【written by 樋口孝一(ひぐち・こういち)】最後の晩餐に食べたいモノが、年を取るごとに変わっていきます。昔はグリーンカレー、最近はエノキ炒め。次は何になることやら。
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『ミリオンダラー・ベイビー』は、ひと言でいうと「生きる」とはどういうことかを考えさせられる映画だ。ボクシングに人生最後の望みを託した31歳の女性、マギーが、ロサンゼルスのダウンタウンにある小さなボクシングジムで老トレーナー、フランキーの指導を受け、タイトル戦を戦うまでに成長する姿が描かれている。マギーの熱い戦いは言うまでもなくすばらしいのだが、もう一つ心に残るシーンがある。お互いに打ち解けてきたフランキーとマギーが、ロードサイドの店でレモンパイを食べる場面だ。フランキーがつぶやく。「このまま死んでもいい」。そんなにおいしいのか。無性にレモンパイが食べたくなってきた。
スイーツ好きの友人に尋ねると、「メゾンカイザー」のレモンパイを勧められ、早速足を運んだ。タルトの上にプリンがのった「フラン」などが並ぶショーケースを探すが、見つからない。売り切れたかと諦めて、ベーカリーコーナーでパンを物色すると、パイ生地に包まれた「レモンパイ」を発見。映画に出てきた、白いボリュームのあるメレンゲがふんわりとのっている「レモンメレンゲパイ」とは違ったが、こちらもうまい。サクサクとしたパイ生地の底の部分には飴状の甘いカラメル。中に広がるレモンクリームのほんのりとした酸味との相性が抜群だ。男の片手よりも大きかったが、ぺろっと食べてしまった。絶妙なコンビネーションのおいしさを味わうと同時に、映画を見終わったときのやるせない気持ちを改めて噛み締める。
せっかく来たので、ほかのパンも食べてみた。「クロワッサン・オ・ザマンド」は、しっとりした食感と、ほのかなリキュールの香りが相まって、もう一つ食べたくなる。また、コレド日本橋店限定の「ゴルゴンゾーラとクルミのパン」は、チーズとクルミのハーモニーがたまらない。そして絶対にはずせない「クロワッサン」は、パリの新聞「フィガロ」がパリでナンバーワンと評価した逸品だ。かみしめるほどに、バターの風味が口中に広がる。
次回は併設のカフェコーナーで、パンの盛り合わせ(おかわり自由)がついてくるランチを狙ってみよう。とても人気があり席数も限られているので混雑必至だが、「このまま死んでもいい」と思うまで堪能してみたいものだ。
★お店情報★
店名:メゾンカイザー COREDO日本橋店
ジャンル:ベーカリーカフェ
電話番号:03-3516-0030
住所:中央区日本橋1-4-1 COREDO日本橋B1F
交通手段:(東京メトロ銀座線・東西線・都営地下鉄浅草線「日本橋駅」直結)
営業時間:平日7:00~22:00(ベーカリー20:00)、日祝日10:00~21:00(ベーカリー20:00)
定休日:無休(COREDO日本橋に準ずる)
【written by 塩田明日香(しおた・あすか)】大の白米好き。子供の頃、「お母さんが作る料理で何が一番好き?」と聞かれ、「白いご飯!」と元気良く答えた親不孝者。でもそれくらい白米が大好き。白米さえあれば、どこでも生きていけます。
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「ONCE ダブリンの街角で」は、私が好きな数少ないラブストーリー映画の一つだ。主演はアイルランドの人気バンド"ザ・フレイムス"のフロントマン、グレン・ハンサードと、チェコのシンガーソングライター、マルケタ・イルグロヴァ。男はオンボロのギターを奏でるダブリンのストリートミュージシャン、女は花売りで生計を立てるチェコからの移民で、街の楽器屋でピアノを弾かせてもらうことを楽しみにしている。そんな二人が出会い、音楽を通して次第に惹かれあっていく...。
この作品が素晴らしいのは、ラブストーリーでありながら必要以上に愛を語らないところだ。口数の少ない二人の代わりに、彼らを繋ぐ音楽が揺れる心を代弁してくれる。観終わった後に、切なさと温かさが、心にゆっくりと染みわたる映画だった。
この映画を見ると、いつもアイルランド気分を味わいたくなる。そこで今回訪れたのが、神田駅から徒歩5分ほどの場所にある「THE Jha BAR(ザ・ジャハ・バー)」。イギリス&アイリッシュビールをはじめ、ドイツ、ベルギー、アメリカなど、世界各国のビールが楽しめるアイリッシュパブだ。
