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第17回:譲り合いの運動「ウエシマ作戦」
2011年04月01日

【written by きただてかずこ】 子供の頃からお笑いが好きで、オトナになった今もバラエティ番組を見なければ夜も日も明けぬ毎日。ライブにもしばしば足を運び、笑える喜びにどっぷり浸りまくっている。
【最近の私】東京は桜の開花宣言が出ました。東北でお花見ができるのは、ゴールデンウィーク頃。その頃には東北新幹線が全線復旧するようです。今年ほど春が待ち遠しい年はありません。
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このたびの東北関東大震災で被災された皆さま、そして被災地に家族や友人など、ご縁のある方を心配する皆さまに心よりお見舞いを申し上げます。私は父の仕事の都合で、東北のいくつかの県で暮らしてきました。新聞などの情報によれば、仙台に住んでいたころに通った小学校は給水所になり、周辺の中学校の多くは避難所になっているようです。また、小学生の時、海水浴に行った近くの海も、中学時代に夏休みの合宿で訪れた浜辺も大きな被害を受けたと聞きます。現地はニュースで知る以上に厳しい状況にあるそうですが、被災地としてよく知る地名が出てくるだけでも本当に胸が痛む思いです。

今回の震災では、国の内外を問わず、多くの人たちが被害の様子に衝撃を受け、被災した方々を応援しようとしています。お笑いの世界でも、実際に大津波を目の当たりにしたサンドウィッチマンを始め、たくさんの芸人さんたちがイベントなどを通じて義援金や支援物資を募るといった行動を起こしています。しかし、中には芸人さん自身ではなく、一般の人の一言が共感を呼び、芸人さんを巻き込むまでに至ったものもあります。それが「ウエシマ作戦」です。

福島第一原子力発電所の事故により、首都圏は深刻な電力不足に見舞われています。そんな中、ツイッターでは節電を呼びかける人々が続出。この運動は『新世紀エヴァンゲリオン』に出てきた、日本中から電力を集めて攻撃する作戦になぞらえて「ヤシマ作戦」と名づけられました。このヤシマ作戦という言葉がネット上を飛び交う中、今度は停電後の電力消費が集中しないよう、互いに譲り合って使おうと考えた人がいました。そして「『ヤシマ作戦』の後は『ウエシマ作戦』」とツイートしたのです。

「ウエシマ作戦」の「ウエシマ」とはダチョウ倶楽部の上島竜平さんのこと。ダチョウ倶楽部には「オレがやるよ」「それならオレがやるよ」「じゃあオレやるよ」「どうぞどうぞ」という、おなじみの譲り合いのギャグがあります。ツイートした人は、このギャグから「ウエシマ作戦」というネーミングを思いついたようです。その後、被災地以外でも物流の問題や、停電・放射能への不安から来る買い占めにより、さまざまな物資が不足。これにより、「どうぞどうぞ」と譲り合う「ウエシマ作戦」は「物を譲り合う」「買い占めをしない」運動へと変わり、ネット上での盛り上がりはニュースとしても取り上げられて(「ウエシマ作戦」で買い占め防止!...「どうぞどうぞ」と譲り合い」http://bit.ly/ggYFiz)、当の上島さんを始めとする、ダチョウ倶楽部の皆さんも知るところとなりました。

3人はオフィシャルブログ『みんな仲良くわきあいあい!』にコメントを出しました(「ダチョウ倶楽部です!」http://amba.to/hMxFdo)。芸人さんという立場としては、こういう形でギャグが使われると、笑いにしにくくなるところもあるかもしれません。でも、今はこの「愛のギャグ」が、譲り合いの精神を持つきっかけになればいいと思います。ニュースを見ていると不安ばかりが募り、手に入るものは何でも買っておいたほうがいいようにも感じます。しかし、被災地で暮らす方のことを思えば、それは贅沢な悩みです。直接、手を差し伸べることはできなくても、間接的に協力できることもあるはず。その手始めとして、まずは「ウエシマ作戦」に参加してみませんか?