明けの明星が輝く空に

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第25回:仮面ライダーが生まれて40年!
2012年02月03日

【written by 田近裕志(たぢか・ひろし)】子供の頃から「ウルトラセブン」などの特撮もの・ヒーローものをこよなく愛す。スポーツ番組の翻訳ディレクターを務める今も、初期衝動を忘れず、制作者目線で考察を深めている。
【最近の私】ダルビッシュが海を渡る。楽しみはイチローとの対決だ。ここ数年、MLB情報番組に携わってきたが、今年は久々に盛り上がる予感がする。
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横浜で開催中の、「仮面ライダー40年の軌跡展」(2月12日まで)に足を運んだ。僕も歳を取るはずだ。『仮面ライダー』の放映が始まってから、実に40年もの月日が流れたのだ。

横浜情報文化センター8階の放送ライブラリーに行くと、等身大の1号ライダーが迎えてくれる。子供を連れたお父さんたちは、さっそく記念撮影に忙しい。グッズを売っている一角を抜け、展示物のあるスペースへ。放映された順番に、ライダーシリーズ各作品の説明や写真パネル、原作者である石ノ森章太郎氏のラフスケッチなどが飾られている。

まずは「昭和ライダーの世界」。1号ライダーのコーナーには、古文書でも展示するかのような大きなガラスケースが置いてある。入っていたのは、石ノ森氏が描いたマンガ版『仮面ライダー』の複製原稿だった。(マンガよりテレビ放映の方が先なので、厳密に言うと原作ではない)僕も子供のころ、講談社のカラーコミックス版「怪奇くも男の巻」を買った。捨てないでおいたそれを見ると、160ページ弱のボリュームがあって、ライダーや怪人たちのカラーグラビア付き。それで定価150円。安い!というか、本当に40年たったんだなあ・・・と実感。

展示会場に戻ろう。1号ライダーから2号ライダー、Ⅴ3のコーナーを過ぎ、シリーズ3作目『仮面ライダーⅩ』の展示スペースへ。そこには、思わず「マジですか!?」と言いたくなるようなものがあった。それは、石ノ森氏によるライダーのラフスケッチ。モチーフは、なんとカタツムリだ。渦を巻いたヘルメットに、カタツムリのような皮膚。これはさすがに気持悪いぞ。この案は幸いなことに(?)採用されなかった。1号・2号ライダーは脚力が強いバッタがモチーフだ。だからこそ、"ライダーキック"という必殺技が生まれた。このカタツムリライダーの場合は?全身からネバネバの粘液を噴出させ・・・、あとは皆さんの想像にお任せしましょう。

今回、もうひとつ驚かされたのが、映画『仮面ライダーJ』。僕は見ていないので知らなかったが、このライダーは巨大化するのだ。これには石ノ森氏だけでなく、スタッフの間からも反対の声が上がったらしい。それはそうだろう。巨大化するヒーローでは、ウルトラマンと同じになってしまう。結局、"大自然のパワーが可能にした奇跡"ということで、石ノ森氏も納得したということだ。でもさすがに、ウルトラマンのように空を飛ばせたりはしてないんだよね?

さらに順路を進んで「平成ライダーの世界」へ。ここからは、僕もほとんど見たことがない作品ばかりだ。時期的には石ノ森氏が亡くなって以降の作品群で、より自由な発想で生まれたライダー達が登場する。中には、クワガタやカブトムシがモチーフの正統派もいるが、鬼やトランプカード、電車なんてものがモチーフの異端児まで。シリーズ最新作の『仮面ライダーフォーゼ』の場合はロケットだ。この自由な発想こそ、平成ライダーシリーズの魅力なのかも。

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展示会場も最後の一角へ。78名のクリエーターによるイラストが展示された「My仮面ライダー」のコーナーだ。藤子不二雄Ⓐ、ちばてつや、やなせたかしなど、おなじみのマンガ家などの名前が並んでいる。"忍者ハットリ君とライダー"、"アンパンマンとライダー"など、豪華な夢の共演が実現!中には、あの"こいけさん"さんが、疾走するサイクロン号の後ろに乗ってラーメンを食べようとしている、なんて楽しげなものもあった。僕のお気に入りは、ほのぼのとしたタッチで、20体以上の初期の怪人を三頭身で描いたイラスト。作者は、特撮モノに造詣の深い漫画家、唐沢なをき氏。このポストカードがあったら絶対欲しい!と思っていたら、お土産コーナーにそれが載った展示会の記念冊子があった。お値段は2000円。でも、多分他では手に入らない。迷ったけれど、そのイラスト欲しさに買っちゃいましたよ・・・。