【written by きただてかずこ】 子供の頃からお笑いが好きで、オトナになった今もバラエティ番組を見なければ夜も日も明けぬ毎日。ライブにもしばしば足を運び、笑える喜びにどっぷり浸りまくっている。当ブログマガジン「Chewing Over」で「ミクスチャー食堂2」連載中。
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クリスマスをテーマにした曲はたくさんあるけれど、個人的に心に残っているのはダウンタウンの松本人志が作詞、相方の浜田雅功と、作曲も手がけた槇原敬之が歌った『チキンライス』だ。2004年に発売されたこの曲は、テレビでの2組の共演がきっかけで生まれたもの。歌詞は松本の子供の頃のエピソードをモチーフにしていたが、切なくも暖かい内容が共感を呼び、当時のオリコンランキングで最高2位を獲得した。
この曲には、決して裕福とは言えなかった幼い頃、たまの家族の外食ではチキンライスぐらいしか頼めなかったという歌詞が出てくる。せっかくの機会だから本当はご馳走が食べたかったはずなのに、子供心に親に気を遣い、また連れてきてもらえる程度の値段のものしか注文できなかった。その気持ちは不憫というより、むしろけなげで、今、もし身近にそういう子供がいたら、両親に代わって好きなものを食べに連れて行ってあげたくなるかもしれない。それがクリスマスならなおのことだ。
そんな店の候補のひとつになりそうなのが、「東レ社員クラブ」というレストラン。名前から想像すると、大手化学メーカー、東レの社員向けという感じがするかもしれないが、どうぞご安心を。誰でも利用することができ、手ごろな値段で洋食を楽しめる。ランチはハンバーグやビーフステーキ、魚のムニエルなど、日替わりメニューで数種類が用意されており、すべてサラダバイキングとコーヒー、デザートにプリンがついて1000円(税込)。何を注文しようか迷ってしまうほど見た目もきれいで味もよく、神田近辺で働く人たちの目と舌を満足させ、人気を集めている。
そして、子供だったら思わず前のめりになりそうなのがプリンだ。バニラやココナツ、パンプキン、抹茶などさまざまな味の中から毎日2種類が出され、サラダ同様、バイキング形式で好きなだけ食べることができる。メイン同様、こちらも日替わりなので、プリン目当てで来る人も多いようだ。
落ち着いた店構えとシックな内装は、親の懐具合を気遣う子供には少し緊張感のある雰囲気かもしれないが、クリスマスならすべて込みでいい思い出になるはず。まさに、特別な日にピッタリのレストランだ。
なお、東レ社員クラブは夜も利用でき、メニューはコースとアラカルト。ランチで味をしめたら、ディナータイムも是非行ってみたい。
★お店情報★
店名:東レ社員クラブ
ジャンル:洋食
電話番号:03-3245-5948
住所:中央区日本橋本石町3-3-16 日本橋室町ビル1F
交通手段:地下鉄銀座線三越前から徒歩4分
営業時間:ランチ 11:45~13:10/ ディナー 17:45~21:45
定休日:なし
【written by 松澤友子(まつざわ・ともこ)】旅行と食べることが好きで、色々な国で現地の料理を食べてきました。危険を顧みずに様々な料理に挑戦し、痛い
目に遭ったことも数知れず...。それでも、未知なる味を求めて、食への探求心が尽きることはありません。
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イギリス人の生活に欠かせないパブ。それだけに、映画の中でも、パブでのシーンがよく描かれています。2007年に公開された映画「ホリデイ」では、イギリス生活の象徴としてパブが登場します。恋人と別れ、傷ついた心を癒すために、小さな村で休暇を過ごすことを決めたアマンダ。彼女はその村で、ジュード・ロウ演じるグラハムと運命的な出会いをします。グラハムと初めて出会うシーンは、彼が友人とパブで飲んだ帰りに、アマンダが滞在する家を訪れた時でした。その後、気まずくなってしまった2人が再会するのも、グラハム行きつけのパブ。パブは2人の出会いに、なくてはならないものでした。
