4月のテーマ:どうぶつ
動物が好きか嫌いかと聞かれたら、たぶん好きだ。これまで特に強くそれを意識することはなかったのだけれど、仕事でアニマルプラネットの番組を多く担当するようになってみると、番組の中で語られる動物たちの素晴らしき生態に感動を覚えずにはいられない。というわけで、近頃の私は動物好きである。
とはいえ、もちろん無類の動物好きになったわけではない。昔から犬とか馬とか、ふさふさと毛の生えている動物が好きだ。海より陸、ぬめっとした生き物はどちらかというと苦手...。
少し前までアニマルプラネットで放送していた「オースティンの大冒険」という番組をご存知だろうか? 爬虫類学者、写真家、冒険家、と様々な顔を持つオースティン・スティーブンスというおじさんが、世界中のあらゆる場所を旅して野生動物と触れ合う番組なのだが、このオースティンは大のヘビ好き。旅の途中でヘビを目撃すると、本来の目的を忘れてヘビのもとへすっ飛んで行ってしまう。仕事なんてそっちのけ、鼻息を荒くしながらヘビとたわむれるその姿は、まさにヘビ界のムツゴロウだ。毛のある動物好きな私からしたら信じられないほどのはしゃぎっぷりだが、人の好みは千差万別、きっと彼には彼なりの理由があってヘビを愛しているのだろう。
ところでペットを飼う時、多くの人はそのペットに名前をつける。友人のペットの名前も、大抵はその命名背景が想像できるものが多い。例えば足先だけが白いのでソックスとか、鳴き声からミーちゃんなど。
私自身、夏祭りの夜店で毎年買っていた金魚こそ名前をつけなかったものの(どれも同じに見えて区別がつかなかったし、鯉に食べられたりと短命の傾向にあったため)、その後飼った鳥やハムスター、犬には名前をつけてきた。「小公女セーラ」からネズミの「ネル」、ミヒャエル・エンデの「時間どろぼう~」の主人公「モモ」といった調子で、その時、自分の中でブームのテレビや小説の影響を受けての命名が多かったと記憶している。
「時間どろぼう」のモモ(柴犬、メス)を連れて、近所の緑道を散歩していた時のこと。長く長く続くその緑道にはほかにひと気はなく、先を走るモモが枯葉を踏むシャクシャクという音しか聞こえてこない。ひたすらモモを追いかけ走っていたその時、後ろから誰かを呼ぶおばさんの声が。
「なおちゃん、どこへ行くの。ちょっと待ちなさい、なおちゃん!」
えっ、私ですか!? 知らないおばさんが私を追いかけている...。足を止めたら捕まってしまうかも!
迫り来る恐怖に怯えながら走り続けていると、足元でハアハアという息遣いがする。目をやるとそこには小さなダックフンド。そしてその後ろから声の主のおばさんが登場した。「なおちゃん」とはそのダックスフンドの名前だったのだ。なんて紛らわしい!! 10歳の私を震撼させた恐怖の思い出である。
教訓、ペットには明らかにペットらしい名前をつけるべし。