9月のテーマ:炎
「今月のコラムテーマは"炎"でお願いします。」と聞いて一番に思い浮かんだ単語が、「炎のコマ」(※)であったことに、少々びっくり (゚д゚)!すると共に、自分の属性とスペを再認識した今日この頃。そのワールドへぶっちぎることも考えたが、自分にとっての新世界への考察も視野に入れ、慌てて思考を膨らませてみた。
(※マンガ「ゲームセンターあらし」にでてくる必殺技。念のため)
タイトルや固有名詞につけられたり、物事や感情の状態などを表すのによく登場する日本語、「炎」。「気体が燃焼したときの、熱と光を発している部分」(大辞泉)の意味だが、「火(ほ)の穂」とも書く。その燃えている様が「穂」のようであることからであろうこの表記。なんともハイコンテクストではないか! 農耕民族である日本人の思考にスッと入り込む、何かが激しい状態だぞというイメージがわきやすい言葉である。「火」に比べると相当使いやすそうだ。色んなところで重宝がられるのも実に納得。
「炎 + ほにゃらら」については、ちょっと思い出しただけでもこんな感じか。
『炎のランナー』(1981年 英国。第54回アカデミー賞作品賞受賞作品。オープニングが素晴らしい)
『ロッキー4/炎の友情』(アポロが死んでしまうという衝撃以外にはあまり記憶にない)
『ハリーポッターと炎のゴブレット』(未見。でもタイトルの"ゴブレット"という語感がすき)
『炎の闘球児 ドッジ弾平』(もう、久しぶりに口にしたこの単語。ちょっと嬉しい)
『聖闘士星矢 第22話 「炎の復活! 不死身の一輝」』(いかん、こっち路線への磁気が・・・)
『炎神戦隊ゴーオンジャー』(←「ほのお」っていう呼び方じゃないけど)
「炎のたからもの」(「ルパン三世 カリオストロの城」の主題歌およびストーリー全体のテーマソング。この歌はいい仕事をしている。聞けば、わかるだろう)
映画『突然炎のごとく』(1961仏)の原題はJules and Jim。「火」のカケラもない原題から、この邦題。ガッツリいったなーと思うがコレはコレでいい気がする。カトリーヌ役のジャンヌ・モローの美しさが炎のように炸裂して青年をとりこにしちゃったこととか、ラスト、カトリーヌを突き動かす「炎のごとく」の感情のこととか。唐突感がなくてしっくりいったタイトルだなーと思う。しかし、自分のコラムにおけるこの話題自体(61年の仏映画)が唐突で、笑える。
「炎・火(ほ)の穂」には、こういう意味もある。
―― ねたみ・怒り・恋情など、心中に燃え立つ激しい感情をたとえていう語。ほむら。「嫉妬(しっと)の―に狂う」(大辞泉)
あれ?「ほむら」?
テレビアニメ『魔法少女まどか☆マギカ』の登場人物"暁美ほむら"の「ほむら」には、こんな意味があったのか!!と、思いもかけない気づきに感動してしまった。2011年も後半に入って大分経つが未だに「まど☆マギ」推しである。作品のオフィシャル評論本『成熟という檻 『魔法少女まどか☆マギカ』論』(山川賢一・著)の発売、そして、おめでとう「第16回アニメーション神戸賞受賞」http://www.anime-kobe.jp/anime-kobe/ ということで、'やっぱり'のテイストで今回のコラムも仕上がったのだった。
日本語特有のこのハイコンテクストぶりを英語化するという日英翻訳の世界は、いつだってチャレンジであり、刺激的だ。「おもしろそう!」と思う人も「なんかよくわかんない」という人も、一度体験レッスンに来ていただくと分かる。日本語への気づきと英語脳フル回転を実感できるはず。
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