今回ご紹介するのは、そんなイギリスのパブの雰囲気が楽しめる「VICTORIAN PUB THE ROSE & CROWN」です。お店は2フロアーあり、1階はカウンター席、2階はソファー席になっています。平日の夕方、早めの時間でもカウンター席は、「仕事帰りの一杯」を楽しむ人で混み合い、イギリスのパブを彷彿とさせます。パブでの楽しみと言えば、1パイントのビール。こちらのお店では、3/4パイントで提供されるので、色々な種類が楽しむことができます。お勧めは特製ローズビア。お店が「絶対、お勧め!」というROSE & CROWNのハウスビールです。
イギリスのパブには、食事のメニューはほとんどありませんが、ここでは食事も楽しめます。イチオシはイギリス料理の定番ローストビーフ。余計な脂の落ちたジューシーなお肉が、リーズナブルに楽しめます。もう1品、ぜひ試していただきたいのがシェパーズパイです。これはミートソースの上にマッシュポテトをのせてオーブンで焼いた、イギリスの家庭料理。こちらのお店では羊肉が使われていて少しクセがありますが、本場イギリスの味を楽しみたい方にはお勧めです。
たまにはイギリス気分を味わいながら、1日の疲れを癒してみてはいかがですか?
★お店情報★
店名:VICTORIAN PUB THE ROSE & CROWN
ジャンル:居酒屋、バー
電話番号:0120-11-6335/ 03-5209-8150
住所:東京都千代田区鍛冶町2-2-4 パリービル1F~2F
交通手段:JR 神田駅 徒歩1分
営業時間:11:00~23:30(L.O.22:30)
定休日:日・祝・年末年始
【written by 扇原 篤子(おぎはら・あつこ)】人が大好き。大勢人が集まる市場や食堂も大好き。人間臭い魅力に溢れる場所をこれからどんどん紹介していきたいと思っています。"人間ばんざい!"当ブログマガジン「Chewing Over」で「やさしいHAWAI'I」連載中。
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雪を踏みしめサク、サク、サク、サク、「先生!」「おお、蕎麦屋か!」
これは平成13年に亡くなった国民的歌手三波春夫の、歌謡浪曲「俵星玄蕃」の一節。赤穂浪士の討ち入りの夜、そば屋に身をやつした浪士の一人杉野十平次が、討ち入りを助太刀する俵星と雪の中で出会った場面を歌った一節だ。
赤穂浪士が討ち入り前夜、そば屋に集まり一同でそばを食した、という有名な「討ち入りそば」の話は、真偽のほどは定かではない。47人もの赤穂浪士全員が入れるような大きなそば屋は、江戸時代にはなかったとか。どうやら討ち入りの申し合わせの時間にまだ間があったため、お腹をすかした数人がそば屋に立ち寄りそばをすすった、というのが真相のようだ。
日銀通りにある「本陣房」は、本陣房グループの中で9月末にオープンしたばかりの新しいお店。店内に入ると真正面に赤穂浪士四十七士の絵が飾ってあるのは、討ち入り前夜にそばを食べた、という逸話になぞらえているらしい。メニューはと言えば、水戸納豆そば、鴨せいろ、京都聖護院にしんそば、江戸前穴子そばと、いかにもおいしそうな名が並んでいるが、京都九条ねぎおろしそばがお勧めだ。しいたけ、餅、大根おろしなどが入ったそばの上にてんこ盛りの九条ねぎ。温かいそばでも冷たいそばでも作ってもらえる。そばの香りと歯ごたえが実にいい。
そば以外にも、一品料理を数多くそろえ、各地の地酒も用意してある。試しに注文した小あじの唐揚げは、頭からしっぽまでサクサクといただけ、本当に美味しかった。場所は神田駅南口から日銀通りに入り2~3分。一度立ち寄ってみる価値はある。
★お店情報★
店名:日銀通り 本陣房
ジャンル:蕎麦、和食
電話番号:03-5200-1117
住所:中央区日本橋本石町4-5-12 友泉本石町ビル1階
