発見!今週のキラリ☆

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vol.139 「変わってほしくないもの、変わっていいもの」 by 藤田奈緒


7月のテーマ:変わらないもの

このところ私の周囲はちょっとした同窓会ブームだ。この歳にもなると、仕事や結婚などさまざまな事情により、皆住んでいる場所もバラバラなわけだけど、SNSの力を借りると、物理的距離などまるでないかのように、かつての友人関係が復活する。今は小学校時代の仲間と繋がりつつある。

小学校時代、と書いたのには理由がある。実は私は小学校の6年間、毎日通う学校とは別に、もう1つ別の学校に通っていた。簡単に説明すると、それはボーイ&ガールスカウト的な野外教室と学習塾をミックスしたようなもので、学校の枠を超えて周辺の子どもたちが集まって、キャンプをしたり、体操を習ったり、たまに真面目に勉強したりするような場所だった。週に2~3回とはいえ、そこで得た体験は地元の小学校で得られるものとは質が違い、私はいろいろな学校からやって来た個性豊かな仲間たちと非常に濃厚な時間を過ごした。見たこともないイナゴの佃煮やすずめの丸焼きを食べさせられたり、真夜中の散歩でお墓を歩かされたり、何メートルもある崖から流れの速い川に飛び込まされたりした恐怖は今でも忘れられない。それらが今の私にどう影響しているかは正直よくわからないが、とにかく私の子ども時代はそこでの思い出なしには語れないのだ。

前置きが長くなってしまった。そんなわけで最近繋がったその頃の友人の1人とメールでやり取りしていた時のこと。彼女と最後に会ったのは中学校に入る前だったから、かれこれ20年近くのブランクがあることになる。久々のメールで彼女は言った。「写真を見て、奈緒ちゃんだってすぐわかりました。全然変わってないね!」。この手のことは昔からの友人は皆口を揃えて言うわけだけど、言われるたびに何だか少しだけ腑に落ちない。年齢が1ケタだった頃と大人になった今の顔が同じって、まさかそんなことがあるものか!と。だって、あれからあんなこともあったし、こんなことも経験したし、私はそれなりに成長したはずなのですよ、と。

その一方で、このところの失くし物の多さを思い出し、あの頃と自分がちっとも変わっていないことに愕然とする。前回のキラリでも書いたが、過去1年のうちに3回ほど携帯を失くし、あげ句の果てには手元に戻ってこなかった一連の事件は記憶に新しい。公表していない失くし物や忘れ物を挙げたら、とんでもなく長いリストが出来上がるだろう。それほど私の失くしグセ・忘れグセの歴史は長いのだ。小学生の宝とも言うべきランドセルを学校に忘れて、手ぶらで帰宅した時の母の顔は忘れられないし、あれはさすがに自分でも呆れ果てた。

どれだけ長い時を経ても変わらない何かは、時に人に安心感を与える。「ああ、やっぱり変わらないね」という一言は、ポジティブなニュアンスを持って発せられることも多い。実際、20年以上も前の小学生だった自分と今の自分の共通点を見つけた私は、少しホッとしたような気持ちにもなっている。恐らくこの失くしグセは、変わった方がいいもののはず。安心なんてしてる場合じゃないと思うのだけれど。