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vol.169 天使の街 ― ロサンゼルス by 浅野一郎


10月のテーマ:天使

一番多感な年頃に80年代を迎えた僕にとって、「天使の街」ロサンゼルスは特別な街だ。
なぜなら、この街で"LAメタル"が生まれたからである。

LAメタルとは、その名の通り、ロサンゼルスで生まれたハード・ロック/へヴィ・メタル(HR/HM)のことだ。全世界で800万枚のアルバム売り上げを成し遂げたポイズン、ラットン・ロール(RATT N' ROLL)という言葉を生んだラット、バッドボーイズの代表格、モトリー・クルーなどなど、LAメタルの雄を挙げれば枚挙に暇がない。

現代ではお笑いのネタに取り上げられるような奇抜なファッションや厚化粧、キャッチーなメロディやあまりにも能天気な歌詞。ミュージックビデオの中で描かれる、スターを夢見てダイナーで働く若者から、ヒュー・ヘフナーの豪邸でバレーボールに興じる人たち、水着で洗車する美女軍団などなど...。もちろん、ほとんどはミュージックビデオの中の虚像であることは分かってはいたが、少年の心に与えたインパクトは計り知れない。

ただ、爆発的なムーブメントだった半面、廃れるのも急速だった。今でも活躍しているのはほんの数組に過ぎない。しかし、たかだか10年程度の流行だったとはいえ、僕にとってのアメリカ観はまさにLAメタルで培われ、その憧れがアメリカへの、そして英語を学びたいという気持ち、ひいては映像翻訳者を志した原動力に他ならない。そんなわけで、僕にとってLAメタルを生んだ「80年代」と「ロサンゼルス」は特別な存在だ。

最後に、僕のitunesには"80'sメタル"というプレイリストがあり、未だに当時のMTVで放映されたお気に入りのミュージックビデオを集めたVHSを週に1回は観ている。かなり前のことになるが、ボウリング・フォー・スープというバンドが『1985』という曲を発表して話題になった。80年代に青春を生きた人は是非このミュージックビデオを観ていただきたい。いろいろな意味で考えさせられるはずだ。