交通手段:JR神田駅南口徒歩2分
営業時間:ランチ 11:30~14:30/ 17:00~22:00 (LO 21:30)
定休日:日曜・祝祭日
【written by 鈴木純一(すずき・じゅんいち)】映画を心の糧にして生きている男。『バタリアン』や『ターミネーター』などホラーやアクションが好きだが、『ローマの休日』も好き。
また、日本映像翻訳アカデミーのサイトでコラム「気ままに映画評」を書いています。
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『ファイティングシェフ ~美食オリンピックへの道』というドキュメンタリー映画を観た。2年に1回開催されるフランス料理のオリンピックといわれる大会、"ポキューズ・ドール"に出場するシェフたちの姿を追った映画だ。シェフたちはアイディアと技術を駆使し、思考錯誤しながら料理を作る。料理をとことんまで追求する過程は、とても興味深かった。
日本橋駅近くにあるフレンチ・ビストロ『キュル・ド・サック』に行ってみた。このお店は夜に2回行ったことがあるが、今回は初めてのランチだ。お店は大通りから少し奥に入ったところにある。"キュル・ド・サック"はフランス語で"路地裏"という意味で、なるほど、名前の通りだ。店に行く小道に"パリまで9727キロ"と書いてある標識が立っている。この標識を目印に行くのが分かりやすい。
ランチのメニューは1つだけ。今日は骨付き若鶏肉のカレークリーム煮に、サラダまたはビシソワーズ、デザートはバナナのシフォンケーキ。カレークリーム煮は、鶏肉が柔らかくて、フォークで骨からほぐせるぐらい煮込まれている。濃厚なカレークリームがライスに染み込んで、まさに美味。ランチは1050円だが、11時30分から12時までに入店すると900円になってお得である。
ランチもよかったが、ディナーの時間に行くのもオススメである。どの料理もおいしくて、ワインがすすんで困るほど。パリまで9727キロと、行くには少し遠いが、フレンチが食べたくなったら日本橋の「キュル・ド・サック」にどうぞ。
★お店情報★
店名:キュル・ド・サック
ジャンル:フレンチ
電話番号:03-6214-3630
住所:東京都中央区日本橋本石町4-4-16
交通手段:JR新日本橋駅より徒歩2分JR神田駅より徒歩3分東京メトロ銀座線・半蔵門線三越前駅より徒歩3分
営業時間:11:30~14:00 17:30~23:30
定休日:土・日・祝日
【written by 香村満理子(こうむら・まりこ)】「おうちごはん」が基本の出不精で、グルメでもメディア通でもないけれど、『神田グルメディア倶楽部』入部を機に食べ歩きに挑戦。美味しいものを食べて見聞を広めようと言う考えは、甘いか辛いか、しょっぱいか?
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JR神田駅東口の駅前。小さなお店が建ち並ぶガード下の一角に、細長い三角形のような形をした洋食屋がある。店内を縦に仕切り、半分が厨房、半分が8席のカウンター席となっている『美味卵家』は、その名の通り、おいしい卵が自慢のオムライス専門店だ。
遠い昔デパートのお好み食堂で、日の丸がはためくオムライスは「お子様」の定番メニューだった。そんなわけで、客はオンナコドモが主流かと思いきや、なんと店内はビジネスマン風の男性ばかり。オンナコドモの類は私ひとりで、いきなりアウェー感に襲われる。テーブルの隅に置かれたかわいいニワトリの置物に若干救われた気分で、厨房を眺めていると、ビジネスマンが多い理由が見えてきた。サービスがそこいらのファーストフード店や立ち食いそば店真っ青の速さなのだ。これなら「約束の時間まであと10分!」なんて場合にも栄養満点のオムライスがいただける。ハンバーガーよりヘルシーな気がするし、うどんや蕎麦より腹持ちがいい。サイドメニューを加えれば、かなりガッツリ食べた感があり、午後の部に向けてスタミナ補給をしておきたい若者のランチにもピッタリだろう。
