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「ミカドコーヒー 日本橋店」:"カフェ"という日常に見る国民性
2012年06月22日

【written by 梶尾佳子】好きなものは映画とお酒と睡眠。ワインは1~2杯で眠くなるのに、なぜかウイスキーはストレートでもいける体質の持ち主。
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2年ほど前に亡くなったヌーベルヴァーグを代表するフランス人映画監督、エリック・ロメール。彼は89歳でこの世を去るまで、他愛もない日常の風景を切り取った作品を撮り続けた。この監督の作品を観るといつも「日常の中にこそドラマがある」ということを思い出させられる。

そんな彼の作品の1つに、パリのカフェを扱った話がある。「レネットとミラベル または4つの冒険」というオムニバス作品の中の「カフェのボーイ」だ。

DSC_0301.JPGレネットとミラベルという2人の少女が、パリのとあるカフェで待ち合わせをする。先についたレネットがコーヒーを注文し、小銭がなかったため200フラン札を出すと、カフェのギャルソンがいきなり怒り出す。「4フラン30のコーヒーに200ドル札だなんてふざけるな!釣りはないから小銭で払え!」さらに「コーヒー1杯で何時間も粘る気だろう、そんな奴は客じゃない!イスは使うな!」と、言いがかりとしか思えないギャルソンの態度に驚くレネット。後から来たミラベルも小銭を持っておらず、さらに激昂するギャルソンに、らちがあかないと思った2人は隙を見てカフェから逃げ出す。

日本の感覚でいえばまるでコントのようなワンシーンだが、舞台はパリだ。パリのカフェのギャルソンはプロ意識がとても高い。その場を仕切っているのは自分だというプライドを持っているからこそ、客との間のこんなトラブルもまったくありえない話じゃないだろうな、と思ってしまう。このように、フィクションの中にほんの少しの現実感が上手く溶け込んでいるからこそ、「日常の中のドラマ」として面白く成り立つのだろう。この作品を見ていると、ちょっと変わった人や偏屈な人もすべてひっくるめてパリという街が作られているんだな、と愛おしく感じられる。

DSC_0302.JPGでは日本の場合はどうだろう。三越前の駅近くの「ミカド珈琲」は創業60年以上のコーヒー専門店。軽井沢にも展開していて、ミカドの「モカソフト」は軽井沢名物とされている。しかし実は、創業の地はこの日本橋店。「ミカドコーヒー」と書かれたオレンジの看板も、文字がレトロでなんとも可愛らしい。




店は3階建てで、1階はスタンディング席のみ、2階と3階はコーヒーと軽食がとれるテーブル席になっている。1階のメニューの値段は2階より少し安いので、時間がない時は1階、ゆっくりコーヒーが飲みたければ2階、とその時々の気分や都合によって選ぶことができる。さらにコーヒーやソフトクリームはテイクアウトも可能で、地下には食事のできるダイニングもあるらしい。「専門店」と言うからには、コーヒーの味だけに特化した昔ながらの喫茶店を想像していたが、意外と柔軟に対応してくれる店だな、という印象を受けた。

DSC_0298.JPG肝心の味のほうも、もちろん確かだ。私はゆっくり過ごしたかったので2階の席でブレンドを注文した。適度な酸味と飲みやすい味わいのコーヒーに食欲も刺激され、チーズトーストと名物のモカソフトも追加した。レモンの載った香り豊かなチーズトーストを私が食べ終えるタイミングを見計らって、ウェイターさんがモカソフトを運んでくれた。どちらも、このコーヒーがなくても食べに来たいと思うほど美味しく、大満足のティータイムとなった。

DSC_0296.JPG"コーヒーを飲む"という日常的なことが行われるカフェには、国ごとの考え方が表れる。ミカド珈琲は「柔軟なサービス」と「クオリティの高さ」という、日本の良さがバランスよく表れたカフェだ。2階の落ち着く空間でゆっくりとコーヒーを飲んでいたら、パリもいいけど東京のカフェにもこの国ならではの良さがあるな、としみじみ感じた。

★お店情報★
店名:ミカド珈琲 日本橋店
ジャンル:カフェ
電話番号:03-3241-0530
住所:東京都中央区日本橋室町1-6-7
交通手段:三越前駅より徒歩1分
営業時間:月~金7:15~19:30
土8:00~18:00
日10:00~18:00
定休日:無休

