ミクスチャー食堂2

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第32回:安住係長の本当の「黒さ」と「熱さ」 『安住紳一郎の日曜天国』
2012年06月22日

 【written by きただてかずこ】 子供の頃からお笑いが好きで、オトナになった今もバラエティ番組を見なければ夜も日も明けぬ毎日。ライブにもしばしば足を運び、笑える喜びにどっぷり浸りまくっている。
【最近の私】先日、「しろくまカフェ in ナムコ・ナンジャタウン」に行ってきました。マンガ『しろくまカフェ』にちなんだスイーツや、登場人物のパネルにキャーキャー言っていたのは、私たちチームだけではなくてちょっと安心(苦笑)。コースター2枚をゲットして帰ってきました。
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それは偶然の出会いでした。毎日、飽きもせずにテレビを見まくっていた私が今、とあるラジオ番組にハマり、テレビよりその番組の過去のポッドキャストを聞くことが何よりの楽しみとなっています。その番組とは、『安住紳一郎の日曜天国(略称:にち10...「にちてん」と読みます)』(TBSラジオ)です。

nichiten-1.JPG2005年から続く『にち10』はタイトルからも分かるとおり、メインMCがTBSの安住紳一郎アナウンサー。安住アナと言えば、「好きな男性アナウンサーランキング」では2006年から5年連続でトップとなり、殿堂入りも果たした人気者。言葉遣いや物腰が丁寧な一方、時に見せる涙や「腹黒い」と言われる様子が逆に親近感を抱かせ、年齢・性別を問わず、好感を持っている方も多いと思います。『にち10』はそんな安住アナが毎週日曜・午前10時から2時間、アシスタントの中澤有美子さんと共にさまざまな情報やリスナーからのメッセージを紹介したり、ゲストとトークを繰り広げたりする番組。日曜の朝にピッタリの落ち着いた番組なんだろうなあ...などと思ったアナタ!残念ながら、それは大きな間違いです!!

『にち10』での安住アナは番組冒頭こそ淡々としているものの、自身の興味やこだわりがあることを話し始め、興が乗ってくると一気にギアチェンジ!一人称が「私」から「俺」に変わり、声のトーンも一段上がり、マニアックな知識を交えながらよどむことなく話し出したら、それはトップギアのサイン。私がこの番組を知るきっかけとなった6月3日の放送では、果物の中で特に好きだというさくらんぼについて熱く濃く語っていました。

本当は佐藤錦を始めとする国産さくらんぼを腹いっぱい食べたいのに、「本命の彼女が登場するのを待ちきれず、手ごろな女性で手を打ってしまう工業高校の男子生徒(安住アナ談)」のごとく、まず国産より先にスーパーに出回るアメリカンチェリーで妥協し、つい食べてしまう...。そんな自身の複雑な心境とそれに苦しむつらさ(笑)、さらには近年、アメリカからやってきた新種のさくらんぼ・レーニアの絶妙のタイミングでの日本上陸について約30分語り続け、ツイッターではこの時間のトレンドワードに「アメリカンチェリー」がめでたくランクインしました。

そりゃあそうでしょう。国産さくらんぼへの思いがどれだけ特別かを語るために、日本でのアメリカンチェリーの歴史を引き合いに出し、自身を含む団塊ジュニア世代の人生と重なり合っているという自論を展開。さらに新種・レーニアの登場により、「ずっと国産が好きだったのに、突然レーニアに傾いたらどうしよう...」とマリッジブルーの女性のような心境になっている...と、常人には思いもよらない不安、しかも対象は「さくらんぼ」という話を30分もするわけですから、はっきり言って狂気の沙汰です(笑)。ツイートしたくもなります。でも裏を返せば、その「好きなもの」に対する思いの本物加減やデータマニアっぷり、さらに話の筋立てのうまさは狂気を凌駕するほどの魅力になり、結果として、多くの『にち10』ファンを生みだしているのです。

そしてこの番組はメッセージを投稿したり、プレゼントに応募したりするリスナーの皆さんもほかとは一味違う方が多いようです。歌手のマドンナの名前を歌舞伎のように世襲制だと勘違いしていた方や、設定が間違っていたおかげで本来より低い数値を出していた体脂肪計に対し、「今までいい夢を見させてくれてありがとうございました」と一礼したメタボなお母さんを持つ方など、そのエピソードも面白ければ、話のまとめ方もとても上手。

そんなリスナーの中でひときわ心に残るのが、2009年2月8日の放送に登場した、「口の堅いイシヅカさん」です。この日は番組でお醤油をプレゼントすることになっていたのですが、条件のひとつに「当選した人はもらったことを口外しない」というものがありました。何故こんな条件がついたかというと、このお醤油は利き醤油ができるほどのマニアである安住アナの話を聞き、九州の醤油メーカーの社長さんが安住アナ宛にわざわざ送ってくれたもの。このため、プレゼントにしたことが人づてやネットを通して社長さんの耳に届いては困る、というわけで、「口が堅いこと」が条件に加えられたのです。それを考慮して選ばれたのがイシヅカさんでした。

...が、実際に話してみないと本当に口が堅いかどうかは分からない。というわけで、安住アナは直接イシヅカさんに電話をしたのです。ところが、イシヅカさんの口の堅さを試すつもりが、安住アナが「たいしたもんだ」と舌を巻き、アシスタントの中澤さんも「ステキ!」と叫ぶ展開に!詳細は是非ポッドキャストでご確認ください!