イチ押しメニューはとろとろ半熟卵とデミグラスソースをたっぷりかけた700円のオムハヤシ。チーズやコロッケ、唐揚げなどのトッピングも追加できる。ケチャップがお好きなかたには千切りキャベツが添えられた昔ながらのオムライスもある。メニューには旬の食材も取り入れられ、季節ごとにバリエーションが楽しめるようだ。
ところでオムライスいえば、伊丹十三監督の映画『タンポポ』を思い出すかたも多いはず。半熟のプレーンオムレツをチキンライスの上に乗せてナイフを入れ、トロトロ&フワフワの卵があふれ出すあのシーンは感動ものだった。実はこのオムライスを作ったレストランは日本橋にあり、今も『タンポポオムライス 伊丹十三風』というメニューを用意している。しかしこちらは一人前2700円。庶民が気軽に食べに行かれる値段ではないのが残念である。
美味卵家では昼間のみテイクアウトも用意され、事前に電話で予約をしておけばアツアツのオムハヤシがアナタを待っていてくれる。美味くて速くて、お手頃価格。メディアにもたびたび取り上げられている美味卵家は間違いなく一見、いや一食の価値ありだ。
★お店情報★
店名:美味卵家(うまたまや)
ジャンル:洋食
電話番号:03-5294-1410
住所:千代田区鍛冶町2-13-24
交通手段:JR神田駅 徒歩0分
営業時間:平日11:00~15:00、 18:00~22:00、 土・祝11:00~15:30
定休日:日曜(月に1回、土日連休)
【written by 樋口孝一(ひぐち・こういち)】最後の晩餐に食べたいモノが、年を取るごとに変わっていきます。昔はグリーンカレー、最近はエノキ炒め。次は何になることやら。
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沖縄へ旅して以来、無性に沖縄料理を食べたくなることがある。久々にその衝動に駆られ、足を運んだのが「やいま」だ。「沖縄料理とインド料理」という謎の組み合わせが気になる...。
ビルの地下に降りる。入口のシーサーや海の写真に気持ちは高ぶる。店に入るとインド人の店員に案内された。早速「沖縄とインド」だ。本格インドカレーも気になるが、まずは泡盛を(笑)、とメニューに目をやると、恐らくここにしかないであろう「泡盛ラッシー」を発見。ヨーグルトの爽やかな酸味が泡盛の風味と調和している。次に、店名の由来となった「八重山」諸島ならではの「八重山かまぼこ」。ムッチリとした歯ごたえで、ピリッとした辛さがあとを引く。さらに「島らっきょう」「スヌイアンダーギー(もずくの天ぷら)」などを堪能し、締めには「ニンニク醤油そば」。八重山風の丸くてフワッとした中太の麺に、ツナと刻みネギ、そしてニンニクの醤油漬けがのった汁なし麺だ。醤油に漬かったニンニクの香ばしさが、ふとある映画を思い出させた。「ニライカナイからの手紙」である。
竹富島の風季(ふうき)は6歳。母が東京へ行くことになり、祖父(おじい)との暮らしを始める。高校卒業後、おじいの反対を押し切り、カメラマンを目指し東京へ行く決心をする。出発の日、顔を合わせようとしないおじいとの別れの挨拶代わりに、いつも食べていた「ニンニク醤油漬け」の作り方をメモして置いていく。仕事がうまくいかずに落ち込んでいた時、おじいから小包が届く。入っていたのは「ニンニク醤油漬け」だけ。無口で不器用なおじいからの「頑張れよ」というメッセージを感じた風季は、心機一転して仕事に取り組む。やがて母について知らなかった事実を知り、失意のなか竹富島へ戻った風季が、おじいと食卓を囲んでふたりでついばむのも「ニンニク醤油漬け」であった。節目節目に登場する「ニンニク醤油漬け」は、大切な人との絆を象徴している。「やいま」の「ニンニク醤油そば」を食べながら、大切な人のことを思ってみてはいかがだろう。
帰りに「サンキューね」と片言の日本語で挨拶された。「沖縄とインド」の組み合わせは謎のまま。次回はカレーも食べて、謎を解明しよう。
★お店情報★
店名:やいま
