Know your neighbours ~もってる人に聞け!~

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第3回:アンテナを張り巡らすための道具・雑誌のことが分かる
『再起動(リブート)せよと雑誌は言う』

2012年03月09日

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『Know your neighbours ~もってる人に聞け!~』は、映像翻訳者や映像翻訳を学ぶ人たちの
翻訳にまつわる【ギモン】に対し、資料を紹介しながら【こたえ】を提案するコラムです。さて、今回は...。
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★【ギモン】知識を広げるために雑誌を読みたいのですが、
                     どれを手に取ればいいのか分かりません
 

「翻訳者は普段からアンテナを高くして、いろいろな情報をチェックすることが大事だ」と聞きました。翻訳者の先輩たちに聞くと、かつては雑誌が情報を入手する重要な情報源だったとか。今でも何誌か必ずチェックしているものがあり、さまざまな知識を身につけているという話でした。
それを聞いてハッとしました。私はテレビやネットはかなり見ているつもりですが、ここしばらく雑誌をあまり読んでいません。そこで、先輩たちに倣って書店で雑誌をチェックしようとしたのですが、改めて見るとどれを読んだらいいのか分かりませんでした。こんなとき、雑誌を選ぶガイドになるようなものがあったらなあ...と思っているのですが、そんな都合のよい資料はあるでしょうか?

★【こたえ】『再起動せよと雑誌は言う』で
                     雑誌ワールドの楽しさを再確認しましょう★


書店に行くとたくさんの雑誌が置いてありますが、細かくチェックするには時間もかかりますし、どうしても自分の興味があるものばかりを見てしまいがちです。漠然と「雑誌から情報を仕入れたい」と思っても、書店をぐるぐる回るばかりでは効率も悪いですね。
そんなときに役立つのが『再起動(リブート)せよと雑誌は言う』(仲俣暁生・著/京阪神Lマガジン社)です。この本は『BRUTUS』や『文藝春秋』のような広くよく知られている雑誌から、ミニコミ誌、フリーペーパー、『鉄道ファン』のように趣味について深く語るものまで38誌を網羅した、改めて雑誌の面白さを教えてくれるコラム集です。
紹介している雑誌の中にはタイトルぐらいは知っているというものや、タイトルすら初めて聞いたという雑誌も出てくるかもしれません。例えば、音楽誌『rockin' on』はご存知でしょうか?洋楽好きの間では老舗とも言える雑誌ですが、『再起動せよと雑誌は言う』の中では、『rockin' on』誌の成り立ちから、『rockin' on』のみならず、出版社であるロッキング・オン社に流れる「ロック」という思想、そして、ここから独立して雑誌を立ち上げた編集者たちを例に挙げながら、彼らがビジネス感覚も持ち合わせていることまでを語っています。単なる内容紹介にとどまらない、編集者として雑誌に携わってきた著者の愛情が感じられるコラムは、読んでいて高揚感すら覚えます。
また、この本では各コラムの最後に「LINKS」というコーナーがあり、類似の雑誌も紹介しています。ですから、1つの雑誌からさらに別の雑誌へと知識の枠を広げることができ、その点でもお勧めの1冊です。
雑誌の良さは、「興味がなかったことに興味を持つ機会を得られる」ことだと思います。たまたま見た記事がきっかけで、今まで知ることのなかったものに興味を持ち、知識のフィールドを広げる。ネットでは、自分が求めている情報を調べることに偏りがちですが、雑誌にはそんな、偶然から知る楽しさがあります。みなさんも『再起動せよと雑誌は言う』を片手に、雑誌の面白さを再確認してみませんか。

◆今回紹介した本◆
再起動せよと雑誌は言う.JPG




『再起動(リブート)せよと雑誌は言う』
著者:仲俣暁生
発行:京阪神Lマガジン社
価格:1300円
★雑誌『Meets Regional』連載していた「リブーティング・ペーパー・メディア」などをまとめた本。東京・大阪では著者によるトークライブも行われた。




※翻訳にまつわる、皆さんからの【ギモン】もお待ちしております。
chewing_over@jvtacademy.comまでどうぞ!

第2回:イラストで関西弁を解説!『かんさい絵ことば辞典』
2012年02月10日

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『Know your neighbours ~もってる人に聞け!~』は、映像翻訳者や映像翻訳を学ぶ人たちの
翻訳にまつわる【ギモン】に対し、資料を紹介しながら【こたえ】を提案するコラムです。さて、今回は...。
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★【ギモン】日英翻訳にも役立つ、日本の方言を知る資料はありますか?  

私は日英翻訳の勉強をしています。日英翻訳では英語力はもちろんですが、日本で作られたコンテンツを知ることも非常に重要だと聞き、映画やマンガなどできるだけいろいろなものを見るよう心がけています。そんな中で気がついたのは、映画にしてもマンガにしても、登場人物が舞台となっている地域の方言で話す作品が多いということでした。
今、一番ポピュラーな方言と言えば関西弁だと思いますが、実はテレビを見ていても意味がよく分からない言葉もあります。日英翻訳者を目指すものとして、まずは普段よく耳にする関西弁から方言に親しんでおきたいのですが、何かお勧めはありますか?

