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「JOHAN」:"チョコクロワッサン"は恋の名脇役!?
2012年07月27日

【written by 平野ケイ(ひらの・けい)】子供の頃の夢は「なるほど!ザ・ワールド」のレポーターの様に世界中を訪ね歩くこと。いつも世界を肌で感じていたい!
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映画『恋するベーカリー』は、50歳を過ぎた大人たちの恋愛模様を描いたラブコメディーだ。主演は、今年のアカデミー賞主演女優賞を獲得したメリル・ストリープ。彼女の恋のお相手役が、アレック・ボールドウィンとスティーブ・マーティンだ。撮影前、メリル・ストリープは「あまりにも個性的なスティーブが、アレックとの共演でどういう演技をするか心配していた」そうだが、さすがは名俳優。笑いあり涙ありのリアリティー溢れる映画に仕上がっている。

ジェーン(メリル・ストリープ)は敏腕弁護士の夫・ジェイク(アレック・ボールドウィン)、そして3人の子供と共に何不自由ない結婚生活を送っていた。しかし、結婚から20年目にしてジェイクの浮気が発覚。これがもとで離婚することになってしまう。...それから10年。ジェーンはベーカリーを営む実業家として成功するが、時折どうしようもない寂しさに襲われていた。

そんな彼女の目の前に、2人の男が現れる。1人は元夫のジェイク。偶然出会ったNYで、焼けぼっくいに火がついてしまった。もう1人は自宅キッチンの増築を依頼していた建築家アダム(スティーブ・マーティン)。彼にも離婚経験があり、2人はすぐに意気投合する。そして、それぞれの男性とデートの約束をするジェーンだが...。

この恋物語の「名脇役」として登場するのが、焼きたての"チョコクロワッサン"だ。アダムとの初デートの帰り、自身が経営するベーカリーに立ち寄り、「何でも好きなものを注文して」と言うジェーン。そのとき、アダムが食べたいといったのが"チョコクロワッサン"だった。そして、2人は誰も居ない夜中の厨房でチョコクロワッサンを焼く。ロマンチックな雰囲気で、パンの香りが伝わってきそうな場面だ。

johan.JPG日本橋三越本店B1にある「JOHAN」は、いつも焼きたてのパンの香りが漂っていて、つい吸い寄せられてしまう。「JOHAN」で人気のパンのひとつがクロワッサン。通常の大きさのものと、小ぶりなミニクロワッサンの2つがあり、ミニクロワッサンのほうは味がプレーンとチョコの2種類用意されている。店内には、ミニクロワッサン購入者専用のレジがあり、グラム単位で買うことが可能だ。私のお目当ては、もちろんミニチョコクロワッサン。生地に練りこまれたチョコレートはダーク系で、甘さの中にほろ苦さが残る美味しさだ。映画のロマンチックな雰囲気を思い出しながら食べていたら、いつの間にか10個もたいらげてしまった。

「JOHAN」でもう一つのお勧めは、毎日12:30と15:00に焼き上がる"コーンパン"。焼き上がり20分前には行列ができ、あっという間に売り切れる。翌日になってもふわっとした軽い食感で、美味しさはそのまま。1個60円で1人10個までしか買えないという大人気商品だ。

「JOHAN」には、常時さまざまな種類のパンが並んでいる。どれを食べようか迷った時には、是非"チョコレートクロワッサン"と"コーンパン"を試して欲しい。味はもちろん間違いないが、もしかすると舌を満足させてくれるだけでなく、あなたの恋にも一役買ってくれるかもしれない。

★お店情報★
店名:『JOHAN』
ジャンル:ベーカリー
電話番号:03-3241-3311
住所:東京都中央区日本橋室町1-4-1
交通手段:東京メトロ銀座線・半蔵門線「三越駅」徒歩1分
東京メトロ銀座線・東西線・都営浅草線「日本橋駅」徒歩5分
営業時間:午前10時~午後8時
定休日:不定休(日本橋三越に準ずる)

「メゾンカイザー COREDO日本橋店」: 見た目は違えど、大満足の味
2011年10月28日

【written by 樋口孝一(ひぐち・こういち)】最後の晩餐に食べたいモノが、年を取るごとに変わっていきます。昔はグリーンカレー、最近はエノキ炒め。次は何になることやら。
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『ミリオンダラー・ベイビー』は、ひと言でいうと「生きる」とはどういうことかを考えさせられる映画だ。ボクシングに人生最後の望みを託した31歳の女性、マギーが、ロサンゼルスのダウンタウンにある小さなボクシングジムで老トレーナー、フランキーの指導を受け、タイトル戦を戦うまでに成長する姿が描かれている。マギーの熱い戦いは言うまでもなくすばらしいのだが、もう一つ心に残るシーンがある。お互いに打ち解けてきたフランキーとマギーが、ロードサイドの店でレモンパイを食べる場面だ。フランキーがつぶやく。「このまま死んでもいい」。そんなにおいしいのか。無性にレモンパイが食べたくなってきた。