ジャンル:沖縄料理とインド料理
電話番号:03-3253-3833
住所:東京都千代田区神田紺屋町14千代田寿ビルB1
交通手段:JR神田駅より徒歩5分
営業時間:ランチタイム 11:30-14:00、夜 17:00-23:00
定休日:不定休
【written by おおひらしょうご】食う、飲む、遊ぶがモットーのダメ人間。将来の夢は主婦、もとい主夫。料理好き。
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「万惣」は老舗の高級果物店だ。創業の1846年から、神田・須田町に店を構えている。中2階と、2階にフルーツパーラーがあり、もちろんそこで果物も食べられるのだが、名物はホットケーキだ。お店の人に聞いたら、82,3年前から材料の配分を変えず、同じ味を提供しているという。
紅茶かコーヒーの付いてくるホットケーキセット(\1,150)を注文した。バターとシロップをたっぷりとぬり、ナイフを入れる。生地の外側のサクッとした食感が新鮮だ。シロップはとろりと濃く甘い。あ、甘い......シロップかけ過ぎた。余談だが、お店に行く前日にホットケーキとはどんなものだったか、予習のつもりで「森永のホットケーキ」を作って食べてみた。見た目はそっくりなのに、やはり「万惣」の味は別格。ただ、2日連続は、ちとキツい。
「万惣」のホットケーキと縁の深い人物がいる。「鬼平犯科帳」などを書いた昭和の文豪で、食通としても知られた池波正太郎だ。エッセイ「むかしの味」に、小学校2年生のとき(昭和6年)、離婚した父に初めて「万惣」に連れてきてもらった思い出が書かれている。「果物屋にホットケーキがあるの?」とたずねる正太郎少年に父は「あるどころのさわぎじゃない。万惣のホットケーキは天下一品だ」と答えた。正太郎少年の感想は、「それまで口にした、どこのホットケーキともちがっていた」というのだから、すでに食通の片鱗がうかがえる。小学校を卒業してすぐに働き始めた池波は、週に一度、「万惣」でホットケーキを食べてから、昌平橋の近くにあった「シネマ・パレス」で洋画を観るのを楽しみにしていた。シロップとバターの甘い余韻に浸りながら、スクリーンの向こうのヨーロッパやアメリカに思いをはせていたのだろうか。
晩年、池波は「万惣」でホットケーキやフルーツカクテルを食べるたびに亡くなった父の姿を思い出したという。池波も昭和が終わった翌年に亡くなった。街も人も変わっていくが、昭和の思い出を丸く焼いたような「万惣」のホットケーキの味は、いつまでも変わらない。
★お店情報★
店名:万惣フルーツパーラー
ジャンル:フルーツパーラー
電話番号:03-3254-3711
住所:千代田区神田須田町1-16-1万惣ビルM2F&2F
交通手段:JR神田駅より徒歩5分・地下鉄銀座線神田駅より徒歩2分
営業時間:M2F/11:00~20:00 2F/11:30~20:00
定休日:日曜・祝日・第三月曜
【written by 落合佑介(おちあい・ゆうすけ)】食べることは生きること」がモットー。『神田グルメディア倶楽部』に入部して、食べ歩きを何時間でも続けられる自分を発見した。食への探求心は尽きず、どこかに面白そうな店はないか、と考え日々生きている。
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今年の夏は本当に暑かった。10月になっても20℃を超える日が少なくなかったほどだ。にもかかわらず、コンビニでは9月上旬からおでんが売れていたそうだ。インターネットで調べると、気温が高くても、体感温度が下がればおでんを食べたいと思う人が多くなるらしい。確かに最近、おでんが無償に欲しくなるときがある。
