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「ビーバー」:何度行こうとも、その日替わりで、たのしみ
2012年08月02日

【written by イシハラアヤ】焼き肉、もんじゃ焼等だいたいの店に一人で入れる「ひとりメシスト」。酒のツマミで一番好きなのは荒塩とスルメという根っからのしょっぱ党でもあります。
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beaver2.jpg北野武監督の『TAKESHI'S』は何度でも繰り返して観たい作品だ。主人公・北野は芸能界のスター・ビートたけしと瓜二つ。しかし北野の方は売れない中年役者で、コンビニのアルバイトで生計を立てる日々を送っている。ある日、偶然ビートたけしに出会った北野は「自分がビートたけしだったら」という妄想に取りつかれる。もし、たけしの映画に出演したらどうなるだろう、あるいは同じアパートの美人と恋人関係になったら、さらには大挙して押し寄せる警官にたった1人で立ち向かったとしたら...そんな妄想が彼の日常を徐々に浸食し始め、ついには現実と妄想の区別がつかなくなり、思いもよらない状況に...。毎回、観るたびにどこが現実でどこがそうでないのかを見いだそうとするのだが、私が至る結論はいつもさまざま。しかし、これが物語の面白さとは別の楽しみになり、結果として何度も繰り返して観ることになってしまうのだ。

beaver1.jpg何度も繰り返して観たくなる『TAKESHI'S』のように、神田には何度も行きたくなる店がある。そのひとつ、神田駅からほど近い『ビーバー』は創業52年の洋食店。当時から入口に敷かれているレンガはたくさんの人々を迎え入れてきたせいか、角が丸くなっている。ここでは、チキンソテーやハンバーグなどのメイン料理とライス、スープがセットになっている日替わりランチの他、カツカレー、ナポリタン、オムライスなどが食べられる。私が選んだのはナポリタン。銀色のアルミ皿に乗ったナポリタンは太麺で、たまねぎとピーマンとハムが入っている。味付けはケチャップとバターのみ。「ソースなんかは作らずに無添加のケチャップとバターで、できるだけシンプルにね」というのはこの店のおかみさんの言。とてもまろやかな味わいだ。

beaver3.jpg店内はほの暗く、創業当時から変わらぬレンガ作りの壁をおかみさん手製のランプやドライフラワーが飾る。ここは外よりも時間の進み方がゆっくりしているようだ。そんな雰囲気につられてぼんやり考え事をしているうちに、つい長居をしてしまった。




ゆったりとした時間を過ごして外に出ると、店の前の通りをサラリーマンが早足で通り過ぎていった。どんなときにも「ビーバー」に行けば、ゆったりとした時間とおいしい食事が味わえる。早足で歩む日常を少しの間だけでも忘れたいと思ったら、訪れてみるといいだろう。

★お店情報★
店名:ビーバー
ジャンル:洋食
電話番号:03-3254-1746
住所:東京都千代田区神田紺屋町46
交通手段:JR神田駅東口・銀座線神田駅徒歩3分 都営新宿岩本町より5分
営業時間:(月~金)11:00-19:00(土)11:00-13:00 ランチ営業
定休日:日曜、祝日