【予告編コラム】今年最大の期待作!韓国クライム・サスペンス『哀しき獣』の予告編
2012年01月20日
【written by 鈴木純一(すずき・じゅんいち)】映画を心の糧にして生きている男。『バタリアン』や『ターミネーター』などホラーやアクションが好きだが、『ローマの休日』も好き。【最近の私】2011年のマイベスト映画は『宇宙人ポール』でした。今年も面白い映画にたくさん出会いたいです。
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以前、当コラムで「日本で韓流映画が1つのジャンルとして定着した」と書いたことがある。僕も気になった韓国映画は観るようにしているが、チャン・グンソク主演の甘いお菓子のようなラブコメ『きみはペット』より、『チェイサー』のような、お腹にたまる焼肉のような重厚なサスペンスのほうが好みである。
今回は、その『チェイサー』で息詰まるサスペンスと絶望的な展開で観る者の度胆を抜いたナ・ホンジン監督の最新作、『哀しき獣』の予告編を紹介したい。
予告編はまず「韓国映画史上初!ハリウッドメジャースタジオが出資。ハリウッド・リメイク決定!」のテロップから始まる。『チェイサー』も日本公開時には「レオナルド・ディカプリオ主演でリメイク!」と宣伝されていたが、その後リメイクについての続報は聞かない。まあ、観たければオリジナルを観ればいいってことです。
そして「その日、男は韓国ソウルへと旅立った。1つは、消息を絶った家族のため」のナレーション。ソウルに向かう男、主役のグナムを演じるのは『チェイサー』で連続殺人犯を演じたハ・ジョンウだ。
グナムは中国にある朝鮮族自治州に住んでいる。家族に去られ、借金に苦しむグナムは、ある仕事の話を聞かされる。その仕事とは韓国である男を殺すこと。成功すれば、借金は帳消しになる。グナムは殺人を実行するべく、韓国へ向かうのだった。殺人を持ちかける男ミョンを演じるのは、『チェイサー』で殺人犯を追う元警官を演じたキム・ヨンスクである。
さて、韓国に渡ったグナムは標的を殺そうとするが、標的の男はグナムの目前で、ビルの上階から車のボンネットに落ち、命を落とす。人間がボンネットに落ちるというショッキングな映像は『インファナル・アフェア』でもありましたが、サスペンス映画のスタンダードになっているようです。
ここから予告編は、殺人の罪を着せられたグナムの逃避行を描く。『チェイサー』でも殺人犯とそれを追う警官の走るシーンが展開されたが、『哀しき獣』ではグナムを追う警官のクラッシュするパトカーの数が大幅に増えるなど、作品の規模はパワーアップ。
逃げるグナムを、ミョンは「俺の手からは逃げられない」と手下を使って追い詰めようとする。ミョンの手下たちの中には手に斧を持った者も。韓国映画で斧や金槌などの凶器が出てくると、容赦ない暴力的なシーンが出てくる可能性が濃厚。『哀しき獣』でも痛そうな場面が出てくるかもしれません。
自らトラックを運転し、逃げようとするグナム。それを追いかけるミョン。トラックを使ったアクション映画といえば『ターミネーター』『マッドマックス2』などを思い出させる。
「どうせ死ぬ。だが死ぬ前に、いったい誰が仕組んだのか突き止めたい」
グナムは絶望の闇から抜け出すことができるのか?それを打ち消すかのように、「この闇には、一縷の光さえ届かない」というナレーションで予告編は終わる。
重い、あまりにも重いですねえ。でも観たくなったでしょ?早速これから観に行ってきます!
今回注目した予告編
★『哀しき獣』
監督:ナ・ホンジン
出演:ハ・ジョンウ、キム・ユンソクト
1月7日より絶賛公開中
公式サイト:http://kanashiki-kemono.com/