を買った。私の短い人生の中で一番大きな買い物だ。交通事故が多いこの街で運転するということは、心配ごとがまたひとつ増えるということ。でもそれ以上に、いつでもどこへでも好きな場所へ行ける自由を手に入れた喜びは大きかった。世界が広がった。自分から人に会いに行けるようになったのだ。
ロサンゼルスに来た当初は、友人はおろか知り合いすらいない状態でのゼロからのスタートだった。見知らぬ人同士でも道ですれちがえば笑顔で挨拶をするロサンゼルスだが、車社会のこの街で人と知り合うには自分から働きかけるしかない。
とにかく人が集まる場所に足を運んだ。知らない団体に飛び込んでいくのは最初こそ躊躇したが、新しい人と出会う喜びを知り、楽しくなっていった。おかげで、たくさんの素晴らしい出会いに恵まれた。人と人との出会いが新たな何かを生み出し、さらにはひとの人生を変えていく。何が何につながるか本当に分からない。
4月からロサンゼルスでも日英・英日翻訳コースがスタートする。嬉しい事にすでに問い合わせもいただいている。これからどんな人に会えるのか楽しみで仕方ない。