というわけで、日曜日の朝を安住アナの毒と熱で彩る『安住紳一郎の日曜天国』。まずはポッドキャストで身体と耳と心を慣らし、是非、本放送も聞きなされ。

第31回:「バカ言ってる」から始まった壮大なコント
        『水谷千重子 演歌ひとすじ40周年記念リサイタルツアー』

2012年06月01日

【written by きただてかずこ】 子供の頃からお笑いが好きで、オトナになった今もバラエティ番組を見なければ夜も日も明けぬ毎日。ライブにもしばしば足を運び、笑える喜びにどっぷり浸りまくっている。
【最近の私】 前回、当コラムに書いた『コドモ警察』(TBS)。いよいよデカ長こと鈴木福くんの苦み走り具合がサマになり、吉瀬美智子さんとの屋上でのやり取りに笑いが止まらない感じになってきました(笑)。でも、一番気になるのはナベさん。あの落ち着きっぷりにホレボレするばかりです。
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flower_2.jpg先日、『友近プレゼンツ 水谷千重子 演歌ひとすじ40周年記念リサイタルツアー』の東京公演に行ってきました。ご存知の方も多いかと思いますが、「水谷千重子」とは芸人の友近さんが演じる大物演歌歌手のこと。つまり、言ってしまえばこのリサイタルは最初から最後まですべてがコントなわけですが、友近さんは最後の最後まで「友近」としての顔を一切見せず、見る側もいるはずのない水谷千重子の存在や、ありもしないリサイタルをすべて受け入れ、このおかしなイベントを大いに楽しんだのでした。

リサイタルは3部構成で、1部は千重子さんの歌とゲストを交えたトーク、2部は千重子さんが主役のお芝居『ゲノゲの女房』、そして3部は1部とは別のゲストを呼んで再び歌とトークという内容。この構成自体、まさに演歌歌手のリサイタル風なのですが、これを単なるコントに見せず、状況をややこしくしているのが、ちょいちょい「本物」が出演していること。お芝居には、主役の友近さんのほか、森三中の大島さん、バッファロー吾郎・Aさん(この日は「千重子さんと同期の演歌歌手・八公太郎」というキャラでしたが)という芸人さんたちに加えて、舞台の経験が豊富な中村繁之さん、山田まりやさんが共演。それらしい雰囲気に仕上げてくれました。

goods.JPG歌のほうでも本当に長く芸能生活を重ねた歌手の方々がバックアップ。私が見に行った東京公演では、ブラザーコーンさんが登場!千重子さんの長きに渡る歌手活動を祝い、架空の思い出話をし、最後はもちろん千重子さんがカバーしている『Won't Be Long』を2人で歌ったのでした。テレビでもたびたび披露していた、演歌風『Won't Be Long』はこのステージでももちろん健在。本家コーンさんの前でも揺らぐことはありませんでした。ほかにも、冠二郎さん、伍代夏子さん、北原ミレイさん、鳥羽一郎さん、ピーターさん、さらには大阪公演にサプライズゲストとして登場した五木ひろしさんなど、全国各地の公演でさまざまなコント...もとい、思い出話やデュエットを繰り広げているようです。

そして、東京公演で本物っぽさに更なるダメ押しとなっていたのが、お祝いに駆けつけたNON STYLE石田さん。もともと坂本冬美さんやジェロさんなど、本当の演歌歌手の方々とプライベートで交流のある石田さんなので、架空のエピソードトークも自然な流れ。そんなバックグラウンドがある人をわざわざ呼ぶあたり、友近さんの微に入り、細に入りのこだわりが見えるゲストでした。

友近さんは、大阪で『THAT'S ENKA TAINMENT〜ちょっと唄っていいかしら?〜』(朝日放送)という演歌バラエティ番組の司会をしていますが、今回のリサイタルで演歌界のバックアップを受けることができたのも、番組内でのつながりがあったからなのでしょう。このリサイタルでは、歌のゲスト以外にもさまざまな歌手や芸能人の方々が千重子さんとしての友近さんに協力しています。まだツアーが続くので詳細は控えますが、T.M.Revolutionこと西川貴教さんがPVで風にあおられるようになったことには千重子さんの影響があった、といったエピソードも明かされるようです。

flower_1.jpg最後は手のひらに焼き豆腐をのせることや、リマールではなく羽賀研二さんの『ネバーエンディングストーリー』をBGMに使うことでもお馴染みの越後前舞踊を披露し、さらにアンコールにもこたえてお開きとなった『水谷千重子 演歌ひとすじ40周年記念リサイタルツアー』。これほどいろんな人を巻き込んでの大掛かりなコントは、この先、なかなかお目にかかれないでしょう。バカ言ってる千重子さんと、これを実現した友近さんに「ありがとうって伝えたくて」という気分です!(笑)