「ラデュレ・サロン・ド・テ」:
              味も雰囲気もオスカー級の「フレンチトースト」

2012年03月23日

【written by 本多綾子(ほんだ・あやこ)】ミーハーのDNAを持ったサッカーファン。2010年には28試合を観戦した。心のチームは鹿島アントラーズ。最近はスタジアム・グルメにもはまっている。
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Laduree3.jpgのサムネール画像

「名前を呼ばれたとき、『なぜまた彼女なの』と聞こえたような気がした。でも、いいの。そんなことは」とは、第84回アカデミー賞で2度目の主演女優賞を獲得したメリル・ストリープの言葉。誰もが認める大女優になった彼女が最初のアカデミー賞を受賞したのは1979年公開の『クレイマー、クレイマー』だった。ダスティン・ホフマン相手に見事な演技を見せて、助演女優賞を獲得した。

映画の舞台となった1970年代は、1960年代と同様に価値観が劇的に変わった時代だった。映画はメリル・ストリープが演じるジョアンナが、夫テディと5歳の息子ビリーを置いて家を出ていくシーンから始まる。仕事で夜遅く帰ってきたテディにジョアンナは告げる。「私、出ていくわ」と。ジョアンナは「理想の妻であり母親」を演じる自分に不安を感じて死にたいと思うほど追いつめられていたのだ。残されて茫然とするテディだが、子供の面倒を見なければならない。最初に作った食事が「フレンチトースト」。普段、キッチンに立ったことのないテディはパニックだ。牛乳は入れ忘れる。食パンを二つ折りにする。挙句にフライパンをひっくり返して火傷を負う。こうして、テディとビリーのほろ苦い父子生活が始まっていく。

それにしても、食事のシーンが多い映画だ。冒頭のフレンチトーストに始まり、TVディナー、シリアル、グラスに入ったワイン...。しかも、そのどれもが美味しそうには見えない。登場人物の気持ちを代弁するかのように、投げやりで乾ききった感じがする。しかし、テディがビリーと食べる最後の朝食だけは違う。「フレンチトースト」を二人で仲良く作っていく。スクリーンから美味しそうなバターの香りが漂ってくるようだ。この映画を初めて見た1980年、私は、無性にフレンチトーストを食べたくなったことを覚えている。

時は流れて2012年。パリの高級ティーサロン「ラデュレ・サロン・ド・テ」でフレンチトーストが食べられるというので行ってみた。

「ラデュレ」1号店は銀座三越の2階にあるが、私は今回、三越日本橋本店内のカフェを訪れた。内装が凝っていると聞いていたが、確かにデパートの中とは思えない贅沢な雰囲気だ。二つのサロンに分かれており、まず目に飛び込んでくるのが、オールドローズと淡いグリーンのインテリアを使ったルイ・フィリップ様式の「サロン・デ・キャトル・セゾン」。その奥にプロシアブルーのインテリアで統一したナポレオン三世様式の「サロン・ブルー」がある。

Laduree2.jpgビリーをこんなステキな店に連れてきたら、「パパ、クールだよ。ママも連れてくるべきだよ」と言うかもしれない。そんなおしゃれなカフェで食べたフレンチトーストは、思わず「わぁ~」と声を出してしまうほど美味しかった。外側がカリっと焼けているのに中はしっとり。ありふれた素材のパン、卵、牛乳、バターでこんなに美味しい食べものが出来上がるとはまるで魔法だ。一緒に頂いた紅茶も、フレーバーが紅茶本来の味をまったく損なっておらず、今までフレーバーティーを避け続けていた私の好みをあっさりと変えてしまうほどだった。「ラデュレ」というとマカランやケーキといったスイーツのイメージが強いが、フランチトースト以外にもクラブ・サンドイッチやオムレツもある。私は欲張ってサーモンのサンドイッチを食べてみた。サーモン、ゆで卵、きゅうり、レタスを薄いトーストで挟んでいる。マヨネーズのさじ加減が絶妙。アメリカ風のクラブ・サンドとはひと味もふた味も違っていた。

laduree1.jpgのサムネール画像夜8時まで営業をしているので、会社帰りに「ラデュレ」に寄ってみるのもいい。フレンチトーストやサンドイッチ、オムレツの後には、もちろん美味しいスイーツが控えている。味も雰囲気も主演女優賞クラスと言えるだろう。


