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vol.62 「VIVA VINO」 by 藤田彩乃


7月のテーマ:酒

私は、割とお酒には強いほうだ。

こんな謙遜して言うと、友人たちからグーで殴られそうだが、酒豪に囲まれているので、自分ではあまり強い部類には入らないと思っている。だが、一般的に考えると比較的、強いほうだ。どうやらモンゴロイドとは思えないくらいアルデヒド脱水素酵素(体内のアルコールを処理する酵素)の働きが強いようで、二日酔いの経験もない。家族や友人が、二日酔いで苦しんでいる姿を見ても共感できず、つい非情な言葉をかけてしまう。

ただ、酒には強いが、決して酒そのものの味が好きなわけではない。炭酸が苦手なのでビールは嫌い。日本酒や焼酎は酔っ払いの匂いがするので好きじゃない。どうせ酔わないので、みんなが飲んでいればとりあえず飲むし、飲まなければ飲まないで一向に構わない。ジュース代わりに酒の味がしないカクテルをオーダーすることが多かった。特にピニャ・コラーダが好きで、「食事と一緒によく甘い酒なんか飲めるね」などとバカにされていた。

しかしここ数年、大人になったのか酒の趣味が変わった。甘いお酒を飲まなくなったのはもちろん、ワインが妙においしく思えてきたのだ。おいしいワインとチーズとパンがあれば、本気で何もいらない。好きになるとのめりこむタイプなのでワインやチーズのセミナーや講習会にも参加してみるのだが、その種類の多さと奥深さに圧倒され、また、どれを飲んでもおいしいと思える単純さが災いし、一向に詳しくならない。

おいしいワインを飲んでいる時は、ロサンゼルスにいてよかったと思える瞬間でもある。ロサンゼルスでは2ドルから、それなりのワインが売っている。日本だとワインは最低でも1000円はするが、10ドルも払えば立派なワインが買える。オシャレなワインバーもたくさんあるし、車で1~2時間の距離に手ごろなワイナリーもたくさんある。また日本だとデパ地下にしか売っていないようなチーズが、普通のスーパーの棚に何気なくのっかっている。しかも安い。ワインがご縁で知り合う人も多く、ワイン好きの友人が増えたのも嬉しい限りだ。

そんな私も、酒に弱くなった。単に年を取ったからなのか、運転するようになって日常的に飲まなくなったのからなのか・・・。「酒は飲んでも飲まれるな」とはよく言うが、酒はあくまで、たしなむもの。羽目をはずさないよう気をつけようと思う。