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第39回:笑いと涙でリラックス効果も!?『探偵!ナイトスクープ』の"神"なトコ
2013年06月28日

【written by きただてかずこ】 子供の頃からお笑いが好きで、オトナになった今もバラエティ番組を見なければ夜も日も明けぬ毎日。ライブにもしばしば足を運び、笑える喜びにどっぷり浸りまくっている。
【最近の私】今年もまた1つ年を取りました。だからといって何も変わらないのですが、その「変わらなさ」を受け入れられるようになっていることこそが、年を重ねて変化したことなのかもしれません。...なんだか禅問答のようですが(苦笑)。
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先日、雑誌『TV Bros.』に「『探偵!ナイトスクープ』が今も神回を出し続ける理由」という記事が掲載されました。ご存知の方も多いかもしれませんが、『ナイトスクープ』は1988年に関西ローカルでスタートしたバラエティ番組。視聴者から寄せられた疑問の数々を、レギュラー出演陣である"探偵"たちが調査するという内容で、現在は関西を飛び出し、関東をはじめとするほかの地域でも放送され、全国にファンを生み出している番組です。

『TV Bros.』で"神回"として紹介されたのは、「10年以上口をきいていない父と母」。物心ついてから両親が会話をする姿を見たことがないという投稿者の依頼を受けて、カンニング竹山さんが調査に向かったのですが、調べたところ、2人が話をしない生活は実は23年も続いていました。母が父に話しかけることはあるが、父はそれに一切答えないと言う投稿者。そこでお父さんに理由を聞くと、「子供が生まれ、自分がほったらかしにされていると感じてスネていた」という衝撃の事実が判明しました(笑)。2人が話す機会を作るべく、思い出の公園でのデートをセッティング。長く逡巡した後、ようやく意を決してお父さんが話し出します。その姿は、陰で見守っていた投稿者やその姉たち、竹山探偵、さらにはスタジオで見守っていた人たちや視聴者を涙させ、笑顔にもしたのでした。

この依頼のように、『ナイトスクープ』に寄せられる内容は個人的なものがほとんど。そして、思わず涙してしまうVTRでも、どこかに笑いを含んだ仕上がりになっています。番組の総合演出・ディレクターを務める石田ひろきさんは『TV Bros.』のインタビューで「どんな依頼でも15秒に1回爆笑を狙おうという姿勢を一貫して守り続けている」とコメント。そして、笑いと涙という「とても仲のいい2つの組み合わせを引っ張り出すことを目指している」と話しています。

そういえば、先日放送された、「90歳の母親の『クロールで25メートル泳ぎたい』という夢を応援してほしい(「90歳のスーパーおばあちゃんの水泳」)」という投稿は、ほかの番組なら感動的な打ち出し方をしそうなものですが、「潜水したら2,3日は上がってこないかも」という息子のブラックジョークをそのまま使い、さらには意外と派手な下着が好みとか、今日のためにムダ毛の処理をするよう娘に言われたというエピソードも交えて、この番組らしい見せ方をしていました。そして、何事にも好奇心旺盛なおばあちゃんは、クロールで25メートルという目標をあっさり達成。さらには次の目標だったはずの背泳ぎでも、見事25メートルを泳ぎきっていました。

また、見る人に涙や笑いに包んだ勇気や感動を与える依頼とともに、ほかの番組なら取り上げない内容にもしっかりお応えするのも『ナイトスクープ』の面白いところ。番組はいつも1回を3つの依頼で構成していますが、「90歳のスーパーおばあちゃんの水泳」の回では、どれだけいびきをかこうが、白目をむこうが「眠っていない」と言い張る父を謝らせてほしいという、他の番組なら「知らんがな!」と一蹴しそうな依頼「寝てないと言い張る父」も放送。お父さんのことで苦労した麒麟の田村さんが探偵として向かいましたが、投稿者の父親もかなりタフ。完全に目をつぶり、眠っている自分の映像を見ても頑として認めませんでしたが、その理由を聞くと、「プライドが許さないから」。...このお父さんといい、「10年以上口をきいていない父と母」のお父さんといい、父親というのはなかなか複雑な存在なのかもしれません。

笑いと涙に包み込みながら、世の中の森羅万象を追及する『探偵!ナイトスクープ』。これからも、リラクゼーション要素を感じながら見続けたいと思います。