★お店情報★
店名:ラデュレ・サロン・ド・テ
ジャンル:カフェ
電話番号:03-3274-0355
住所:103-8001 東京都中央区日本橋室町1-4-1 日本橋三越本店
交通手段:銀座線・半蔵門線「三越前」駅より徒歩1分 JR「新日本橋」駅より徒歩7分
営業時間:10:00-20:00
定休日: 日本橋三越の定休日に準じる

「ハロッズティーサロン」:ミルクたっぷりの紅茶は英国仕立てで
2012年01月27日

【written by 本多綾子(ほんだ・あやこ)】ミーハーのDNAを持ったサッカーファン。2010年には28試合を観戦した。心のチームは鹿島アントラーズ。最近はスタジアム・グルメにもはまっている。
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スポーツ生観戦の醍醐味は緊張感や高揚した気分を肌身で感じられることだ。さらに、その場ならではの食べ物や飲み物があると生観戦がより思い出深いものになる。大相撲好きなら、升席で相撲を見ながら焼き鳥を食べてみたいと思っているだろう。メジャーリーグのファンならば、2日間は後味を楽しめるホットドックを食べたいはずだ。そして、私を含む鹿島アントラーズのサポーターなら、カシマサッカースタジアムの名物「ハム焼き」か「もつ煮」だ。

harrods.jpgのサムネール画像映画『シーズンチケット』では、冒頭で主人公のジェリーが友人のスーエルに夢を語る場面が出てくる。「いつか競技場で試合を見よう。雰囲気を味わうために早々に行ってさ。まず紅茶を飲む。砂糖は2つ、ミルクたっぷりでね。選手が登場したら立ち上がってクレイジーな声援を送るんだ。試合が始まったらリラックスしてさ。席に座って、ゆっくり紅茶を飲みながら観戦する。なんて最高なんだ」


『シーズンチケット』は、いまもイギリス映画を愛する人たちやサッカーファンの間で語り継がれている名作だ。舞台はイギリス北部の町、ニューカッスル。落ちこぼれの少年、ジェリーとスーエルがイングランド・プレミアリーグのチーム、ニューカッスル・ユナイテッドのシーズンチケットを手に入れようと悪戦苦闘をする姿が描かれている。「シーズンチケット」とは、1シーズンを通してサッカー観戦ができる高額なチケットのことである。

2人の家庭は生活保護を受けるほど貧しい。スタジアムでのサッカー観戦など夢物語だ。そんな彼らがあこがれるのは、スタジアムで飲む「紅茶」。紅茶などいつでも飲めるものだが、ジェリーの「紅茶」には特別な思いが込められていたのだった。それは...と書きたいが映画を見てのお楽しみということにしたい。

この映画を見終わると、きっと紅茶が飲みたくなる。イギリスの紅茶といえば、日本橋三越本店の「ハロッズティーサロン」だ。イギリスの高級デパート、ハロッズはジェリーとスーエルには無縁の場所で、サッカースタジアムとは正反対の上品で落ち着いた雰囲気だったが、ここはあえて彼らと同じやり方で紅茶を飲んでみた。

harrods2.jpg

紅茶は銀のポットで運ばれてくる。ミルクティーに向いているというアッサムに、砂糖2つとミルクをたっぷり入れて飲んでみた。ストレートティーの美しい色合いを楽しみながら飲むのもいいが、ミルク色に染まった紅茶は見た目も味も優しく、温かな気持ちになれる。一緒に注文したスコーンにはクロテッドクリームといちごのジャムが添えられており、程よい固さで紅茶との相性もぴったりだった。

『シーズンチケット』のふたりが思い描く紅茶とは少し違ったが、冬の午後、落ち着いたティーサロンで飲む紅茶もいいものだ。次回は友人を誘って、大好きなサッカーについて語り合いながら、ミルクたっぷりの紅茶を頂こう。もちろん、砂糖は2つだ。

★お店情報★
店名:ハロッズティーサロン
ジャンル:カフェ
電話番号:03-3273-1840
住所:103-8001 東京都中央区日本橋室町1-4-1
交通手段:銀座線・半蔵門線「三越前」駅より徒歩1分 東西線「日本橋」駅より徒歩5分 浅草線「日本橋」駅より徒歩5分 JR「新日本橋」駅より徒歩7分
営業時間:10:00-19:00
定休日: 日本橋三越の定休日に準じる