おでんが出てくる映画は数多くあるが、個人的に一番好きなシーンがあるのは邦画「黄泉がえり」だ。九州阿蘇地方のある地域で突然、大勢の死者が蘇った。それも死んだ当時の姿のままで、何事もなかったかのように人々のもとへ帰ってきた。最愛の夫、兄弟、恋人、自殺してしまった同級生。人々は蘇った死者に生前伝えられなかった想いを告げ、共に時間を過ごすが、やがて死者と別れの時がやってくる。大切な人への儚く切ない想いを描いた映画だ。印象的に残ったのは主人公の平太が幼なじみの葵とおでんを食べるシーンだ。二人は「あいつさ、変な奴だったよな」と、居酒屋でおでんをつつきながら、亡くなった親友の思い出を語り合う。演技ではなく、素のようなやり取りが心に残った。心が温まる場面とおでんがマッチして記憶に残ったのだろう。
コンビニのおでんもいいが、どうせならおいしいのを食べたい。そう考えて店を探すと、おでんがメインの居酒屋「ゑ~もん」をみつけた。手作りのおでんが食べられるらしい。「おでん?ちょっとオッサン臭いよね」と入りづらいイメージがあるかもしれないが、今回行った「ゑ~もん」はお洒落な内装で、とても綺麗。個室もあって女性だけの宴会にも使えそうだ。
しかし、何と言ってもこの店の売りはで手作りの練りもの。「ゑ~もん」では注文してから店内で丁寧に焼いてくれるのだ。すり身は水産練り製品が全国一の生産量を誇る塩竈にある工場から運ばれてくる。実際食べてみると、普通のちくわよりもプリプリした食感だ。他にも、いわしのつみれ262円、大根262円、たまご210円、レタス294円を頼んでみた。レタスにはバターがのっている。出汁の味は濃厚すぎないので、いくらでもおでんが食べられそう。面白かったのは仙台麩294円、のりと麩の味が絶妙だった。フワフワした麩なのに意外とボリュームがある。一緒に食べたごはんセット300円のご飯が、おでんの出汁を使って炊いてあるのも嬉しい。チェーン店らしからぬ上品な味で芯から温まった。
★お店情報★
店名:ゑ~もん
ジャンル:おでん
電話番号:03-5298-8166
住所:〒101-0037 千代田区神田西福田町4 神田K-1ビル1F
交通手段:JR神田駅より徒歩4分 JR新日本橋駅より徒歩3分
営業時間:ランチ月~金...11:00~15:00 土...11:30~14:30
ディナー月~木...16:30~23:00 金・祝日前...16:30~翌2:00 土...17:00~23:00
定休日:日曜・祝日
【written by 綾部歩(あやべ・あゆみ)】 趣味は料理。日々お店でおいしいものに出会っては自らのレシピに生かすべくアイディア収集活動中。最近引っ越し、自宅近くの新たなお店開拓を楽しんでいます。
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映画「幸福な食卓」に登場するシュークリームは脇役ながら印象深い。北乃きい演じる主人公、佐和子が兄の彼女の手作りシュークリームを頬張るシーンを観て、シュークリームを買いに走った人もいたはずだ。そんなあなたにぜひ味わってもらいたいシュークリームのお店がある。
日本橋三越新館の三階にある『三越レトロカフェ』だ。ファッションコーナーを抜けた先に、突然現れるこのお店は「レトロカフェ」という名前にふさわしく落ち着いた雰囲気で、ゆったりとした時間が流れているのが魅力。
このお店、実は老舗の洋菓子舗WESTが営んでいる。
そもそも喫茶洋菓子WESTの代名詞といえばドライケーキ(クッキー)だが、実は国内4店舗で生ケーキを味わうことができる。その中でも特に人気を集めているのが、喫茶室限定メニューのハーフシューだ。見た目はコロンと丸い普通のシュークリームだが、フォークを差し込むと、まずさくっとしたシューの音がとても心地よい。中には2層になった生クリームとカスタードが顔をのぞかせる。特にこのカスタード、鮮やかな黄色が食欲をそそるだけではなく、ホームメードのような懐かしい味がする。ふと「幸福な食卓」で佐和子が頬張っていた手作りシュークリームはきっとこんな感じなのではと想像力が刺激される。
うれしいことに、この三越レトロカフェではコーヒー、紅茶がおかわり自由。中でも珍しいライチ紅茶が目を引く。1杯目は甘いハーフシューと一緒に、2杯目は紅茶そのものの香りと味を楽しむ。佐和子のように両手にシュークリームを持って口いっぱい頬張るのもいいが、ゆっくりと味わう大人な楽しみ方もお勧めしたい。
