「斉藤コーヒー店」:アイスコーヒーはこだわりの器で
2010年08月20日
【written by きただてかずこ】 子供の頃からお笑いが好きで、オトナになった今もバラエティ番組を見なければ夜も日も明けぬ毎日。ライブにもしばしば足を運び、笑える喜びにどっぷり浸りまくっている。当ブログマガジン「Chewing Over」で「ミクスチャー食堂2」連載中。http://www.jvtacademy.com/blog/co/mixture/
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1979年から80年まで放送されたドラマ『探偵物語』。松田優作演じる、主役の探偵・工藤ちゃんこと工藤俊作はこだわりの多いキャラクターだ。服装はいつもスーツに中折れ帽。移動手段は白のベスパ。好きな酒はドライシェリーのティオペペ。タバコを吸うときにはカルティエのライターを使い、火の大きさは炎といっても過言ではないほどデカい。さらに工藤ちゃんはコーヒーにも並々ならぬこだわりを持っていた。
最終回「ダウンタウン・ブルース」には、柄本明扮する喫茶店のマスターに豆をひいてもらうシーンが出てくる。「いつものね」と言って、マスターが復唱するブレンドはキリマンジャロ2、モカ1、ブルーマウンテン3。これをまるで理科の実験でもするかのように、丁寧にサイフォンで淹れるのが工藤ちゃん流だ。砂糖とミルクは入れない主義で、本来の味を楽しむ。事務所を訪れた人にも、出すのはブラックだけ。ドラマのオープニングでもコーヒーを入れるシーンが出てくるが、ここでは口に含んだ直後に思いっきり吹き出してしまう。もしかしたら、ブレンドの割合をなかなか覚えられないマスターが間違って調合したのかもしれない。
JR神田駅周辺に3店舗を構える斉藤コーヒー店も、そんな工藤ちゃんのこだわりの注文に応えてくれそうな店だ。本店は1948年に創業。当校に来る際に一番立ち寄りやすい日本橋室町店も1961年開店で、長い歴史が神田界隈の人々の要求を満たしてきたことを裏打ちしている。店構えはカフェというより喫茶店と呼ぶのがふさわしい。蝶ネクタイ姿の無口な年配のマスターがいそうな雰囲気だが、切り盛りするは若い女性たち。店では、彼女たちの考案と思しきエコバッグも売っていて、伝統に頼るだけでなく、時代のニーズに応えていこうとする姿勢もうかがえる。
そして、斉藤コーヒー店にも工藤ちゃん並みのこだわりを持った一品がある。それはアイスコーヒーだ。ここではグラスで出すのではなく、最後までひんやりおいしく飲めるよう、銅製のカップを使っている。カップの表面に無数に生まれる独特の水滴が、氷がぶつかり合ったときのカラカラという音と共に涼しさを演出。もちろん味も申し分なく、豆はエスプレッソにも使われる深煎りのフレンチローストを使用。キレのある苦味が特徴で、冷たさと相まって、仕事や家事に、課題にと忙しい受講生の頭をキリッと目覚めさせてくれるはずだ。
ちなみに飲み方は、ブラックでもガムシロップやフレッシュを入れてもOK。工藤ちゃんのように、ブラックしか出さないということはありません。
★お店情報★
店名:斉藤コーヒー店 日本橋室町店
ジャンル:カフェ
電話番号:03-3241-4570
住所:中央区日本橋室町4-1-3 斎藤ビル1階
交通手段:JR神田駅より徒歩3分
営業時間:7:30~18:00
定休日:土曜・日曜・祝日 年末年始