4月のテーマ:花
先月末の思いがけない寒さのせいで、桜も牛歩戦術。
サクラ大好きな私にとって、ヤキモキ度数のハリもいい加減ふり切れていたが、ようやく、今週末、青空に映える淡いピンク色の景色が楽しめそうである。
新しい靴のにおい、まだしっくり来ない制服の窮屈さ。その胸いっぱいにあるドキドキとワクワク。出会い、別れ。はじまり...。苦しくなるような、あったかくなるようなそれぞれの思い。
ほかの季節の草木とは違った、独特の感情を呼び覚ます桜。桜をみて思うこと、それはこの国に生まれ育った人が感じることのできる、ある種のステキな共感覚のようだ。
桜舞い散る中、新学期、新年度がスタート、ということがこの国に定着するよりもずっとずっと昔から、桜は日本人のココロになじみが深かった。
四季折々の風景を有する日本において、天地自然の美しい景色を称して「花鳥風月」がある。
そして平安以降、「花」とは桜のことをさしていた。
古の歌人たちは、桜にさまざまな思いを載せて詠みあげた。
もののあわれ、恋心、美しきもの、はかなきもの...
これらを表現するにはもってこいのアイテムということで桜は人気ともども不動の地位を確立。
ちなみに私が一番大好きな歌は、というか小学校で丸暗記した百人一首を含め、ダントツ覚えているものがコレ
(あとはビミョウ)。
世の中に
たえて櫻の なかりせば
春の心は のどけからまし
ありひらぁーーー(TдT)
いいコトいうよ、あなた。
いくら俳句や、短歌が英語圏で流行ってきたとしても、残念ながら、及ばないでしょ。
花鳥風月のボキャを駆使して詠われるものは、使われる語句の幅、そしてその一語に込めるモノに、なんせ年季はいってますから。
そして室町時代には一休さんがこんな有名な言葉を残す。
「花は桜木。人は武士」
(柱は檜 魚は鯛 小袖はもみじ 花はみよしの と続く)
花だったらこれ、人だったらこれ、と1位と思っているものをあげていったようだ。
桜は散り際が美しいもの、武士もまた死に際が潔いもの、
つまりは散り際が潔く美しいものが良いという意味。
まさに、まさに、これは日本人の美徳とされる精神である。
そしていまや、日本人よりも外国人の間で読まれているのではないかという新渡戸稲造が著した『武士道』(明治時代)の冒頭には、こうある。
「武士道とは日本の象徴たる桜の花のようなもの」
武士道=桜
と新渡戸さんは、言いきってるわけだし。
自分では気づかないうちに、この価値観は育まれているのだ。
もはや、日本人として桜を無視しては生きて生けない...そんな気すらしてきた。(笑)
美しいビジュアルのみならず、食用、染めものと、
日本人の生活にとって、またいい仕事をしてきた桜。
塩漬けの桜をさっと湯で戻しいただく桜茶は、香り、見た目の華やかさと、最上の特別感を醸し出し、
桜色の染色に用いるのは、"樹皮"なんてところは、にくいほど謙虚で粋な仕事っぷりだ。
桜は、日本人に生まれてほんとにヨカッタって私に思わせてくれる、大事な花である。
今朝、ガイドブックを抱えた欧米人集団(30名くらい)が、山手線に乗り込んできた。
髪の色、服装、その様子たるや完全に行き先は「秋葉原ぁ~」。
確かにそこは、ある種の旬にあふれていて、そして「サクラ大戦」もあるけれども...。
でもさ、帰りはさ、千鳥ヶ淵(※)にでもよってさ
サクラを見ようよ、ニッポンのサクラをさ。
※東西線・半蔵門線・都営新宿線九段下駅から徒歩約5分