vol.112 「keep on believing」 by 浅川奈美
7月のテーマ:手紙
「手紙 〜拝啓 十五の君へ〜」
2008年10月、偶然つけたNHKで流れていたのがこの曲。ご存じシンガーソングライター、アンジェラ・アキのシングル曲だが、ステージで歌っていたのは、制服を来た中学生達。その歌声ってば、私に元気玉級の衝撃を与えたのだった。
皆さんは、合唱というものに、どういうイメージを持っているだろう。
遠い昔、音楽の授業や学校の行事で、「やらされた」うちのひとつだろうか?
はたまた、年の瀬、街中響き渡る第九の大合唱だろうか?(第九といえば、指揮者・佐渡裕の 「21世紀の第九 ~世紀を越える歓喜のメロディ~」は素晴らしかったなー)
2008年のあの日。たまたまつけたTVに映ったのが、NHK全国学校音楽コンクールであった。
第78回を迎える歴史あるコンクールのひとつで、小・中・高等学校の3部門あわせて2350校以上、およそ8万人の子供が参加するという。
地区コンクール、そして、ブロックコンクールを勝ち抜いた代表校11校が頂点を目指し、全国コンクールの舞台、NHKホールのステージに立つ。この年の中学生の部・課題曲が、アンジェラ・アキがこのために書き下ろしたと言う「手紙 〜拝啓 十五の君へ〜」だった。
出場校は、いわゆる常連校といわれる古豪もいれば、長年の夢叶い初出場を果たした学校など様々。ただ、全国コンクールの模様としてNHKでオンエアされる11校全て猛者。どこが優勝してもいいくらいの、最高レベルの合唱を披露する。
都道府県大会が7月、ブロック大会が8月下旬から始まるわけだから、もう、この子たちには夏休みは一切ありませんでしたっ。金賞目指して来る日も来る日も練習を重ねた生徒達。
それこそ、「1位じゃないとダメなんです。2位じゃダメなんです」ぐらいの気迫で励んで来たに違いない。
その子達が代わる代わる、曇りない澄み切った瞳で、私にこう歌うのだ。
―今 負けないで 泣かないで 消えてしまいそうな時は
自分の声を信じ歩けばいいの
そして、こうも歌う。
―いつの時代も悲しみを 避けては通れないけれど
笑顔を見せて 今を生きていこう
もう、くーーーーーーー、キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!
なんと、すごいパワーなのだろうか。少年少女達のこの合唱の力というのは!
こう、カラッカラに干からびた身体に、ビールがすーーーーーーっとしみこむ清涼感。アルコールが飲めないのであくまで想像。
でも、わかる、絶対そんな感じ。すさまじい勢いで心身ともに潤っちゃう感じ。
表彰式の後、まさにコンクールのフィナーレを飾るのが、会場にいる全ての人によるその年の課題曲の、全員合唱。努力が実った子も、惜しくも入賞を逃した生徒達も、学校関係者、保護者、熱烈合唱ファンも一緒になって歌う。必死で涙をこらえる子、とめどなく溢れる涙を拭こうともせず歌う子、それぞれ色んな思いを胸に抱きながら歌う「手紙〜拝啓 十五の君へ〜」はなんとも凛としていて、コレがまた泣けるのだ。もう、大変な状況、号泣状態。かなりのデトックスである。
あの日以来、かなり合唱は気になる存在。しかも中学生。ようやく男子の声変わりも始まり、4部合唱が出来そうな感じ。あれがいい。
今年もそろそろNコンのシーズンが始まる。全国大会は入場無料なのだが、入場券を手に入れるのはかなり難しいらしい。このご時世、いろんなことがクローズになっている。確かに、保護者でもない大人たちが、合唱ファンと言うことだけで誰でも会場に入れるのはまずいのだろう。分かる。
今年の中学生の部・課題曲は。Flumpoolの「証」。歌詞を見ただけで、やばい。コレはやばいぞ。
【余談】
合唱ファンと言うのは全国でもかなりいるらしいのだ。その1人がTBSアナウンサーの安住紳一郎。熱烈な合唱ファンである彼が、その魅力を合唱初心者にはうってつけのネタ満載で語る。ポッドキャスト音源が聞ける。この人、こういうオタっぽさかたらせたらほんとに話が上手い。是非オススメする。かなり笑える。
★TBSラジオ「安住紳一郎の日曜天国」ポッドキャスト
「皆さんは熊本の合唱する中学生ですか?」