★【こたえ】楽しくてためになる、『かんさい絵ことば辞典』で基礎作りを★

方言は、地元の人にとってはいわゆる「標準語」では表現しきれない気持ちを込めることができる便利な言葉です。でも、他の地域の人には、時に「通訳」が必要な場合もあるかもしれません。たとえば、関西弁ならこんな言葉はご存知ですか?

あかんたれ(用例:「ジェットコースターに乗られへんとは、あかんたれやなあ」) 

いちびり(用例:「いちびってんと、ちゃんとしなさい」)

ウェブで検索すると、書籍やサイトの「方言辞典」のようなものがたくさんヒットしますが、関西弁を知るなら『かんさい絵ことば辞典』(ニシワキタダシ・著 コラム:早川卓馬/ピエ・ブックス)がお勧めです。この本はタイトルどおり、関西で使われている言葉をまとめたもの。しかし、言葉の意味は文章ではなく、イラストで説明されています。
上で挙げていた「あかんたれ」は「意気地なし」という意味で、「いちびり」は「お調子者」を指す言葉ですが、「あかんたれ」には「二階建てバス~?高所恐怖症やけど大丈夫かな~?」と心配顔のパンダ、「いちびり」は調子に乗ってふざけるクマが描かれています。このように、どれも一風変わったシチュエーションではありますが、ゆるくてかわいいイラストがそれぞれの言葉のニュアンスを教えてくれます。方言は標準語にそのまま置き換えられないことも多いので、この本のようなスタイルのほうが分かりやすそうです。そういえば、英英辞書も子供や初級者向けのものはイラストで意味を示していますね。考え方としてはそれと同じでしょう。
当校で日英コースの講師も務める、日英映像翻訳者のデビット・ニストさんによれば、「今まで翻訳した作品の中で、標準語しか出てこないものはなかった」そうです。確かに、映画を見てもテレビを見ても、方言に限らず、その時々の流行語のように辞書にない言葉は当たり前のように出てきます。ですから、普段から広く「言葉」に興味を持ち、『かんさい絵ことば辞典』のような本を読むなどして、いろいろな人の言葉を理解できる基礎を作っておくようにしましょう。

◆今回紹介した本◆
絵ことば.jpg






『かんさい絵ことば辞典』
著者:ニシワキタダシ(コラム:早川卓馬)
発行:ピエ・ブックス
価格:950円
★関西のことが分かるコラムや「かんさいなんでも相談室」など読み物も充実。言葉だけでなく、人や土地についても楽しく知識を深めることができる。


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第1回:語彙を増やすには辞書を読め!?
                    『広辞苑の中の掘り出し日本語』

2012年01月20日

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★【ギモン】言葉に関する知識を深めたいのです  

あるクイズ番組で、「『生き様』のように、『生き××』で始まる言葉を答えなさい」という問題がありました。「生き」で始まる言葉といえば、「生き神」「生き甲斐」などいろいろありますが、最初に思い浮かんだのは、一生を急いで終えようとするかのように生きる人を表す「生き急ぐ」でした。私にとっては馴染みのある言葉でしたが、一緒にテレビを見ていた父は「それは造語だ」と言うのです。翻訳者としては聞き捨てならない話だったので、『広辞苑』を引いたところ、確かにそう書いてありました。こういう言葉に関する知識を深めたいのですが、何かいい資料はありますか?

★【こたえ】『広辞苑の中の掘り出し日本語』で生き生きとした知識を★

言葉についての知識なら、まず辞書を読みなさい!というのは、乱暴すぎる回答かもしれません。でも、実際に『広辞苑』を読み、その中から著者が気になった言葉を拾い、感じたことをまとめた本があります。それが『広辞苑の中の掘り出し日本語』(永江朗・著/バジリコ)です。
今回の【ギモン】にあった「生き急ぐ」もこの本に取り上げられていて、おっしゃるとおり造語でした。先に「死に急ぐ」という言葉があり、これをもじったのが「生き急ぐ」なのだそうです。最初は、もじって使うことがカッコよかったのかもしれませんが、今ではそれがあまり知られておらず、著者の永江さんは「ギャグがスルーされてしまったみたいで、ちょっと哀しくもある」と書いています。確かに、芸人さんのそんな様子を思い浮かべると哀しく、切ない気持ちになりますね。
ほかにも『広辞苑の中の掘り出し日本語』には、「奥歯に剣(つるぎ)」、「盗汗(とうかん)」といった耳慣れないものから、「おっとりがたな」「かたわらいたい」のように勘違いされることの多い表現まで、さまざまな言葉が五十音順に掲載されています。単に言葉の意味を知るだけでなく、永江さんのコラムと合わせて読むことで、生き生きとした知識が得られるはずです。
ところで、「生き急ぐ」を造語と知った今、皆さんは翻訳原稿にこの言葉を使いますか?それとも使うのをやめますか?私なら「使う」を選択します。そしてもし、ツッコまれることがあれば、こう言うでしょう。「大丈夫です。『広辞苑』に載ってましたから」。

◆今回紹介した本◆
 広辞苑.JPG







『広辞苑の中の掘り出し日本語』
著者:永江朗
発行:バジリコ
価格:1260円


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