【written by 鈴木純一(すずき・じゅんいち)】映画を心の糧にして生きている男。『バタリアン』や『ターミネーター』などホラーやアクションが好きだが、『ローマの休日』も好き。
また、日本映像翻訳アカデミーのサイトでコラム「気ままに映画評」を書いています。
http://www.jvtacademy.com/blog/kimama/-----------------------------------------------------------------------------------------
"うどん"と言われてまず思いつくのは、リドリー・スコット監督の映画『ブレードランナー』だ。2019年のロサンゼルス。ハリソン・フォード扮する主人公が日本料理屋らしき店で、うどんを注文する時に「4つくれ」と言う。すると店員が日本語で「2つで十分ですよ!」と答える。初めて劇場で観た時には「何で2つなのか?」が見終わった後も、ずっと気になって仕方なかった。同じスコット監督の『ブラック・レイン』でも、マイケル・ダグラスと高倉健がうどんを食べる場面が登場していた。
讃岐うどんの店、「野らぼー」は神田駅の北口からすぐのところにある。店に入ると、木を使った内装と明るさを抑えた照明で、なかなか落ち着く雰囲気だ。"ゆかいな麺々"と書かれているメニューを見る。どれを食べようか迷ったが、"野らぼーうどん"(780円)を頼んだ。うどんだけでは足りないかと思い、かぼちゃの天ぷら(90円)も追加でお願いする。まもなく、うどんが運ばれてきた。うどんの上には煮干の天ぷら、生卵、わかめ、かつおぶし、ちくわとネギが乗っている。具だくさんでボリュームがあるなと思っていたら、かぼちゃの天ぷらも来た。それも大きな天ぷらが2つ。うどんはコシがあっておいしい。そして煮干の天ぷらは香ばしくて濃厚な味で、あっさり味のダシとのコントラストは絶妙である。かぼちゃの天ぷらも美味だったが、大きくて食べ応えがあったので、「2つで十分ですよ!」だった。
ちなみに、お店の名前「野らぼー」は「野良仕事もせずに、ぼーっとしている」という意味である。確かにその通り。おいしいものを食べてお腹がいっぱいになったら、仕事も忘れて"ぼーっ"としてしまうのだ。
★お店情報★
店名:「野らぼー」神田北口店
ジャンル:和食
住所:〒101-0047 東京都千代田区内神田3-19-8 桜井ビル1階
電話番号:03-5294-2626
交通手段:JR神田駅北口より徒歩1分
営業時間:月~金 11:15~14:30、17:00~22:30 土11:30~14:30
定休日:日曜日
【written by 富辺 英子(とんべ・えいこ)】目指すは、オシャレ女子的カラダに優しい食生活。しかし一番の好物は子供の頃から変わらず'鶏のから揚げ'という嗜好だけに、不惑の日はまだ遠い。
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インド料理といえば、食欲をそそるあの独特なスパイスの香り。日本のカレーもおいしいけど、インドカレーはやっぱり格別です。むしょうにインド料理が食べたくなってしまった日、インド映画を観て気分を一層盛り上げてみるのもいいかもしれません。食事前ということで、妙に考えさせられるテーマで気分が落ちてしまったり、逆に歌って踊りまくるインド人俳優を見て「テンションが合わない...」と食欲が削がれてもいけないので、映画『ストーミー・ナイト』なんていかがでしょう。インド映画によくある歌と踊りのシーンなど一切なしのサスペンス・スリラーです。嵐の夜、大きな屋敷でひとり留守番をしていた女性は、凶悪な殺人犯が逃走中だとニュースで知ります。怯える彼女の元に突然、窓をたたき雨宿りさせてくれと現われた一見ビジネスマン風の男。しかし彼女は彼の怪しい行動から殺人鬼だと確信します。そこにまたひとり、刑事を名乗る男が屋敷を訪れますが、どう見ても殺人鬼を思わせる風貌に彼女はパニック状態に。いったいどちらが本当の殺人鬼なのか?追い詰められていく状況にハラハラドキドキです!
思う存分インド版サスペンスを楽しんだ後はカレーを堪能しましょう。「ムンバイ バール神田店」は、こぢんまりとした清潔感のあるお店です。店員さんもフレンドリーかつ爽やかな印象。こういったお店では日本語があまり得意でなくてもそこはご愛嬌です。ランチセットはナンとライスがお替わり自由。ライスを早々に食べきった私に気づき、もっと食べるかと何度も聞いてくれました。そんなに大食いに見える
のかと少し心配になりつつ、大きなナンがまだ残っているのでお替わりはやめておきました。すると次に出してくれたのが、カレーの辛さを変えられる特製のソース。合わせてみると味の印象が少し変わり、更にカレーが楽しめます。まさに至れり尽せりです。ちなみにこの特製ソースを"ダイナマイトソース"だと紹介していたのですが、これはいわゆるインド風ジョークなのでしょうか。気のいい店員さんになんだか興味がわいて、いつ日本に来たのか聞いたら2年半前とのこと。たたみ掛けるように質問したいところでしたが、入国管理局からのまわし者だと思われそうなのでやめておきました。
★お店情報★
店名:インド式居酒屋 ムンバイ バール 神田店
ジャンル:インド料理
電話番号:03-5207-7038
住所:千代田区神田司町2-4 小山ビル1F
交通手段:淡路町駅徒歩3分,小川町駅徒歩3分,御茶ノ水駅徒歩5分
営業時間:ランチ 11:00~17:00/ディナー 17:00~22:30(L.O.22:00)
定休日:日曜
【written by 香村満理子(こうむら・まりこ)】「おうちごはん」が基本の出不精で、グルメでもメディア通でもないけれど、『神田グルメディア倶楽部』入部を機に食べ歩きに挑戦。美味しいものを食べて見聞を広めようと言う考えは、甘いか辛いか、しょっぱいか?
