【written by 綾部歩(あやべ・あゆみ)】 趣味は料理。日々お店でおいしいものに出会っては自らのレシピに生かすべくアイディア収集活動中。最近引っ越し、自宅近くの新たなお店開拓を楽しんでいます。
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映画「幸福な食卓」に登場するシュークリームは脇役ながら印象深い。北乃きい演じる主人公、佐和子が兄の彼女の手作りシュークリームを頬張るシーンを観て、シュークリームを買いに走った人もいたはずだ。そんなあなたにぜひ味わってもらいたいシュークリームのお店がある。
日本橋三越新館の三階にある『三越レトロカフェ』だ。ファッションコーナーを抜けた先に、突然現れるこのお店は「レトロカフェ」という名前にふさわしく落ち着いた雰囲気で、ゆったりとした時間が流れているのが魅力。
このお店、実は老舗の洋菓子舗WESTが営んでいる。
そもそも喫茶洋菓子WESTの代名詞といえばドライケーキ(クッキー)だが、実は国内4店舗で生ケーキを味わうことができる。その中でも特に人気を集めているのが、喫茶室限定メニューのハーフシューだ。見た目はコロンと丸い普通のシュークリームだが、フォークを差し込むと、まずさくっとしたシューの音がとても心地よい。中には2層になった生クリームとカスタードが顔をのぞかせる。特にこのカスタード、鮮やかな黄色が食欲をそそるだけではなく、ホームメードのような懐かしい味がする。ふと「幸福な食卓」で佐和子が頬張っていた手作りシュークリームはきっとこんな感じなのではと想像力が刺激される。
うれしいことに、この三越レトロカフェではコーヒー、紅茶がおかわり自由。中でも珍しいライチ紅茶が目を引く。1杯目は甘いハーフシューと一緒に、2杯目は紅茶そのものの香りと味を楽しむ。佐和子のように両手にシュークリームを持って口いっぱい頬張るのもいいが、ゆっくりと味わう大人な楽しみ方もお勧めしたい。
★お店情報★
店名:三越レトロカフェ
ジャンル:喫茶店
電話番号:03-3243-1881
住所:中央区日本橋室町1-4-1 日本橋三越新館3F
交通手段:地下鉄三越前駅より徒歩1分 日本橋駅より徒歩5分 JR新日本橋駅より徒歩7分
営業時間:AM10:00~PM8:00
定休日:日本橋三越休館日に準じる
【written by きただてかずこ】 子供の頃からお笑いが好きで、オトナになった今もバラエティ番組を見なければ夜も日も明けぬ毎日。ライブにもしばしば足を運び、笑える喜びにどっぷり浸りまくっている。当ブログマガジン「Chewing Over」で「ミクスチャー食堂2」連載中。
http://www.jvtacademy.com/blog/co/mixture/-----------------------------------------------------------------------------------------
映画やドラマでフランスパンを食べているシーンというと、きちんとナイフでスライスして味わうより、手でちぎってほおばったり、頭からガブリと食いついたりしていることのほうが多いように思う。昨年、アカデミー賞で外国語映画賞を受賞した『おくりびと』にも、フランスパンを食べる場面が出てくる。本木雅弘が演じる主人公・大悟が妻のいない家で1人、夕食を取るのだが、そこで彼はなんとフランスパンに刺身をのせて食べていた。だいぶ前に、イタリア人の男性は妻が長く留守をしている時、冷凍したトマトソースを解凍せずにそのままパスタにかけてしまう(のせてしまう?)という話を聞いたことがあったが、大悟も妻がいない間は空腹さえ満たされればいいという気持ちだったに違いない。
しかし、JR新日本橋駅に近いベーカリー「ボンクール」のフランスパンは、そんな食べ方をきっと許してくれないだろう。女性を意識し、味にも見た目にもこだわった食事パンや季節のフルーツを使った菓子パンを多く扱うこの店では、フランスパンも丁寧に焼き上げられており、「バゲット」という名で親しまれている。近所の飲食店のスタッフらしき人が買っていく姿を目にすることも多く、過去にはこのパンを使ったサンドウィッチがコンテストで入賞した実績もあるほど。『おくりびと』の大悟のように刺身をのせて食べるなんてもってのほかだ。外はサクサク、中はしっとりとしたフランスパンは、ナイフで厚めにスライスしてじっくり味わいたい。トーストをしてバターを塗っただけでもおいしいし、キュウリやハム、コンビーフなど、好みの食材をのせるのも楽しい。
