【予告編コラム・スペシャル版】タランティーノ監督の新作は、マカロニ特盛りウェスタン!『ジャンゴ 繋がれざる者』
2013年02月22日
【written by 鈴木純一(すずき・じゅんいち)】映画を心の糧にして生きている男。『バタリアン』や『ターミネーター』などホラーやアクションが好きだが、『ローマの休日』も好き。【最近の私】3月に、伝説の映画会社トロマの上映企画"トロマの逆襲2013"が開催されます。しかも第1弾は『悪魔の毒々モンスター』が上映!これは行かなければなりません。
--------------------------------------------------------------------------------------

『ジャンゴ』はタランティーノにとって初の西部劇。この映画の元ネタは、1960年代にイタリアで大量に製作されたマカロニ・ウェスタンの1本、『続・荒野の用心棒』の主人公ジャンゴだ。ジャンゴという名の男は、他にも『情無用のジャンゴ』『復讐のガンマン・ジャンゴ』など、数々のマカロニ・ウェスタンに登場する。邦画では『スキヤキ・ウェスタン ジャンゴ』という作品があり、タランティーノが特別出演していた。そして今回、タランティーノはついに監督として自らのジャンゴ像を描くことになったのだ。
『ジャンゴ』は『続・荒野の用心棒』の「ジャンゴ~!」という主題歌で幕を開ける。舞台は南北戦争が始まる直前のアメリカ南部。黒人が奴隷として扱われていた時代だ。奴隷のジャンゴ(ジェイミー・フォックス)は、ドイツから来た賞金稼ぎのシュルツ(クリストフ・ヴァルツ)と出会ったことで自由を手に入れ、シュルツの相棒となる。シュルツ役のクリストフはタランティーノの前作『イングロリアス・バスターズ』でユダヤ人を狩るナチスの大佐に扮していた。その彼を本作では黒人を救うキャラクターを演じさせているのは、面白いキャスティングだ。
賞金稼ぎとなったジャンゴは1つの目的を果たすことを決意する。それは、白人に奪われた妻ブルームヒルダ(ケリー・ワシントン)の奪還。ブルームヒルダは、農園主キャンディ(レオナルド・ディカプリオ)の奴隷となっている。キャンディは黒人同士を徹底的に戦わせ、その様子を見て楽しむ残忍な男だ。シュルツとジャンゴは、そんな彼からブルームヒルダを取り戻すために、ある計画を実行する...。
この作品には、新旧のジャンゴが共演している。なんと『続・荒野の用心棒』で元祖ジャンゴを演じたフランコ・ネロが出演しているのだ。この中でフランコはジェイミーのジャンゴに「お前の名前は?」と聞く。「ジャンゴだ。スペルはDJANGO。Dは発音しない」と答えるジャンゴに、「知ってる」と返すフランコ。映画ファンをニヤリとさせる場面だ。ちなみに、このシーンでフランコは両手に手袋をはめている。『続・荒野の用心棒』のジャンゴが両手を潰されていたので、それを隠すために手袋をさせていたのかもしれない、とは深読みしすぎか。
予告編では、激しい銃の撃ち合いが印象的な『ジャンゴ』だが、本編の銃撃戦のシーンはそれほど多くはない。むしろ、アメリカの奴隷制度の悲惨さをじっくりと描いている。前作『イングロリアス・バスターズ』はユダヤ人がナチスに復讐をするストーリーだったが、今回もタランティーノは「虐げられた者たちの物語」をテーマにした。そして終盤、ジャンゴは銃を抜き、自分たちを抑圧してきた白人を、撃って撃って撃ちまくる!悪党の白人どもは大量の血しぶきを吹き出しながら、バタバタと倒れていく。深刻さを前面に出すのではなく、あくまでもエンターテインメントを追求するのがタランティーノ流。このカタルシスと小気味よさは、もはや快感です。
タランティーノが映画への愛情を注ぎこんだマカロニ特盛り、撮りに撮った2時間45分のウェスタン大作!でも決して長さは感じません。ジャンゴの復讐劇の結末は、ぜひ映画館でどうぞ。ジャンゴ~!
『ジャンゴ』は『続・荒野の用心棒』の「ジャンゴ~!」という主題歌で幕を開ける。舞台は南北戦争が始まる直前のアメリカ南部。黒人が奴隷として扱われていた時代だ。奴隷のジャンゴ(ジェイミー・フォックス)は、ドイツから来た賞金稼ぎのシュルツ(クリストフ・ヴァルツ)と出会ったことで自由を手に入れ、シュルツの相棒となる。シュルツ役のクリストフはタランティーノの前作『イングロリアス・バスターズ』でユダヤ人を狩るナチスの大佐に扮していた。その彼を本作では黒人を救うキャラクターを演じさせているのは、面白いキャスティングだ。
賞金稼ぎとなったジャンゴは1つの目的を果たすことを決意する。それは、白人に奪われた妻ブルームヒルダ(ケリー・ワシントン)の奪還。ブルームヒルダは、農園主キャンディ(レオナルド・ディカプリオ)の奴隷となっている。キャンディは黒人同士を徹底的に戦わせ、その様子を見て楽しむ残忍な男だ。シュルツとジャンゴは、そんな彼からブルームヒルダを取り戻すために、ある計画を実行する...。
この作品には、新旧のジャンゴが共演している。なんと『続・荒野の用心棒』で元祖ジャンゴを演じたフランコ・ネロが出演しているのだ。この中でフランコはジェイミーのジャンゴに「お前の名前は?」と聞く。「ジャンゴだ。スペルはDJANGO。Dは発音しない」と答えるジャンゴに、「知ってる」と返すフランコ。映画ファンをニヤリとさせる場面だ。ちなみに、このシーンでフランコは両手に手袋をはめている。『続・荒野の用心棒』のジャンゴが両手を潰されていたので、それを隠すために手袋をさせていたのかもしれない、とは深読みしすぎか。
予告編では、激しい銃の撃ち合いが印象的な『ジャンゴ』だが、本編の銃撃戦のシーンはそれほど多くはない。むしろ、アメリカの奴隷制度の悲惨さをじっくりと描いている。前作『イングロリアス・バスターズ』はユダヤ人がナチスに復讐をするストーリーだったが、今回もタランティーノは「虐げられた者たちの物語」をテーマにした。そして終盤、ジャンゴは銃を抜き、自分たちを抑圧してきた白人を、撃って撃って撃ちまくる!悪党の白人どもは大量の血しぶきを吹き出しながら、バタバタと倒れていく。深刻さを前面に出すのではなく、あくまでもエンターテインメントを追求するのがタランティーノ流。このカタルシスと小気味よさは、もはや快感です。
タランティーノが映画への愛情を注ぎこんだマカロニ特盛り、撮りに撮った2時間45分のウェスタン大作!でも決して長さは感じません。ジャンゴの復讐劇の結末は、ぜひ映画館でどうぞ。ジャンゴ~!