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「カフェ・ビィオット」:美味しいコーヒーで脳を活性化
2011年07月28日

【written by 塩田明日香(しおた・あすか)】大の白米好き。子供の頃、「お母さんが作る料理で何が一番好き?」と聞かれ、「白いご飯!」と元気良く答えた親不孝者。でもそれくらい白米が大好き。白米さえあれば、どこでも生きていけます。
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東野圭吾の人気推理小説「探偵ガリレオ」の主人公、帝都大学理工学部物理学科准教授・湯川学。彼は常識を超えた事件を科学的に検証し、鮮やかに解決してみせる天才科学者である。湯川の大学時代の友人であり、警視庁捜査一課の刑事・草薙俊平は、警察が解決できない難事件が起こると、湯川の協力を仰ぐために研究室を訪れる。そんな時、湯川は必ず草薙にインスタントコーヒーを振舞う。コーヒーには気持ちをリラックスさせ、脳を活性化される作用があるというから、難事件に向き合う彼らにとっては最適な飲み物だろう。

                           カフェビィオット.JPG               タマゴサンドセット.JPG

神田駅南口から5分ほど歩いた場所にある「カフェ・ビィオット」では、インスタント好きな湯川が思わず本物(!?)に開眼しそうな、上質なコーヒーを味わうことができる。ここでは世界各国から取り寄せた豆を自家焙煎しており、コーヒーは注文を受けてから豆を挽く。店内に広がる香りが、BGMのジャズ、そしてアンティークランプの淡い光とあいまって、落ち着いた雰囲気を醸し出している。

平日午前中のおススメはモーニングセット。バタートースト、チーズトースト、タマゴトーストから1種類と、飲み物、サラダ、ヨーグルトが付いている。私はタマゴトーストとオリジナルブレンドのビィオット・ブレンドを頼んだ。10分程で運ばれてきたモーニングセットは、コーヒーはあっさりしているが、適度な苦みがあり非常に飲みやすい。タマゴトーストは粗めのゆでたまごがたくさん乗っていて、パンのサクっという感触がうれしい。セットで480円という値段にもかかわらず、大きめのトーストが2枚出てくるお得感もある。サラダとヨーグルトを含めるとかなりボリュームたっぷりなので、男性でも十分満足できる量だ。「ガリレオ」の湯川なら、その味と量に外見は平静を装いつつも心は揺さぶられるはず。偏屈者の彼でも、カフェ・ビィオットのモーニングセットを食べれば、至福の時間を過ごすことができるだろう。

★お店情報★
店名:カフェ・ビィオット
ジャンル:カフェ
電話番号:03-3254-1154
住所:〒101-0038東京都千代田区神田美倉町1番地
交通手段:JR  神田駅より徒歩5分
東京メトロ銀座線 神田駅より徒歩5分
JR 新日本橋駅より徒歩3分
営業日: 月〜金曜日
営業時間:7:00〜19:00
定休日:土・日・祝祭日

「榮太樓總本舗」:
「ドロップ」 「アメ」 それとも「キャンディー」?

2011年07月22日

【written by 扇原 篤子(おぎはら・あつこ)】人が大好き。大勢人が集まる市場や食堂も大好き。人間臭い魅力に溢れる場所をこれからどんどん紹介していきたいと思っています。"人間ばんざい!"当ブログマガジン「Chewing Over」で「やさしいHAWAI'I」連載中。http://www.jvtacademy.com/blog/co/hawai/
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今年は節電が叫ばれているせいもあるのか、特に暑さが厳しく感じられる。
夏になると思い出すのが、野坂昭如原作の小説をアニメ化した作品「火垂るの墓」だ。「見るのが辛い」と思う一方、「でもやっぱり...」と、放送があるたび毎回見てしまう。

終戦前後の食料のない時期、親を失った14歳の兄と4歳の妹が親戚からも見放され、防空壕で自炊生活を始める。もはや口にする食べ物がなくなり、栄養失調でほとんど意識がなくなる妹の節子。その時ただ1つ、しっかり抱えているのがドロップの四角い缶だ。振ればカラカラと音がするのだが、中に入っているのはドロップではなくおはじきだった。
「節子、それ...ドロップやない、おはじきや」

このセリフの「ドロップ」という言葉が、私にはたまらなく切なく響く。

榮太郎飴.jpg日本橋にある榮太樓總本舗は飴(ドロップ)で有名な安政四年創業の老舗和菓子店だ。
店の看板とも言える「榮太樓飴」は、梅ぼ志、黒、抹茶、紅茶の4種類。飴はほかに「フルーツキャンディー」もあり、こちらは1つ1つ包装されたオシャレな詰め合わせとなっている。
本店にはそのほかに生菓子、焼き菓子、そして季節のおすすめとして、涼しげな葛菓子、本物ソックリの西瓜まんじゅうなど、思わず手にしたくなるような可愛い和菓子も揃っている。