また、ここではフランスパンを買うと保存袋をつけてくれる。袋には冷凍保存と解凍の方法が書いてあるので、翌日以降も変わらぬサクサク感としっとり感を楽しむことができる。
なお、ボンクールは日本橋の地域ブランド事業展開「日本橋美人
プロジェクト」にも参加している。「身体の中から健康で美しく、伝統を身近に感じることにより培われる教養や品格を持ち、心優しく感性が豊かで真に粋(クール)な"心も身体も美しい" 女性を総称する日本橋の地域ブランド」に合わせて、同じ日本橋にある老舗和菓子店・榮太樓總本舗の餡(あん)を使ったパンや、最近、ヘルシーさで注目されている米粉を使ったパンも販売している。
地元に根ざし、味や見た目だけでなく、健康にも気を配っているボンクール。フランスパンであれ何であれ、雑にかぶりつくのは、やっぱりもったいない。お店の人たちのアイデアやまごころも一緒に、しっかり味わって食べたいものだ。
★お店情報★
店名:ボンクール
ジャンル:ベーカリー
住所:〒103-0022 中央区日本橋室町4-3-12
電話番号:03-5201-3811
交通手段:JR新日本橋駅 徒歩3分
営業時間:平日 7:30AM~8:00PM 土 8:00AM~6:00PM
定休日:日曜・祭日
【written by naiamao(ないあまお)】2001年にひょんなことからハワイに滞在しソングライティングに目覚めて以来、ボーカリストとしても活動している。自身のジャンルを超えた音楽表現を追求しつつ、世界のアートや音楽を日本に伝える懸け橋になるのが夢。
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カフェではなく「喫茶店」という響きには、洗練されてはいないがどことなく懐かしい趣きがある。昭和のにおいを残す「喫茶店」の魅力を味わうには、神田という街は最適だ。
「喫茶 アーモンド」には、いくつかの逸話がある。まずランチメニューのスパゲティの量が、ただならず多いらしい。そして、店に入ると目に飛び込んでくる水槽には30センチ以上もある鯉が2匹泳いでいる。タバスコのサイズも特大。暗めの照明に、絨毯生地のようなふかふかのソファ。漫画や雑誌もたくさん置いてある。いつしか時間を忘れ、ここはどこだろう...と不思議な感覚に襲われそうだ。小学生の頃に放課後図書室なんかに1人でいるとこんな気持ちになったような気がする。孤独だけど、守られているあの感じだ。
この喫茶店のイメージを音楽に例えるなら、EGO WRAPPIN'
(エゴ・ラッピン)の2001年に発表された『満汐のロマンス』というアルバムがぴったりだ。彼らは1996年に結成された中納良恵(ボーカル、作詞作曲)と森雅樹(ギター、作曲)からなる大阪出身のユニットである。戦前のジャズから自然に行き着いたキャバレー音楽や昭和歌謡を消化し、独自の世界観を築きあげたと言われている。
喫茶アーモンド、そしてEGO WRAPPIN'。平成に息づく古きよき昭和の空気を、年代を問わずぜひ味わってほしい。
★お店情報★
店名:喫茶 アーモンド
ジャンル:純喫茶、軽食
電話番号:03-3861-6784
住所:東京都千代田区岩本町2-8-2 保科ビル
交通手段:JR神田駅、新日本橋駅、小伝馬町駅、岩本町駅から徒歩約10分圏内
営業時間:[月~金]7:00~17:00、[土]7:00~14:00 定休日:日曜・祝日
【written by 扇原 篤子(おぎはら・あつこ)】人が大好き。大勢人が集まる市場や食堂も大好き。人間臭い魅力に溢れる場所をこれからどんどん紹介していきたいと思っています。"人間ばんざい!"当ブログマガジン「Chewing Over」で「やさしいHAWAI'I」連載中。
http://www.jvtacademy.com/blog/co/hawai/----------------------------------------------------------------------------------------
