発見!今週のキラリ☆

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vol.157 「涙の記憶」 by 野口博美


4月のテーマ:涙

大人になると子どもの頃と比べて号泣することは少なくなると思う。思い返してみても、例えば失恋や仕事で嫌なことがあった時もちょっぴり涙がこぼれる程度だった。映画を観ていて感動シーンに涙しても、エンドロールが終われば余韻に浸りつつ、何でもない顔で映画館を後にすることが多い。では最後にものすごく泣いたのはいつだろうかと考えると中学の卒業式だったような気がする。

友達と遊んだり、部活動にいそしんだり、それなりに楽しかった中学時代ではあったけれど、それほどクラスメートたちと別れるのが悲しかったわけではない。にもかかわらず卒業式の最中、私と、同じクラスの割と仲のよかった数人だけが卒業証書を受け取るのもままならないほど号泣してしまった。
子の成長を涙ながらに見守っているはずの母親からも「あんなに泣くなんて、見ていて恥ずかしかったわ」とか言われて「確かにそうだよね」と我に返ると不思議な気分になった。
もし当時の映像が残っていても絶対に見たくない。当たり前だが、その日に撮ったどの写真を見ても泣きはらしたはれぼったい目をしたブサイクな私が写っている。
しかも悲しいことに、今でも親交のある中学時代の友人はいない...。

SNSを活用する友人から「小学校時代の同級生とつながった!」などと楽しげな話を聞くことがある。そういった類のシステムにまるっきり疎い私だが、近いうちにマスターして、かつての友人に「あの時の涙は何だったんだろうね?」と聞いてみたい。