★お店情報★
店名:三越レトロカフェ
ジャンル:喫茶店
電話番号:03-3243-1881
住所:中央区日本橋室町1-4-1 日本橋三越新館3F
交通手段:地下鉄三越前駅より徒歩1分 日本橋駅より徒歩5分 JR新日本橋駅より徒歩7分
営業時間:AM10:00~PM8:00
定休日:日本橋三越休館日に準じる
【written by きただてかずこ】 子供の頃からお笑いが好きで、オトナになった今もバラエティ番組を見なければ夜も日も明けぬ毎日。ライブにもしばしば足を運び、笑える喜びにどっぷり浸りまくっている。当ブログマガジン「Chewing Over」で「ミクスチャー食堂2」連載中。
http://www.jvtacademy.com/blog/co/mixture/-----------------------------------------------------------------------------------------
映画やドラマでフランスパンを食べているシーンというと、きちんとナイフでスライスして味わうより、手でちぎってほおばったり、頭からガブリと食いついたりしていることのほうが多いように思う。昨年、アカデミー賞で外国語映画賞を受賞した『おくりびと』にも、フランスパンを食べる場面が出てくる。本木雅弘が演じる主人公・大悟が妻のいない家で1人、夕食を取るのだが、そこで彼はなんとフランスパンに刺身をのせて食べていた。だいぶ前に、イタリア人の男性は妻が長く留守をしている時、冷凍したトマトソースを解凍せずにそのままパスタにかけてしまう(のせてしまう?)という話を聞いたことがあったが、大悟も妻がいない間は空腹さえ満たされればいいという気持ちだったに違いない。
しかし、JR新日本橋駅に近いベーカリー「ボンクール」のフランスパンは、そんな食べ方をきっと許してくれないだろう。女性を意識し、味にも見た目にもこだわった食事パンや季節のフルーツを使った菓子パンを多く扱うこの店では、フランスパンも丁寧に焼き上げられており、「バゲット」という名で親しまれている。近所の飲食店のスタッフらしき人が買っていく姿を目にすることも多く、過去にはこのパンを使ったサンドウィッチがコンテストで入賞した実績もあるほど。『おくりびと』の大悟のように刺身をのせて食べるなんてもってのほかだ。外はサクサク、中はしっとりとしたフランスパンは、ナイフで厚めにスライスしてじっくり味わいたい。トーストをしてバターを塗っただけでもおいしいし、キュウリやハム、コンビーフなど、好みの食材をのせるのも楽しい。
また、ここではフランスパンを買うと保存袋をつけてくれる。袋には冷凍保存と解凍の方法が書いてあるので、翌日以降も変わらぬサクサク感としっとり感を楽しむことができる。
なお、ボンクールは日本橋の地域ブランド事業展開「日本橋美人
プロジェクト」にも参加している。「身体の中から健康で美しく、伝統を身近に感じることにより培われる教養や品格を持ち、心優しく感性が豊かで真に粋(クール)な"心も身体も美しい" 女性を総称する日本橋の地域ブランド」に合わせて、同じ日本橋にある老舗和菓子店・榮太樓總本舗の餡(あん)を使ったパンや、最近、ヘルシーさで注目されている米粉を使ったパンも販売している。
地元に根ざし、味や見た目だけでなく、健康にも気を配っているボンクール。フランスパンであれ何であれ、雑にかぶりつくのは、やっぱりもったいない。お店の人たちのアイデアやまごころも一緒に、しっかり味わって食べたいものだ。
★お店情報★
店名:ボンクール
ジャンル:ベーカリー
住所:〒103-0022 中央区日本橋室町4-3-12
電話番号:03-5201-3811
交通手段:JR新日本橋駅 徒歩3分
営業時間:平日 7:30AM~8:00PM 土 8:00AM~6:00PM
定休日:日曜・祭日