「花時計」:心がまあるくなるホットケーキ
2011年12月02日

【written by 好中由起恵(よしなか・ゆきえ)】スイーツがだいすきで、食後にあま~いものは欠かせない。時間がなくて食べられないときでも、持ち歩けるチョコやグミなどを口にほうり込む。スイーツにあわせてブラックコーヒーを飲むのが至福のとき。
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映画「幸せのレシピ」は、キャサリン・ゼタ=ジョーンズ演じる主人公のシェフ、ケイトが作る、たくさんの凝った料理を見ることができる。しかし、一番印象的なのはシンプルなパンケーキだ。ケイトと陽気なニックの距離が縮まるシーン、そしてラストシーンにも登場するパンケーキは、まさに幸せの象徴。そして、何より私が魅せられたのは、パンケーキで笑顔になる登場人物たちの表情だった。

花時計 1.JPG「花時計」はコレド日本橋から歩いてすぐのところにある、ホットケーキ専門店。「ホットケーキ」「パンケーキ」と呼び方こそ違えど、花時計のホットケーキも人を笑顔にしてくれる。

優しいホットケーキの香りにつつまれた店内は、どことなく懐かしい雰囲気。インテリアや綺麗に並べられた白とお花柄のソーサーが、幼い頃に連れて行ってもらった喫茶店のようなレトロな空気を生み出している。ふたりのスタッフが阿吽の呼吸で客を席に案内し、オーダーをとり、ホットケーキを焼きはじめる。運ばれてきたホットケーキは、中はふんわりと仕上がっており、表面はサクサク。添えられたメイプルシロップは甘すぎず上品なので、女性だけでなく、男性にもオススメできる味だ。

花時計 3.JPGさらに、男性向けのメニューとしてオススメしたいのが、「ホットケーキランチのベーコンセット」。ホットケーキ2枚にベーコンとスクランブルエッグ、サラダがついている。サラダにはフルーツが添えられて彩り豊かで、ベーコンの程よい塩気はホットケーキの甘さとの塩梅がいい。


「花時計」のホットケーキを食べ終える頃には、「幸せのレシピ」を見終えたときに感じるような穏やかな気持ちになれるはず。舌だけでなく、心も満たされるだろう。

★お店情報★
店名:花時計
ジャンル:ホットケーキ専門店、喫茶店
電話番号:03-3273-8221
住所:〒103-8265  東京都中央区日本橋1-7-12 北ビルB1F
交通手段:「日本橋駅」B12または「三越前駅」B6出口から徒歩2分
営業時間:11:00~19:00(ラストオーダーは18:20)
定休日:土・日・祝

「ショコラ・バー パスカルカフェ」:女の心をとかすチョコレート
2011年11月11日

【written by 好中由起恵(よしなか・ゆきえ)】スイーツがだいすきで、食後にあま~いものは欠かせない。時間がなくて食べられないときでも、持ち歩けるチョコやグミなどを口にほうり込む。スイーツにあわせてブラックコーヒーを飲むのが至福のとき。
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恋愛小説のマエストロである江國香織は、自身が結婚する際に夫に約束してもらったことがあると、エッセイ集「いくつもの週末」に綴っている。それは、「何があったとしてもよその女にはチョコレートをプレゼントしない」というものだ。
―私はなぜか昔から、チョコレートは男が女に贈るものだと思っている。......甘くて贅沢な、快楽を伴って口のなかでとけるチョコレートは、男が女の心をとかすためのものだとしか思えないから。(「いくつもの週末」より)

この文章を読んでからというもの、もしもだいすきな男のひとがチョコレートを食べに連れて行ってくれたら、なんて甘美なことだろう...!と思わずにはいられなかった。しかし、誰かと一緒に行く前に、まずは一人でチョコレートを堪能したい。そこで今回は、いつか来る「その日」の下見として「ショコラ・バー パスカルカフェ」を訪れてみた。

