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【悪役を語るコラム】クレイジーだけど頭が切れるデニス・ホッパーin『スピード』
2012年03月02日

【written by 鈴木純一(すずき・じゅんいち)】映画を心の糧にして生きている男。『バタリアン』や『ターミネーター』などホラーやアクションが好きだが、『ローマの休日』も好き。
【最近の私】Coming soon...
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2010年にこの世を去ったデニス・ホッパーは、さまざまな映画で悪党を演じてきた。『ブルー・ベルベット』での変質者や、ゾンビ映画『ランド・オブ・ザ・デッド』の大富豪、それから、『スーパーマリオ/魔界帝国の女神』のクッパもありましたね...。そんなホッパーが悪役として登場する映画から、今回は『スピード』を紹介したい。.
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デニス・ホッパー演じる爆破魔ハワードは、ロサンゼルス市内を走るバスに爆弾を仕掛ける。その爆弾は、走っているバスの速度が時速50マイル(約80キロ)以下になると自動的に爆発するという特殊なもの。こうした行動に出たのは、バスの乗客を人質にして警察から身代金を取るためだった。そこで、ロス市警のジャック(キアヌ・リーヴス)がこのバスに乗り込み、事態を収束させようとする。しかしハワードは、警察が爆弾を解除して安心したスキに別の爆弾を仕掛けたり、警官たちをおびきよせて爆弾で吹き飛ばしたりと、情け容赦のない悪行を連発。さらに、警察の手を読んで追跡を巧みにかわすなど、観る者をかなりイライラさせてくれます。警察はハワードのことを「クレイジーだが愚かではない」と言うが、まさにその通り。異常だが狡猾な悪党だ。しかし爆弾を作る技術があれば、犯罪などしなくても他に仕事があるだろうと思ってしまうのだが、それを言ってはおしまいか。.
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映画の悪党は非情であればあるほど魅力的だが、僕は悪党の最期には壮絶さも必要だと思っている。本作のホッパー演ずるハワードの最期は、壮絶だが悲惨でもあります。『スピード』はさまざまなスリルを盛り込み、観客を飽きさせないサスペンス・アクション映画に仕上がっている。まだ観たことのない人には、オススメの作品だ。.
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ちなみに、『スピード』が公開される20年前に製作された日本の映画に『新幹線大爆破』がある。新幹線に爆弾が仕掛けられて、速度が時速80キロ以下になると爆発する・・・という物語で、『スピード』の元ネタと言われている。爆弾を仕掛けた「爆破魔」には高倉健が扮していた。こちらもホッパー並みの狂気をはらんだキャラクターだった。.
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しかし『スピード』を観直すたびに残念に思うのは、もう新作映画でホッパーが悪党を演じる姿をスクリーンで観られないこと。もっと僕たちをドキドキ、イライラさせてほしかった。合掌。