最初に注文したのはマーフィーズ・アイリッシュ・スタウト。その名の通りアイルランド産で、白くてクリーミーな泡と黒いビールが特徴だ。口当たりがよく、喉越しが非常に爽やかで、最後に仄かに苦みが残る飲みやすいビールである。一緒に注文したトマトとモッツァレラチーズのサラダや、フィッシュ&チップスとの相性も抜群。特にフィッシュ&チップスは、ボリュームもたっぷりなのでぜひ食べてもらいたい。
次に飲んだのは、南ドイツの古都、バンベルクの伝統的な燻製ビール、シュレンケルラ・ラオホビア。店員さん曰く「好き嫌いが分かれるが、ハマったら癖になる」ビールらしい。一口飲むと口の中に煙の香りが漂い、苦みと共に仄かな酸味が広がった。今までに飲んだことのない味だが、この不思議な感覚は癖になるかもしれないと納得してしまった。
また、ビールが得意でない人にはアイルランド産のキルケニーをお勧めしたい。泡が非常にクリーミーで優しい飲み心地なので、ビール独特の苦みが苦手な人も楽しく飲めるだろう。他にもウィスキー、ウォッカ、カクテル等も豊富に取り揃えているので、ビール大好きな人も、そうでない人も、ぜひ恋人や友人と一緒に訪ねてみてほしい。
★お店情報★
店名:THE Jha BAR
ジャンル:居酒屋・バー
電話番号:03-3252-3258
住所:東京都千代田区神田多町2-5東銀神田ビルB1
交通手段:神田駅 徒歩5分
営業日・営業時間 月~木:18:00~02:00 金:18:00~4:00 土:18:00~23:30
定休日:日・祝日
【written by 井上智恵(いのうえ・ちえ)】通信コース「映像翻訳Web講座」担当スタッフ。母親の実家である京都が第2のふるさと。哲学の道を散歩し、法然院を訪れたあとに仙太郎のカフェでひと休みするのがお気に入りのコース。本わらび餅と黒豆茶を世界に広めたい。
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「映像翻訳Web講座」の課題には、"ムサカ"という料理が出てくる作品がある。ただし、実際に食べるシーンはなく、登場するのは言葉だけ。初めて耳にしたこの料理について調べてみたところ、ひき肉と野菜をオーブンで重ね焼きした、地中海東部でポピュラーな家庭料理らしい。
それ以来、添削でムサカという言葉を目にするたびに、食べてみたい思いに駆られていた...のは私だけではなかったようだ。JVTA内で添削にかかわっているスタッフ全員が気になっていたことが判明し、ムサカを提供しているお店を検索。八重洲ブックセンターの近くにあるブルガリア料理の店「ブルガリアンダイニング ソフィア」で食べられることがわかり、ランチタイムに出かけてみた。
店内は赤を基調とする落ち着いた雰囲気で、ブルガリア人らしきウェイターの物腰も穏やかだ。内装や食器など、どれもかわいらしく統一感があり、異国気分を味わえる。
ランチメニューは何種類かあったのだが、一緒に出向いた4人とも間髪いれずにムサカのコースを注文した。(このページで紹介することを思えば、別のメニューも頼むべきだったかもしれない)
最初にサーブされたショプスカサラダは、トマト、キュウリ、タマネギとブラックオリーブの上にシレネという塩気のあるホワイトチーズが盛られていて、ビネガーの効いたドレッシングとの相性は抜群。一緒に出された丸型のパンは温かく、ふっくらと柔らかい。
そしてついに、念願のムサカが登場!ひき肉にタマネギ、ニンジン、ジャガイモなどの野菜がたっぷり入っていて、数種類のスパイスで程よく味付けされている。ブルガリア料理ならではと思われるヨーグルトソースも添えられていて、あっという間に完食した。
食後のデザートは花の香りがするジュレ。細かく刻んだミントとヨーグルトのソースが、口の中にさわやかな余韻を残す。心地よい満腹感を得られ、胃がもたれるような重さはまったくなかった。
映像翻訳に携わっていなければ、一生知り得なかったであろうものに出会えるのが、この仕事の醍醐味の1つだ。さまざまな作品を通して、自分の限られた知識や世界がどこまでも広がっていく体験は、言葉を紡ぐ喜びと同じくらい、楽しくて尊い。
★お店情報★
店名:ブルガリアンダイニング ソフィア
ジャンル:ブルガリア料理
電話番号:03-5200-0141
住所:東京都中央区八重洲2-5-12 プレリー八重洲ビル2F
交通手段:JR各線 東京駅 徒歩6分
東京メトロ銀座線 京橋駅 徒歩2分
東京メトロ有楽町線 銀座一丁目駅 徒歩6分
都営浅草線 宝町駅 徒歩6分
営業時間:昼 11:30~15:00
夜(月~金)17:30~23:00 (土・祝日)17:30~22:00
定休日:日曜日
※「映像翻訳Web講座」は毎月開講!まずは自宅で映像翻訳の勉強を始めてみませんか。詳しくはコチラへ⇒http://www.alc.co.jp/eng/hontsu/tips/kouza01/index.html