photo 2.JPG「ショコラ・バー パスカルカフェ」の創業者でフランス出身のパスカル・カフェは1989年当時史上最年少でMOF(フランス最優秀職人)を獲得したショコラティエだ。彼はチョコレートには産地を厳選したカカオ豆を使い、素材そのものの持ち味を生かし、砂糖を出来る限り使わないというこだわりを持っている。
 私が注文したのはボンボンショコラセット。お店で一番のオススメであるシャンパンとチョコレートの組み合わせを楽しむことにした。チョコレートは好きなものを選べて、店員さんのチョイスを聞くこともできる。私が選んだのはキャラメルガナッシュ、フランボワーズ、ナッツを飾ったスペシャリテの3つ。なかでもシャンパンと味わうフランボワーズは絶品だった。

photo 3.JPGちなみにチョコレートの世界には「マリアージュ」という言葉がある。本来は「結婚」を意味するが、チョコレートの場合は「相性の良い組み合わせ」や「幸せな出会い」ということ。例えばチョコレートにナッツを加える。例えばシャンパンと一緒に味わう。そういう「幸せな出会い」によって、チョコレートだけでは味わうことのできない風味や余韻が広がっていくというのだ。今回は、この「マリアージュ」を身をもって理解し、チョコレートがより一層、甘美で深みのあるものに感じた。

チョコレートと恋は似ている。こっくりと甘いもの、渋くほろ苦いもの。味わうまでは分からない。しかし、それが双方の放つ魅力だ。

★お店情報★
店名:ショコラ・バー パスカルカフェ
ジャンル:カフェ、チョコレート
電話番号:03-3231-3475
住所:〒103-8265 東京都中央区日本橋2-4-1 日本橋高島屋 3F
交通手段:JR「東京駅」八重洲北口から徒歩5分 東京メトロ 銀座線・東西線「日本橋駅」B1出口 都営地下鉄 浅草線「日本橋駅」から徒歩4分
営業時間:10:00~20:00 定休日:不定休(高島屋に準ずる)

「メゾンカイザー COREDO日本橋店」: 見た目は違えど、大満足の味
2011年10月28日

【written by 樋口孝一(ひぐち・こういち)】最後の晩餐に食べたいモノが、年を取るごとに変わっていきます。昔はグリーンカレー、最近はエノキ炒め。次は何になることやら。
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『ミリオンダラー・ベイビー』は、ひと言でいうと「生きる」とはどういうことかを考えさせられる映画だ。ボクシングに人生最後の望みを託した31歳の女性、マギーが、ロサンゼルスのダウンタウンにある小さなボクシングジムで老トレーナー、フランキーの指導を受け、タイトル戦を戦うまでに成長する姿が描かれている。マギーの熱い戦いは言うまでもなくすばらしいのだが、もう一つ心に残るシーンがある。お互いに打ち解けてきたフランキーとマギーが、ロードサイドの店でレモンパイを食べる場面だ。フランキーがつぶやく。「このまま死んでもいい」。そんなにおいしいのか。無性にレモンパイが食べたくなってきた。

IMGP8741.JPGスイーツ好きの友人に尋ねると、「メゾンカイザー」のレモンパイを勧められ、早速足を運んだ。タルトの上にプリンがのった「フラン」などが並ぶショーケースを探すが、見つからない。売り切れたかと諦めて、ベーカリーコーナーでパンを物色すると、パイ生地に包まれた「レモンパイ」を発見。映画に出てきた、白いボリュームのあるメレンゲがふんわりとのっている「レモンメレンゲパイ」とは違ったが、こちらもうまい。サクサクとしたパイ生地の底の部分には飴状の甘いカラメル。中に広がるレモンクリームのほんのりとした酸味との相性が抜群だ。男の片手よりも大きかったが、ぺろっと食べてしまった。絶妙なコンビネーションのおいしさを味わうと同時に、映画を見終わったときのやるせない気持ちを改めて噛み締める。

IMGP8748.JPGせっかく来たので、ほかのパンも食べてみた。「クロワッサン・オ・ザマンド」は、しっとりした食感と、ほのかなリキュールの香りが相まって、もう一つ食べたくなる。また、コレド日本橋店限定の「ゴルゴンゾーラとクルミのパン」は、チーズとクルミのハーモニーがたまらない。そして絶対にはずせない「クロワッサン」は、パリの新聞「フィガロ」がパリでナンバーワンと評価した逸品だ。かみしめるほどに、バターの風味が口中に広がる。

IMGP8791.JPG次回は併設のカフェコーナーで、パンの盛り合わせ(おかわり自由)がついてくるランチを狙ってみよう。とても人気があり席数も限られているので混雑必至だが、「このまま死んでもいい」と思うまで堪能してみたいものだ。


★お店情報★ 店名:メゾンカイザー COREDO日本橋店
ジャンル:ベーカリーカフェ
電話番号:03-3516-0030
住所:中央区日本橋1-4-1 COREDO日本橋B1F
交通手段:(東京メトロ銀座線・東西線・都営地下鉄浅草線「日本橋駅」直結)
営業時間:平日7:00~22:00(ベーカリー20:00)、日祝日10:00~21:00(ベーカリー20:00)
定休日:無休(COREDO日本橋に準ずる)

「サロン ド カフェ ボワシエ」:
          天井の高さが想像力と創造力を育てる!?