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今回は、JR神田駅から徒歩3分。居並ぶ雑居ビルに「葡萄舎」という青い看板が掛かっている。どう見てもバーかスナック...と思いきや、ステキなカレー屋さんだった(夜は居酒屋とのこと)。狭い階段を上がって、小さなエレベーターでゴトゴトと5階まで上がっていくと、山小屋風のレストラン(というよりは食堂?)に到着。中は意外と混んでいて、サラリーマンや女性客がカウンターや大きなテーブルを囲んでいた。お店を切り盛りしているのは年配のご夫婦。壁に並んだメニューを「解読」するのに、少々時間がかかったが、要は2~3種類のカレーを1度に注文することができるらしい。私が頼んだのは野菜カレーとチキンカレーのダブル。ごはんを真ん中にして両脇にカレーが注がれた状態で運ばれてくる。お皿は丸いが、どこかの国旗のようだった。まずは、ちょっと辛めのチキンの方から。せっかく2種類の味を楽しめるのだから、混ぜてしまっては意味がない。野菜のカレーが侵入しないよう、ごはんの土手を慎重に削るようにしてスプーンを動かす。途中で、野菜カレーの方も食べてみる。同じカレーでも味わいがまったく違い、1皿で2度美味しい。得した気分になった。
ところでレトロな雰囲気にひたってカレーを食べながら、ふと思い出した「カレーライスの歌」。誰の歌だったかな? と調べてみると、サザンオールスターズの5枚目のオリジナルアルバム『NUDE MAN』にあった歌だった。1982年発売とあるから、まさに我が青春真っ盛り。そういえば、彼らがまだ青山学院大学でライブをやっていた頃、当時のカレー、いや、カレが「こいつら、ぜったい売れる」と熱く語っていた。あの子は見る目があったんだなあ...。 え~と、何の話だっけ? あ、そうそう、カレーの歌 ―― じゃなくて、この歌は『猫』というタイトルだった。
♪ 何かが変わってるみたい
カレーライスがとんできた夜 ♪
カレーライスが出てくるのは、あとにも先にもこの1行だけなのに、そこだけ覚えて
いて「カレーライスの歌」と思っていたのは、記憶力が良いのか、悪いのか・・・。懐かしい思い出とともに味わった葡萄舎のカレーは、野菜ベースのものがそろっていて、ヘルシーさ満点。シングル700円、ダブル750円、トリプル850円で本格的インドカレーが楽しめる。私は次回、トリプルを注文してみようっと!
★お店情報★
店名:葡萄舎(ぶどうや)
ジャンル:カレー、カレーライス
電話番号:03-3254-0637
住所:千代田区鍛冶町1-3-10 松栄ビル5F
交通手段:JR神田駅 徒歩3分
営業時間:11:30~14:00、 17:00~23:00
定休日:土・日・祝
【written by 西田洋平(にしだ・ようへい)】 欠食成年寸前の身の上としては、テーマの難しさに身も細る思いです。
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1943年冬、ロシア・ドイツ占領地域。第二次世界大戦の戦局はソ連側に傾きつつあった。それ故に占領地域への締め付けは厳しさをましていった。隠していた芋には毒をまかれ、牛も根こそぎ略奪された。これに対し、パルチザンは奪回のため、博打とも思える作戦にでようとしていた。
という始まりをする作品が映画『道中の点検』、捕虜を積んだ川舟のシーンや、最期の銃撃戦が話題になる作品だが、実は食について執着した作品でもある。牛の争奪戦が縦糸なことだけでない。ドイツ軍に潜入するパルチザンに対し、缶詰が渡される。最期の晩餐的な特配かと思いきや、
隊長:「その栄養不足なツラではドイツ軍には見えん。食って太れ。この缶詰を手に入れるのにも犠牲が出たことを忘れるな!」
これを見た後にロシア料理を食べると感慨もひとしお(笑)。
ランチセットの内容は、サラダ、赤紫色のボルシチ、メインディッシュが一品、甘~いフルーツゼリーのデザートがつく。メインディッシュは壺焼きスープ、キエフ風カツレツ、ロールキャベツ、ビーフストロガノフなど。隣席からは時折、ロシア関連の研究と思われる会話が聞こえてきて、これも楽しい。また「あの」アエロフロートの機内誌も販売されていて老舗の重みを感じさせる。
★お店情報★
店名:ロシアレストラン ろしあ亭
ジャンル:ロシア料理
電話番号:03-5280-3753
住所:〒101-0051 東京都千代田区神田神保町1-13
交通手段:地下鉄神保町駅 徒歩1分
営業時間:月~金 ランチ11:30~14:30、ディナー 17:30~22:00
土・日 ランチ11:30~14:30、ディナー 17:30~21:00
定休日:祝祭日