榮太郎喫茶室.jpgまた併設された喫茶室「雪月花」では軽いお食事のほかに、メニューにみつ豆などの甘味がおよそ30種も並んでいる。50席ほどある店内は、日本橋近辺で買い物をした帰りにちょっと一休みに甘味を・・・と、女性一人でも気軽に入れる雰囲気だ。

口に含むと甘い味がいっぱいに広がる榮太樓の飴。
あの「火垂るの墓」の節子も、生きる時代が違っていたら、さまざまな味の飴を楽しむことができたかもしれない。

★お店情報★
店名:榮太樓總本舗
ジャンル:和菓子 甘味処
電話番号:03-3273-6310
住所:中央区日本橋1-2-5
交通手段:東西線 日本橋駅から歩いて1分
営業時間:平日9:00~18:00 土曜日9:30~18:00
定休日:日曜 祝日

「フランク」:創作料理店で新鮮な発見を
2011年07月14日

【written by 落合佑介(おちあい・ゆうすけ)】食べることは生きること」がモットー。『神田グルメディア倶楽部』に入部して、食べ歩きを何時間でも続けられる自分を発見した。食への探求心は尽きず、どこかに面白そうな店はないか、と考え日々生きている。
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『シェフとギャルソン、リストランテの夜』は、さびれたレストランで働くイタリア移民の兄弟が、互いに反発しながらも、店の経営を軌道に乗せるため、一夜限りの大晩餐会を開くというストーリー。中でも印象的なのが、レストランの長テーブルに座る客たちの前に料理が次々と運ばれてくるシーンだ。「鳥の香草焼き」「鱸のオリーブ煮」といった料理があまりにも美味しそうで、ため息しか出ない。そんな幸福の絶頂にいる客たちの前にさらに、豚の丸焼きが運ばれてくる。客たちは「嘘だろ?まだあるの!?」と歓喜の混じった驚きの表情を見せる。その後、デザートを食べた後に場面が転換して、ゆったりしたピアノをバックに、幸福の余韻に身をゆだねる客たちが映し出される。

「フランク」写真 2.JPGそんな場面を見て改めて思い出したのは、レストランで料理を待つときのワクワクする気持ちだった。そこで、今回訪れたのは創作料理店「フランク」。イタリアの国旗に創作料理と書かれた看板が目印で、隠れ家のような落ち着いた雰囲気の店だ。メニューには創作料理だけでなく、ラザニアやハンバーグなどおなじみの料理も並んでいる。その中から「ミルフィーユ仕立て」という言葉にひかれて、「なすとトマトのミルフィーユ仕立て バジル風味」を注文した。バジルの葉と「ジュー」というフライパンの音に想像力が刺激される。待つこと約10分、運ばれてきたのは、スライスしたなすとトマトが層を成すように重ねられて「ミルフィーユ仕立て」になったものに、フレッシュバジルがトッピングされた一品だった。見た目も楽しく、目と舌で存分に味わうことができた。こうした発見や感動もレストランで食事をするときの楽しみである。

日常がただの繰り返しのように感じるときは誰でもあるだろう。そんなときは、『シェフとギャルソン、リストランテの夜』を観て「フランク」に足を運んでみよう。料理を待つワクワク感や新たなものと出会う感動を味わうことができ、気分を一新できるはずだ。


★お店情報★
店名:フランク
ジャンル:洋食処
電話番号:03-3253-0808
住所:東京都千代田区鍛冶町1-3-9稲村ビル B1F
交通手段:JR神田駅南口より徒歩1分
営業時間:平日11:30~14:00(L.O.13:30)、17:30~23:00(L.O.22:00) 土17:30~21:30(L.O.21:00)
定休日:日曜・祝日

「串カツ甲子園」:なにわの味
2011年07月08日

【written by おおひらしょうご】食う、飲む、遊ぶがモットーのダメ人間。将来の夢は主婦、もとい主夫。料理好き。
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ウルフルズの1995年の曲、「大阪ストラット」のPVは今見ても非常に面白い(PVはYouTubeで無料公開中)。ロケ地はもちろん大阪で、阪神タイガースの帽子を被った青年と、革ジャンにど派手なワイシャツを着たヤンキーっぽい男性、そして町のおっちゃんやおばちゃん(すべてボーカルのトータス松本が演じている)といういかにも大阪人たちの掛け合いが最高なのだ。僕は関西出身で大阪の高校に通っていたので言わしてもらうが、早口でまくし立てるようなしゃべりのテンポや会話の中身はまさに「ザ・大阪ワールド」。例えば、喫茶店の場所を教えるのに「この道ブワーッと行ってグワーッと曲がってでっかいビル、ボワーン立ってるからその角シュッと曲がんねん」という擬音だらけで説明をするシーンがあるが、実際に大阪の人は道案内をするときにブワーッみたいな擬音をよく使う。