2011年09月09日

【written by 萩原 香(はぎわら・かおり)】 イングリッシュ・クロック担当スタッフ。高校の同級生との集まりを "食いしん坊の会"と名づけ、みなで美味しいものを探求し続けはや十数年。モットーは"You are what you eat."。
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イングリッシュ・クロック(以下EC)の主任講師である山根克之先生は、密かにアカデミー周辺のおいしいお店に詳しいらしい。空き時間に一息ついたり、講義の計画を練ったりするときには、いくつかあるお気に入りのカフェに行き、お茶を飲みながら考えをめぐらしているのだそうだ。今回は、そんな山根先生が学期の初めに大きな計画をじっくり練りたいとき利用するというカフェ、大丸東京店3階の「サロン ド カフェ ボワシエ」に行ってみた。

CIMG2681.JPG「ボワシエ」は本店がパリの高級住宅街・16区にあるショコラトリー&カフェで、創業は1827年。『レ・ミゼラブル』で知られる文豪、ヴィクトル・ユーゴーもその味を賞賛したのだそうだ。 大丸東京店の「ボワシエ」は2007年11月にオープン。店内は広々としており、天井の高さはなんと7メートルもある。壁はボワシエブルーと呼ばれる鮮やかな青色で彩られ、天使の画が描かれている。さらに、大きな窓からは柔らかい光が差し込み、心が洗われるようだ。そういえば、天井の高い家は想像力や創造力が豊かな子を育てる、らしい。因果関係は定かでないが、天井が高い家の中には大量の酸素があり、これによって思考を司る脳が活性化されるため、想像力や創造力が豊かになっていくという話だ。

真偽のほどはどうであれ、「ボワシエ」のような空間の中でなら、脳が活性化し、いい考えが浮かぶに違いない。この数年、ECのカリキュラムがここから生み出されていたことを思うと担当者としては感慨深い思いだ。

CIMG2688.JPGさて、「ボワシエ」での山根先生のお勧めは、ラベンダーの香りを付した紅茶『ボワシエブレンド』。私は『生ハムとモッツァレラチーズのガレット』と一緒にこの紅茶をいただいた。ガレットはもっちもちの生地に生ハムとチーズ、新鮮な生野菜がたっぷりのせられており、カラフルで目にもおいしい華やかさ。味は生ハムとチーズの塩辛さが程よいアクセントになっている。そして紅茶は、温かいままをいただけるようにとの心遣いからか、1人用の南部鉄瓶に入れて出してくれた。芳しい香りがたまらなく、リラックスの方向へ導いてくれる至極の一杯だった。

リラックスもヒラメキが生まれるときに必要な要素のひとつ。天井の高い「ボワシエ」でボワシエブレンドを楽しめば、今までにないほどのすばらしい考えが浮かんでくるかもしれない。仕事、あるいは人生に少し息詰まりを感じたときや、大きな展望を抱きたいときぜひ訪れていただきたい、特別な空間だ。

★お店情報★
店名:サロン ド カフェ ボワシエ 大丸東京店
ジャンル:カフェ ランチ
電話番号:03-3287-0256
住所:東京都千代田区丸の内1-9-1
交通手段:JR東京駅八重洲北口改札を出てすぐ
営業時間:午前10時~午後8時(祝日を除く木・金は午後9時まで)
定休日:大丸東京店に準ずる

※イングリッシュ・クロックでは、講義の見学や「無料体験レッスン&実力翻訳力Checkテスト」を実施中!詳しくはコチラへ⇒http://www.jvtacademy.com/chair/ec.php

