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「榮太樓總本舗」:
「ドロップ」 「アメ」 それとも「キャンディー」?

2011年07月22日

【written by 扇原 篤子(おぎはら・あつこ)】人が大好き。大勢人が集まる市場や食堂も大好き。人間臭い魅力に溢れる場所をこれからどんどん紹介していきたいと思っています。"人間ばんざい!"当ブログマガジン「Chewing Over」で「やさしいHAWAI'I」連載中。http://www.jvtacademy.com/blog/co/hawai/
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今年は節電が叫ばれているせいもあるのか、特に暑さが厳しく感じられる。
夏になると思い出すのが、野坂昭如原作の小説をアニメ化した作品「火垂るの墓」だ。「見るのが辛い」と思う一方、「でもやっぱり...」と、放送があるたび毎回見てしまう。

終戦前後の食料のない時期、親を失った14歳の兄と4歳の妹が親戚からも見放され、防空壕で自炊生活を始める。もはや口にする食べ物がなくなり、栄養失調でほとんど意識がなくなる妹の節子。その時ただ1つ、しっかり抱えているのがドロップの四角い缶だ。振ればカラカラと音がするのだが、中に入っているのはドロップではなくおはじきだった。
「節子、それ...ドロップやない、おはじきや」

このセリフの「ドロップ」という言葉が、私にはたまらなく切なく響く。

榮太郎飴.jpg日本橋にある榮太樓總本舗は飴(ドロップ)で有名な安政四年創業の老舗和菓子店だ。
店の看板とも言える「榮太樓飴」は、梅ぼ志、黒、抹茶、紅茶の4種類。飴はほかに「フルーツキャンディー」もあり、こちらは1つ1つ包装されたオシャレな詰め合わせとなっている。
本店にはそのほかに生菓子、焼き菓子、そして季節のおすすめとして、涼しげな葛菓子、本物ソックリの西瓜まんじゅうなど、思わず手にしたくなるような可愛い和菓子も揃っている。

榮太郎喫茶室.jpgまた併設された喫茶室「雪月花」では軽いお食事のほかに、メニューにみつ豆などの甘味がおよそ30種も並んでいる。50席ほどある店内は、日本橋近辺で買い物をした帰りにちょっと一休みに甘味を・・・と、女性一人でも気軽に入れる雰囲気だ。

口に含むと甘い味がいっぱいに広がる榮太樓の飴。
あの「火垂るの墓」の節子も、生きる時代が違っていたら、さまざまな味の飴を楽しむことができたかもしれない。

★お店情報★
店名:榮太樓總本舗
ジャンル:和菓子 甘味処
電話番号:03-3273-6310
住所:中央区日本橋1-2-5
交通手段:東西線 日本橋駅から歩いて1分
営業時間:平日9:00~18:00 土曜日9:30~18:00
定休日:日曜 祝日