IMG_0174.jpgもし大阪に行く機会があれば道を聞いてみよう。擬音を交えながら丁寧に教えてくれるはずだ。大阪に行く機会はないけど大阪の雰囲気を味わってみたい、というのなら、「串カツ甲子園」に行ってみたらどうだろう。"本場 新世界の味"と書かれた看板の横には大阪の観光名所である通天閣と、そこに安置してある幸福の神様"ビリケンさん"の写真パネルが飾ってある。入り口から大阪っぽくどぎついデザインだ。大阪で普通、「串カツ」と注文すれば細長い牛肉の串カツが出てくるのだが、この店ではその牛の串カツが1本90円と安さも大阪並。ステンレス製の深い容器にタップリ入ったソースに串カツをジャバッと漬けて食べるのが本場大阪の食べ方だ。ソースはみんなで使うから、もちろん"二度漬け禁止"。細かいパン粉の衣に、シャバシャバしてとろみが少ないソース、そしてキャベツは食べ放題と、大阪の串かつ屋をかなり忠実に再現していて、ちょっとした旅行気分を味わえるんじゃないだろうか。ちなみに店の場所だが、神田駅の東口を出てブワーッと行った所にあるから簡単に分かるはずだ。

★お店情報★
店名:串カツ甲子園 神田店
ジャンル:串カツ屋
電話番号:050-5815-3316
住所:東京都千代田区鍛冶町2-12-13一番街共同ビル1・2F
交通手段:JR神田東口徒歩1分
営業時間:【月~金】17:00~23:30(LO.23:00)【土・祝】17:00~22:00(LO.21:30)【日 曜】16:00~21:00(LO.20:30)
定休日:無休

「Bikini PICAR(ビキニ ピカール)」:スペインを堪能する
2011年07月01日

【written by 樋口孝一(ひぐち・こういち)】最後の晩餐に食べたいモノが、年を取るごとに変わっていきます。昔はグリーンカレー、最近はエノキ炒め。次は何になることやら。
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picar-1.jpg先日、東日本大震災の復興を支援するために開催されたフラメンコのライブへ出かけた。かつてフラメンコギターを(ほんのひとくち程度)かじっていたこともあり、ライブにはよく足を運んでいるが、今回は友人からの誘いもあり、ちょっと特別な気分で参加した。100人程度が入る会場に響きわたるギターのリズム。ダンサーのサパテアード(足踏み)とパルマ(手拍子)。被災者への思いを込めた熱いステージが次々と繰り広げられ、あっという間の1時間だった。ダンスも情熱的で魅了されるのだが、いつも私が心を惹かれるのはギターだ。ギタリストといえば、スペインならアル・ディメオラやジョン・マクラフリンもいるが、やはりパコ・デ・ルシアを挙げないわけにはいかない。

パコ・デ・ルシアの本名はフランシスコ・サンチェス・ゴメス。アル、ジョンと合わせて「スーパー・ギター・トリオ」と呼ばれる。「速弾き」など卓越したテクニックで独自のフラメンコスタイルを確立し、数々のアルバムを残しているが、その中でもお勧めしたいのは『LIVE IN AMERICA』(邦題『ライブ・イン・アメリカ』)だ。1993年にリリースされたこのアルバムは、パコのアメリカツアーを収めたもの。「超絶技巧」と称されるパコのギターソロが味わえる曲や、パーカッション・サックスなどセクステット(6人組のバンド)との競演を楽しめる曲があり、これまでに「音楽」としてフラメンコを意識したことのない人でも、きっと堪能できる一枚だ。

picar-2.jpgそして、「曲」のあとは「食」を堪能したい。というわけで、スペインはカタルニア地方の料理を楽しめる「Bikini PICAR」を訪れた。今回はお店自慢のランチメニューである「パスタのパエリア」を注文した。セットのピンチョス(パンの上に少量の食べものがのった軽食)にはポテトサラダとスパニッシュオムレツをチョイス。オムレツはどのように出てくるのかと思ったが、ポテトサラダと同じく、スライスされたバゲットにドンとのせられていた。少し驚きながら食べているところに、パエリアが運ばれてきた。具材はイカ、エビ、アサリと鶏肉にトマト。表面はパリっとしていて、中はもっちりとした食感がとてもいいし、一皿で充実感を得られる。また、ニンジンをバターでゆっくり炒めた「ソパ」(ポタージュ)はほんのり甘い。店員さんの話では、スペイン人は昼をしっかりと食べ、夜はソパやピンチョスで軽めに済ますようだが、お酒を結構飲むので、健康的かどうかはアヤシイとのこと。

picar-3.jpgちなみに店名の「ピカール」とは、スペイン語で「(料理を)つまむ」という意味。次回はディナータイムにピンチョスなどを楽しんでみたい。そうそう、パエリアのラストオーダーは21時30分なので、注文はお早めに。



★お店情報★
店名:Bikini PICAR(ビキニ ピカール)
ジャンル:スペイン料理
電話番号:03-6202-3600
住所:中央区日本橋室町2-2-1 COREDO室町2F
交通手段:東京メトロ三越前駅・JR新日本橋駅 直結
営業時間:11:00~23:00(ランチL.O.15:00、カフェL.O.17:00、ディナーL.O.22:00)
定休日:不定休