「カフェ・ビィオット」:美味しいコーヒーで脳を活性化
2011年07月28日

【written by 塩田明日香(しおた・あすか)】大の白米好き。子供の頃、「お母さんが作る料理で何が一番好き?」と聞かれ、「白いご飯!」と元気良く答えた親不孝者。でもそれくらい白米が大好き。白米さえあれば、どこでも生きていけます。
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東野圭吾の人気推理小説「探偵ガリレオ」の主人公、帝都大学理工学部物理学科准教授・湯川学。彼は常識を超えた事件を科学的に検証し、鮮やかに解決してみせる天才科学者である。湯川の大学時代の友人であり、警視庁捜査一課の刑事・草薙俊平は、警察が解決できない難事件が起こると、湯川の協力を仰ぐために研究室を訪れる。そんな時、湯川は必ず草薙にインスタントコーヒーを振舞う。コーヒーには気持ちをリラックスさせ、脳を活性化される作用があるというから、難事件に向き合う彼らにとっては最適な飲み物だろう。

                           カフェビィオット.JPG               タマゴサンドセット.JPG

神田駅南口から5分ほど歩いた場所にある「カフェ・ビィオット」では、インスタント好きな湯川が思わず本物(!?)に開眼しそうな、上質なコーヒーを味わうことができる。ここでは世界各国から取り寄せた豆を自家焙煎しており、コーヒーは注文を受けてから豆を挽く。店内に広がる香りが、BGMのジャズ、そしてアンティークランプの淡い光とあいまって、落ち着いた雰囲気を醸し出している。

平日午前中のおススメはモーニングセット。バタートースト、チーズトースト、タマゴトーストから1種類と、飲み物、サラダ、ヨーグルトが付いている。私はタマゴトーストとオリジナルブレンドのビィオット・ブレンドを頼んだ。10分程で運ばれてきたモーニングセットは、コーヒーはあっさりしているが、適度な苦みがあり非常に飲みやすい。タマゴトーストは粗めのゆでたまごがたくさん乗っていて、パンのサクっという感触がうれしい。セットで480円という値段にもかかわらず、大きめのトーストが2枚出てくるお得感もある。サラダとヨーグルトを含めるとかなりボリュームたっぷりなので、男性でも十分満足できる量だ。「ガリレオ」の湯川なら、その味と量に外見は平静を装いつつも心は揺さぶられるはず。偏屈者の彼でも、カフェ・ビィオットのモーニングセットを食べれば、至福の時間を過ごすことができるだろう。

★お店情報★
店名:カフェ・ビィオット
ジャンル:カフェ
電話番号:03-3254-1154
住所:〒101-0038東京都千代田区神田美倉町1番地
交通手段:JR  神田駅より徒歩5分
東京メトロ銀座線 神田駅より徒歩5分
JR 新日本橋駅より徒歩3分
営業日: 月〜金曜日
営業時間:7:00〜19:00
定休日:土・日・祝祭日

「榮太樓總本舗」:
「ドロップ」 「アメ」 それとも「キャンディー」?

2011年07月22日

【written by 扇原 篤子(おぎはら・あつこ)】人が大好き。大勢人が集まる市場や食堂も大好き。人間臭い魅力に溢れる場所をこれからどんどん紹介していきたいと思っています。"人間ばんざい!"当ブログマガジン「Chewing Over」で「やさしいHAWAI'I」連載中。http://www.jvtacademy.com/blog/co/hawai/
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今年は節電が叫ばれているせいもあるのか、特に暑さが厳しく感じられる。
夏になると思い出すのが、野坂昭如原作の小説をアニメ化した作品「火垂るの墓」だ。「見るのが辛い」と思う一方、「でもやっぱり...」と、放送があるたび毎回見てしまう。

終戦前後の食料のない時期、親を失った14歳の兄と4歳の妹が親戚からも見放され、防空壕で自炊生活を始める。もはや口にする食べ物がなくなり、栄養失調でほとんど意識がなくなる妹の節子。その時ただ1つ、しっかり抱えているのがドロップの四角い缶だ。振ればカラカラと音がするのだが、中に入っているのはドロップではなくおはじきだった。
「節子、それ...ドロップやない、おはじきや」