IMGP8741.JPGスイーツ好きの友人に尋ねると、「メゾンカイザー」のレモンパイを勧められ、早速足を運んだ。タルトの上にプリンがのった「フラン」などが並ぶショーケースを探すが、見つからない。売り切れたかと諦めて、ベーカリーコーナーでパンを物色すると、パイ生地に包まれた「レモンパイ」を発見。映画に出てきた、白いボリュームのあるメレンゲがふんわりとのっている「レモンメレンゲパイ」とは違ったが、こちらもうまい。サクサクとしたパイ生地の底の部分には飴状の甘いカラメル。中に広がるレモンクリームのほんのりとした酸味との相性が抜群だ。男の片手よりも大きかったが、ぺろっと食べてしまった。絶妙なコンビネーションのおいしさを味わうと同時に、映画を見終わったときのやるせない気持ちを改めて噛み締める。

IMGP8748.JPGせっかく来たので、ほかのパンも食べてみた。「クロワッサン・オ・ザマンド」は、しっとりした食感と、ほのかなリキュールの香りが相まって、もう一つ食べたくなる。また、コレド日本橋店限定の「ゴルゴンゾーラとクルミのパン」は、チーズとクルミのハーモニーがたまらない。そして絶対にはずせない「クロワッサン」は、パリの新聞「フィガロ」がパリでナンバーワンと評価した逸品だ。かみしめるほどに、バターの風味が口中に広がる。

IMGP8791.JPG次回は併設のカフェコーナーで、パンの盛り合わせ(おかわり自由)がついてくるランチを狙ってみよう。とても人気があり席数も限られているので混雑必至だが、「このまま死んでもいい」と思うまで堪能してみたいものだ。


★お店情報★ 店名:メゾンカイザー COREDO日本橋店
ジャンル:ベーカリーカフェ
電話番号:03-3516-0030
住所:中央区日本橋1-4-1 COREDO日本橋B1F
交通手段:(東京メトロ銀座線・東西線・都営地下鉄浅草線「日本橋駅」直結)
営業時間:平日7:00~22:00(ベーカリー20:00)、日祝日10:00~21:00(ベーカリー20:00)
定休日:無休(COREDO日本橋に準ずる)

「ボンクール」:舌と心で味わいたいパン
2010年10月22日

【written by きただてかずこ】 子供の頃からお笑いが好きで、オトナになった今もバラエティ番組を見なければ夜も日も明けぬ毎日。ライブにもしばしば足を運び、笑える喜びにどっぷり浸りまくっている。当ブログマガジン「Chewing Over」で「ミクスチャー食堂2」連載中。
http://www.jvtacademy.com/blog/co/mixture/
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映画やドラマでフランスパンを食べているシーンというと、きちんとナイフでスライスして味わうより、手でちぎってほおばったり、頭からガブリと食いついたりしていることのほうが多いように思う。昨年、アカデミー賞で外国語映画賞を受賞した『おくりびと』にも、フランスパンを食べる場面が出てくる。本木雅弘が演じる主人公・大悟が妻のいない家で1人、夕食を取るのだが、そこで彼はなんとフランスパンに刺身をのせて食べていた。だいぶ前に、イタリア人の男性は妻が長く留守をしている時、冷凍したトマトソースを解凍せずにそのままパスタにかけてしまう(のせてしまう?)という話を聞いたことがあったが、大悟も妻がいない間は空腹さえ満たされればいいという気持ちだったに違いない。

bon5.jpgしかし、JR新日本橋駅に近いベーカリー「ボンクール」のフランスパンは、そんな食べ方をきっと許してくれないだろう。女性を意識し、味にも見た目にもこだわった食事パンや季節のフルーツを使った菓子パンを多く扱うこの店では、フランスパンも丁寧に焼き上げられており、「バゲット」という名で親しまれている。近所の飲食店のスタッフらしき人が買っていく姿を目にすることも多く、過去にはこのパンを使ったサンドウィッチがコンテストで入賞した実績もあるほど。『おくりびと』の大悟のように刺身をのせて食べるなんてもってのほかだ。外はサクサク、中はしっとりとしたフランスパンは、ナイフで厚めにスライスしてじっくり味わいたい。トーストをしてバターを塗っただけでもおいしいし、キュウリやハム、コンビーフなど、好みの食材をのせるのも楽しい。

また、ここではフランスパンを買うと保存袋をつけてくれる。袋には冷凍保存と解凍の方法が書いてあるので、翌日以降も変わらぬサクサク感としっとり感を楽しむことができる。

なお、ボンクールは日本橋の地域ブランド事業展開「日本橋美人
bon3.jpgプロジェクト」にも参加している。「身体の中から健康で美しく、伝統を身近に感じることにより培われる教養や品格を持ち、心優しく感性が豊かで真に粋(クール)な"心も身体も美しい" 女性を総称する日本橋の地域ブランド」に合わせて、同じ日本橋にある老舗和菓子店・榮太樓總本舗の餡(あん)を使ったパンや、最近、ヘルシーさで注目されている米粉を使ったパンも販売している。

地元に根ざし、味や見た目だけでなく、健康にも気を配っているボンクール。フランスパンであれ何であれ、雑にかぶりつくのは、やっぱりもったいない。お店の人たちのアイデアやまごころも一緒に、しっかり味わって食べたいものだ。

★お店情報★
店名:ボンクール
ジャンル:ベーカリー
住所:〒103-0022 中央区日本橋室町4-3-12
電話番号:03-5201-3811
交通手段:JR新日本橋駅 徒歩3分
営業時間:平日 7:30AM~8:00PM 土 8:00AM~6:00PM
定休日:日曜・祭日