アジアンフードのカギとなるのが、甘さ、酸っぱさ、辛さの3つの味覚だ。そのうちの1つでも自己主張が強くてはダメ。絶妙なバランスがハーモニーを奏でたら、"もう止まらない!"そんな1品がShaplaの「ソムタム」青いパパイヤのサラダだ。このメニューはアジアンフードのお店では定番になっているが、ここのサラダは一味抜きん出ている。
サラダにする青いパパイヤは、さくさくとした歯触りが新鮮で、サラダの他にピクルスにもする。(青いパパイヤは肉を軟らかくする酵素、パパインが含まれており、鶏肉などの肉と一緒に煮込んでもおいしい。)
青いパパイヤと聞くと映画「青いパパイヤの香り」を思い出す。主人公のムイは使用人として2家族の下で働くのだが、その中でパパイヤサラダを作る場面が2度出てくる。庭から青々としたパパイヤを取ってきて、皮をむき、その表面に包丁で細かく切り目を入れて薄くそぐ。そうか、あのパパイヤの千切りはこうして作るのか。
ところでパパイヤはハワイ産と東南アジア産ではかなりサイズが違う。スーパーや果物店で見られるハワイのパパイヤに比べ、東南アジアのパパイヤは、まるで巨大な瓜のよう。大きいものになると長さ30センチ以上、直径15センチぐらいのものもある。果肉も赤に近いオレンジ色。味はハワイ産と比べかなり淡白だが、それがまた高温多湿の東南アジアの気候にはぴったりだ。冷たく冷やしガブリといくと暑さも吹き飛ぶ。(もちろん中の黒い小さなプツプツの種は取り除いて)
ちなみに、Shaplaはどのメニューも美味しいが、ソフトシェルクラブとアボガドのサラダもお勧めだ。
最後に余談ですが、ハワイの完熟パパイヤを収穫する時の方法をご存知ですか? 道具は
トイレが詰まった時に使う"スッポン"。パパイヤの実の下に持っていき、ヒョイと上に押し上げると、うまくラバーカップの中に実が収まります。そんなスッポンの使い方があったのですね。特に日本製のものがいいそうです。
★お店情報★
店名:Shapla神田店
ジャンル:アジアンフード
電話番号:03-6273-9343
住所:千代田区鍛冶町2-7-6 2F
【written by 松澤友子(まつざわ・ともこ)】旅行と食べることが好きで、色々な国で現地の料理を食べてきました。危険を顧みずに様々な料理に挑戦し、痛い
目に遭ったことも数知れず...。それでも、未知なる味を求めて、食への探求心が尽きることはありません。
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水の都ヴェネツィア。観光地として世界的に人気のこの街は、かつてヴェネツィア共和国として栄え、街全体が世界遺産に登録されています。そして、18世紀のこの街に、あらゆる女性を虜にした男がいました。彼の名はジャコモ・カサノバ。その華々しい女性遍歴故に、彼を題材とした書籍や映画が多数制作されてきましたが、最も記憶に新しいのは、故ヒース・レジャー主演の映画「カサノバ」でしょう。この作品では、カサノバの華やかな生活に加えて、18世紀当時のヴェネツィアの様子が活き活きと描かれています。
そんなヴェネツィアの郷土料理を楽しめるのが、「ダンドロダンドロ」です。こちらのお店では、豊富な魚介類を始めとして、ヴェネツィア独特の手打ちパスタ"ビーゴリ"も楽しめます。"ビーゴリ"とは、ヴェネツィア地方の方言で"太めのスパゲッティ"という意味で、スパゲッティというよりも、若干うどんに近いような食感です。
食を愛し、明るい人々が暮らすヴェネツィア地方の料理を提供しているだけあり、お店の方はとてもフレンドリーです。お料理の説明も、一つ一つ丁寧にしてくださり、パスタなどをシェアする際は、一人ずつ別のお皿に分けてサーブしてくれます。ワインのメニューも豊富で、ヴェネト州のものも数多く揃っていました。
お店の雰囲気は、アットホームで活気があり、仲間とワイワイ食事を楽しむのがお勧め。5名以上から予約が可能なパーティメニューや、飲み放題プランなどもありますよ。気さくでサービス精神旺盛な店長さんとの会話も楽しめます。
ヴェネツィアに行ったことがある方も、そうでない方も、ぜひ一度足を運んでみてはいかがですか?
★お店情報★
店名:ダンドロダンドロ
ジャンル:洋食
電話番号:03-5942-4790
住所:中央区日本橋本町4-3-14日本橋ふじみビルディング 1F/B1
交通手段:JR 新日本橋駅 徒歩1分/ 地下鉄 三越前駅 徒歩3分
営業時間:ランチ 11:30~14:30(L.O.14:00)/ ディナー 17:30~22:30(L.O.21:30)
定休日:日・祝