このセリフの「ドロップ」という言葉が、私にはたまらなく切なく響く。

榮太郎飴.jpg日本橋にある榮太樓總本舗は飴(ドロップ)で有名な安政四年創業の老舗和菓子店だ。
店の看板とも言える「榮太樓飴」は、梅ぼ志、黒、抹茶、紅茶の4種類。飴はほかに「フルーツキャンディー」もあり、こちらは1つ1つ包装されたオシャレな詰め合わせとなっている。
本店にはそのほかに生菓子、焼き菓子、そして季節のおすすめとして、涼しげな葛菓子、本物ソックリの西瓜まんじゅうなど、思わず手にしたくなるような可愛い和菓子も揃っている。

榮太郎喫茶室.jpgまた併設された喫茶室「雪月花」では軽いお食事のほかに、メニューにみつ豆などの甘味がおよそ30種も並んでいる。50席ほどある店内は、日本橋近辺で買い物をした帰りにちょっと一休みに甘味を・・・と、女性一人でも気軽に入れる雰囲気だ。

口に含むと甘い味がいっぱいに広がる榮太樓の飴。
あの「火垂るの墓」の節子も、生きる時代が違っていたら、さまざまな味の飴を楽しむことができたかもしれない。

★お店情報★
店名:榮太樓總本舗
ジャンル:和菓子 甘味処
電話番号:03-3273-6310
住所:中央区日本橋1-2-5
交通手段:東西線 日本橋駅から歩いて1分
営業時間:平日9:00~18:00 土曜日9:30~18:00
定休日:日曜 祝日

「ZEN茶'fe」:思いのままに過ごす寛ぎのカフェ
2011年06月17日

【written by 石塚香(いしづか・かおり)】子どもの頃から今にいたるまで、なぜか引越続きの人生だ。辛いのは荷造り、嬉しいのはその土地ならではの、おいしいものとの出会い。次の引越しはいつやって来るのだろう...。
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禅が西洋的にアレンジされると、なぜだか洗練されてしまう。「和」のテイストを生かした、シンプルでオシャレなZEN(禅)に様変わりするのだ。例えば、ドミニック・ローホー著の『シンプルに生きるー変哲のないものに喜びをみつけ、味わう』(幻冬舎)という1冊。フランス人の著者が紹介するのは、禅の心をとおして考える物にとらわれない生き方だが、上質なものへのこだわりを織り交ぜて、ZENの粋な雰囲気に仕上がっている。

そんな1冊を読むのにぴったりなカフェが、三越前の裏通りにある。ZENテイストを取り入れた気軽に立ち寄れるファストフードカフェは、その名も「ZEN茶'fe」。ドリンクメニューが豊富で、「緑茶&レモングラス」「あんずほうじ茶」など、日本のお茶が小粋にアレンジされている。そこで、グリーンとオレンジの色合いが鮮やかな「抹茶オレンジ」をオーダー。オレンジジュースの酸味と口の中にほのかに広がる抹茶の苦みがよく合い、お勧めだ。

May 008.jpg食事には「炭火焼きハンバークサンドイッチ」にアボカドを追加オーダーしたが、男性でも満足できそうなそのボリュームに驚かされた。肉厚のハンバーグからは炭火の香りが漂っていて、炭火でトーストした食パンは、外側はパリッと、内側はしっとりと肉汁やソースの味がしみ込んでいる。おいしくてペロっと平らげてしまった。ちょっぴり豪快なサンドイッチをチョイスしてしまったが、シンプル路線でいけば、「炭火野菜のサンドイッチ」といったメニューも用意されている。

CA376129.JPG3階建ての店内は、2階3階に広々としたスペースが広がる。私の向かった3階は大テーブルやソファーも並ぶモダンな雰囲気で、一人でゆっくりと寛ぐのにぴったりの空間だ。この日は、友人とお茶を楽しむ女性の他に、PCを前に仕事に励む男性や、マンガを読みふける男性もいた。マンガと言えば、自由に読めるシリーズ物のマンガが店内の本棚にぎっしりと詰まっている。どうやら長居がOKのカフェのようだが、それでも、木製の看板にはさり気なく「仮眠御勘弁」の文字が。居心地が良すぎてうっかり眠ってしまわないように要注意。

★お店情報★
店名:ZEN茶'fe
ジャンル:ファストフードカフェ
電話番号:03-3270-3672
住所: 〒103-0022 東京都中央区日本橋室町1-11-2
交通手段:東京メトロ三越前駅より徒歩1分、新日本橋駅より徒歩7分
営業時間:月~金8:00~22:00, 土日祝日11:00~18:00
定休日:無休