【悪役を語るコラム】悪の電光石火!ジェット・リー in『リーサル・ウェポン4』
2012年04月20日
【written by 鈴木純一(すずき・じゅんいち)】映画を心の糧にして生きている男。『バタリアン』や『ターミネーター』などホラーやアクションが好きだが、『ローマの休日』も好き。【最近の私】『アーティスト』『ヘルプ』『捜査官X』など、映画館で観たい作品がたくさん上映 されています。さらに自宅で録画している映画もあり、毎日が映画の日です。
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「ハア!ハッハッ!」の掛け声と共に、映画『少林寺』で颯爽と登場したリー・リンチェイ。映画界に入る前は、リンチェイは武術大会で優勝した経験があり、"中国の至宝"と呼ばれていた。今回は、リンチェイが名前をジェット・リーと改めて出演した、ハリウッド映画デビュー作『リーサル・ウェポン4』での悪役ぶりを紹介したい。
『リーサル・ウェポン4』でマーティン(メル・ギブソン)と相棒のロジャー(ダニー・グローバー)の2人の刑事が追うのは中国人の犯罪組織。ジェットはその組織の殺し屋クーだ。マーティンとロジャーが中国人たちを取り調べている時、ジェットはアメリカ人の刑事たちに「ここが香港だったら、お前らはとっくに死んでるぞ!」とつぶやく。
そして中盤、ジェットがマーティンとロジャーと戦う場面。ここは本作で一番の見どころです。ジェットが得意の武術を使い、電光石火の速さでマーティンとロジャーを倒します。しかも素手で2人が持つ銃を解体するという器用さ。元特殊部隊のマーティンも全く歯が立たず、あっけなく気を失ってしまう。拳や蹴りを流れるように繰り出す姿は、さすが中国の至宝。「とっくに死んでるぞ!」と言うだけはあります。
ジェットは童顔で優しい顔立ちをしているが、冷酷に邪魔者を殺していく姿は、この映画で存在感を光らせている。しかも銃弾をサッとよける『マトリックス』のような超人的な動きも見せます。リーサル・ウェポン(最終兵器)とは、ジェットのことですね。
そんな無敵のジェットだが、最後はマーティンとロジャーに負けてしまう。初めて本作を観た時は「ジェットが、たった2人の刑事にやられるかよ!...でもこれはハリウッド映画だし、しかたないか」と、ため息が出ました。しかし、ずっと正義の味方を演じてきたジェットが初の悪役に挑んでいるのは一見の価値あり。そしてこの映画をきっかけにジェットがハリウッドに進出したので、その点において『リーサル・ウェポン4』は重要な作品かもしれない。